酒と蘊蓄の日々

The Days of Wine and Knowledges

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出生率が上がらない本当の理由 (その2)

少子化の原因としてよく語られる「女性の社会進出」だの「晩婚・未婚の増加」だのといったことは、むしろ枝葉に属するものと見るべきです。かつてのように一家の生活、特に老後を自分の子供たちに支えられていた時代とは異なり、庶民もそれなりの安定した生活水準を維持しやすく、国や社会が高齢者を支える仕組みに移行していったことが、先進国に共通する少子化の根源とみるべきです。

かつてこうした制度が整備されていなかった時代、頼れるのは自分の子や孫だけといった環境にあっては子供を沢山作って自分の老後の担保とする必要があったわけです。結婚して子供をもうけるということに対して積極的にならざるを得ず、人生設計において誰しもが切実な問題となっていました。

また、当人だけでなく周囲の人もそうしたことに世話を焼くケースは少なくなかったでしょう。人生設計を怠った親類の経済支援をしなければならなくなったら困るとか、見捨てて犯罪にでも走られたら自分の生活にも悪影響が及ぶと考えた人もいたと思います。核家族化が進み、何親等か離れた親戚は他人同然という現在とは違って、かつてはもっと一族の繋がりが密接で、良くも悪くもお互いに干渉し合う機会が多かったでしょう。

世間一般に信じられている「子育てを支援すれば子供が増える」というのも間違いとはいえませんが、現実問題としてはあまり強力な動機付けになりません。少なくとも、かつてのような自分の身に直接関わる切実さがないからです。

多くの人が「子供は1人か2人くらいで良い」と思ってその程度しか子供をつくらなければ、出生率が2.00を超えることは絶対にあり得ません。「3人以上は欲しい」と思う人が大多数を占めるようにならなければ人口減少を懸念しなくて済むレベルには至らないでしょう。特に日本は移民の受け入れに極めて消極的ですから。

現在の日本で出生率が2.00を超えるように仕向けるには、「子供を3人以上産んだほうが得」と思わせるような思い切った政策を実施しなければ難しいでしょう。が、現実的にはコストもかかりますから、容易なことではありません。だからといって「老後の生活は自分の子供に支えてもらいましょう」と、これまで構築してきた社会保障制度をご破算にするわけにもいかないでしょう。

こうなっては少子化を食い止めることを考えるより、当面は少子化にも耐える社会を目指すほうが現実的かも知れません。高齢者の増加で若者の負担が増すというのであれば、高齢者にも働ける間は働いてもらい、経済的に自立しやすい世の中にしていくほうが差し迫っている諸問題をクリアしやすいかも知れません。年金の支給を一方的に遅らせるのではなく、遅らせるからには高齢者の再雇用をもっと積極的にバックアップしていく必要があるでしょう。

私の父は昭和11年生まれで今日73歳の誕生日を迎えましたが、いまでも現役バリバリで仕事を続けています(仕事人間である父がリタイヤしたら一気に老け込むかも知れません)。ま、私のような会社員と違って自営業だからそれも可能なわけですが、自営業を営まれている方の中には私の父と同じように高齢になってもそれなりの働き方をしているという人は少なくないでしょう。特に農業を営まれていて後継者がいないという方はむしろこうしたケースのほうが普通と言えるかも知れません。

日本の長い歴史の中で「定年でリタイヤしたあとは悠々自適の生活」などというライフスタイルが富裕層以外で確立したのは高度成長期以降のせいぜい半世紀くらいのことでしかありません。こうした「豊かな老後」という理想が様々な歪みを生じさせている現実を直視し、それを社会的に維持するため「産めよ増やせよ」と号令をかけてもなかなか上手くいかないということに早く気付くべきです。

医療技術の進歩で人の寿命はまだ延びていくであろう状況を考えれば、人口を増加傾向に維持しない限り若者の負担は増え続けます。こうしたしわ寄せがある「豊かな老後」という理想は、むしろ幻想というべきかも知れません。人口を増加傾向に維持しなければ成立しない国家体制を全ての国がとり続け、人口が増え続けることを許していたら、破綻を避けることはできないでしょう。

中国のような荒っぽいバースコントロールには弊害がたくさんありますから、もっと上手な人口の減ら方を考えるべきですが、自然に人口が減り始めたのなら問題の生じにくい体制移行の方策を真剣に考えるべきでしょう。減り過ぎて国家体制を崩壊させてもいけませんが、現在の1億3000万人弱という総人口が日本にとって適正な規模でこれを減らしてはならないという理由を私は知りません。

ま、人口減少は国力低下に直結しやすいものです。そういう意味でも人口減少を回避したいと考えている政治家や官僚や財界人などは少なくないハズで、「少子化は解消しなければならない課題」と世論形成されているのはそのせいかも知れません。また、人口減少に勝る環境負荷の軽減はほかにありませんが、日本では環境問題と人口問題が切り離されて扱われることが殆どというあたりも二重規範めいているように思います。

コメント

さすがの考察ですね

石墨さんはポメラの話とデュラエースの話とプリウスの話と少子化の話ができるとても凄い方ですね。(お友達になりたーいデス)


私の父は昭和10年生まれで現在73歳です。大学卒業後、巨大民間会社に入社。58歳で定年前に肩たたきにあい退社。それ以降15年間『悠々自適』な生活をしています。世間から見たら巨大会社でサラリーが高かったうえほぼ定年近くまで働いたし年金もあるから悠々自適な生活……というイメージなのかも知れませんが………ほとんど廃人です。一日中、毎日毎日囲碁打ちと囲碁のケーブルテレビ番組とパソコンだけの生活です。来る日も来る日もそれだけです。友達は囲碁クラブの囲碁の相手以外は誰もいません。
石墨さんのお父さまはお仕事なさって立派ですね。
私の父は『悠々自適』ですがお世辞にも幸せそうには見えません。ずっと死ぬ日を待っている状態です。そしてそんな父を私は尊敬していません。
『悠々自適』がうらやましい皆さん、我が家ではこれが実態です。ちなみに私の仕事は自営業です。

  • 2009/06/11(木) 08:27:32 |
  • URL |
  • 林 宏 #GHYvW2h6
  • [ 編集]

林 宏さん>

私の場合、母が大変な心配性で「歳をとったとき支えてくれる人が身近にいないと絶対に困ることになる」と散々言われ続けたこともありまして、昔の人は結婚して子供をもうけるということに対して漠然と「人並み」といったレベルで考えていたわけではないと実感していました。

ですから、今回のハナシは私にとって「考察」というほど大げさなものではなく、日頃感じていたことを纏めただけという感じでしょうか。ま、説得力を持たせるために裏付けになりそうなデータを拾って付け加えたりはしましたけど。

父が仕事を続けているのは他に打ち込めるものがあまりないからかも知れません。私の父も囲碁(アマチュアの四段)とか、ゴルフとかそれなりに趣味はあるのですが、端から見ていても一番好きなのは仕事のようです。今でも業界誌を購読したり、講演を聴きに行ったり、最新の情報を身に付けるべく努力しているようですから。

私はそういう父を尊敬していますし、誇らしく思いますが、なまじ優秀な父親を持つと比較されて肩身の狭い思いをするのも現実だったりします。

  • 2009/06/12(金) 01:03:29 |
  • URL |
  • 石墨 #PxDbU/1w
  • [ 編集]

私は四国に 住んでいます  山間にある町役場の 知り合いの話  
40歳で 男 50人が集まった 40人が独身 都会と違って 日本の田舎では  こうゆう 結婚出来ない男達が たくさん います    
 日本の適正人口は何人か
関ヶ原の前まで 約1200万人 江戸時代 約3000万人 明治約6000万人 そして 現在 何人が妥当か・・・
少子化を防止するのは 簡単です
東南アジアから 若い女性を自由に受け入れる  看護師でも 家政婦でも 必ず 人口は増えます 日本の女性では無理 
日本の新しい法律では 婚姻していなくても 日本国籍を取得出来る
  
 

  • 2009/06/15(月) 21:56:51 |
  • URL |
  • #-
  • [ 編集]

>少子化を防止するのは 簡単です
>東南アジアから 若い女性を自由に受け入れる  看護師でも

現実的にはそれを嫌がる人が政治家や官僚だけでなく一般の人にも少なからずいますから、簡単なことと言えないでしょうね。

ご存じのように日本はフィリピンやタイと看護師や介護福祉士の受け入れで合意していますが、日本の在留期間3年の間に日本語での国家試験合格が必要条件となっています。これは故意にハードルが高く設定されていると見るべきでしょう。

また、これとは関係ない形態で日本国籍を取得したとしても、日本の社会が彼らを受け入れるか、彼らが日本の社会に溶け込むことが出来るか、といったことは全くの別問題です。

ヨーロッパでも移民の受け入れは様々な問題を引き起こしています。ドイツではネオナチのような極右的民族主義の拡大も問題視されていますし、フランスでもアフリカ系移民との軋轢がしばしば問題になっています。2002年のフランス大統領選挙では移民排斥を訴える極右の国民戦線の党首ル・ペン氏がジョスパン首相を上回る2位の得票を得て躍進をみせるなど、深い溝が横たわっています。

近年、フランスの出生率が2.00を越えるようになってきたのも、要は移民に頼るよりも生粋のフランス人を生み増やしたほうが良いという風潮が出来てきたからでしょう。国や企業もそれをバックアップするという体制が充実してきたと考えるべきです。

少子化対策には外国人の受け入れという方法も古くから提唱されていますが、それはそれで様々な問題を抱え込むイバラの道であるという覚悟が必要です。決して「簡単」などと思うべきではないでしょう。

  • 2009/06/15(月) 23:47:55 |
  • URL |
  • 石墨 #PxDbU/1w
  • [ 編集]

初めまして。
トラックバック失礼しますm(_ _)m

  • 2009/06/18(木) 14:20:13 |
  • URL |
  • MAHHYA #-
  • [ 編集]

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