酒と蘊蓄の日々

The Days of Wine and Knowledges

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ル・マンはディーゼル強し (その1)

日本のワークスチームが姿を見せなくなって以降、日本では人気が下降してしまったせいか、ル・マン24時間レースはテレビ中継されなくなってしまいましたね。地上波では1980年代初頭から20年くらいテレビ朝日がダイジェストや実況中継を行っており、1991年にはマツダ787Bが日本車として初めて(現在のところ唯一)総合優勝を成し遂げましたが、あのときまだ大学生だった私はテレビ画面にかじり付いて見たものです。

テレビ朝日が放送権を手放した後も2年間はスカパー!等でスポーツ・アイESPN(現在のJスポーツESPN)が24時間完全生中継をやっていました。が、その後の3年は(私は最近まで知りませんでしたが)やはりスカパー!等で日テレG+がダイジェスト版を放送するのみで、今年はまだその放送予定が示されていないようです。あのル・マン独特の雰囲気が好きなファンにとっては寂しい時代になりました。

2000年以降はアウディの天下といって良い状態が続き、2003年に同じフォルクスワーゲングループのベントレーが(恐らくグループ内の政策的なオペレーションで)勝ちましたが、その後もアウディスポーツジャパン・チーム郷やADTチャンピオン・レーシングなどのプライベーターを含みながらアウディの牙城は崩されずに年月が重ねられていきました。これがマンネリ感に繋がっていたという側面も無視できないでしょう。

2006年にはアウディR10がディーゼルエンジン車として初めてル・マンで総合優勝を果たし、昨年まで3連覇を続けていました。しかし、今年はプジョーが再参戦3年目にして王者アウディを破り、総合優勝を遂げました。これもまた5.5リッターV型12気筒のディーゼルエンジンを搭載しており、ディーゼルエンジン車4連覇ということになったわけですね。

peugeot_908hdi.jpg
PEUGEOT 908HDi
クローズドボディのよく見慣れた感じの
プロトタイプレーシングカーですが、
ディーゼルエンジン特有の低い周波数で
シフトチェンジ時にも抑揚の少ない排気音は、
やはり静止画だけでは解りませんね。


F1マシンの形状が「最も速く走るための理想的なカタチ」と信じている人がよくいるように、モータースポーツ界で活躍していると、それが理想に近いものだと勘違いする人は少なくないようです。が、レースカーの機構や形状、素材など、あらゆる要素はレギュレーションの許す中で最高を求め、レギュレーションに反することのない範疇で理想に近づこうとするもので、純粋に絶対的な性能を追い求めたものではありません。

こうしてル・マン24時間でディーゼルエンジン車が優位に立っているのも、要するにレギュレーションがディーゼルエンジン車に有利なようになっているからです。もし、F1を始めとした他のカテゴリーでも同様の考え方でレギュレーションが改められれば、例え二輪のMotoGPであってもディーゼルエンジンが主流になるでしょう。

ル・マンでディーゼルエンジン車に有利なレギュレーションが設けられている背景には、やはりディーゼルエンジンのイメージアップに繋げたいという意志が働いているのだと思います(あくまでも個人的な憶測です)。西ヨーロッパでは「ガソリンエンジンに比べてCO2の排出量が少ない」とか、「燃費が良いゆえランニングコストが安い」とか(日本のようにガソリン税と軽油税に差があって軽油のほうが安いということではないようですが)、これらの理由で、ディーゼルエンジン車のシェアは年々上がっています。

2007年の時点では西ヨーロッパ全体でディーゼルエンジン車のシェアは53.3%にもなるそうです。冬場に燃料が凍ってしまう恐れがあり、燃料ヒーターが必要になるスウェーデンなど北欧圏では極端にシェアが落ちていますが、フランスとスペインでのシェアは特に大きく、70%前後にもおよぶといいます。このようにル・マン24時間の開催国であるフランスは際立ってディーゼルエンジン車が普及していることもありますから、商業的な思惑も働いているのかも知れません(くどいようですが個人的な憶測です)。

ディーゼルエンジンはガソリンエンジンほどスムーズに吹け上がらないイメージが根強く(実際にはそうでないエンジンも少なからずありますが)、独特のディーゼルノックによる音や振動がガサツな印象に繋がるなど、パワーユニットとして官能的な面で劣るとか、スポーティではないといったイメージも根強いでしょう。モータースポーツ界屈指のイベントであるル・マン24時間での活躍はそうしたネガティブなイメージを払拭するのに最高のプロモーションとなるのは間違いありません。

(つづく)

コメント

大きな運動会

私、2003年にル・マン24時間レースの会場に独りで行きました。レースは午後4時頃からですがコース上では朝9時頃から地元の鼓笛隊やらチビっ子たち爺さん婆さんの仮装パレードなどいかにも経費のかかってない催し物がレース前のお祭り感を盛り上げてくれていました。ル・マンの街は例年レースウィークだけが一年で一番活気のある週だと思います。観客たちも脚立やら弁当やらを持参してお父さんと坊やたちのみならず奥さんもおばあちゃんもレース見物しています。(日本ではなかなか見かけない光景です)
駐車場を見渡すとフランス国内はもちろんのことスペインやイタリア、ドーバー海峡を超えてイギリスからもたくさん観客が来ています。


レース前セレモニーでは各国の国旗と国歌が流れます。私はグランドスタンド席で大声で君が代を歌って涙を流しました。英国米国仏国伊国に混じって日本も参加かせてもらえるのが嬉しかったからです。(中国や韓国、他アジア諸国はヨーロッパ人にとって蔑視の対象。日本だって基本的にはヨーロッパ人に蔑視されています。)

レース前、朝からピーヒョロロ~と鼓笛隊、パレード、行進とかくだらない(失礼)つまらない(失礼)地元のイベントがたくさんあって、やっとレースカーが15時40分くらいから走り始めます。
でもあのくだらないイベントこそがル・マン24時間レースが偉大なる草レースと呼ばれる所以だと思います。日本でのテレビ中継はあのくだらないイベントは映りませんが、あのイベントこそがレースの手作り感を表しています。コーナーに立つ旗振りのオフィシャルの面々は地元の農民がボランティアで旗振ってたりするようですよ。


日本チームが参加しないからといってル・マンの中継しなくなるのは寂しいですね。


  • 2009/06/16(火) 18:16:16 |
  • URL |
  • 林 宏 #GHYvW2h6
  • [ 編集]

林 宏 さん>

>私、2003年にル・マン24時間レースの会場に独りで行きました。

それは凄いですね。私の周りにもレース好きは何人かいましたが、海外まで見に行くという気合いの入った人は私を含めて一人もいませんでした。2003年というとベントレーが勝った年で、近藤真彦もドライバーとして参加して総合13位でフィニッシュしてますね。テレビやDVDなどでしか見ていない私にはこういうリザルトくらいしか残っていないのが悲しいところです。

>コーナーに立つ旗振りのオフィシャルの面々は地元の農民がボランティアで旗振ってたりするようですよ。

ブガッティサーキットを出て普段は公道になっている部分があれだけ広がっていますし、24時間ともなればドライバーと同じく3交代制くらいにしなければ持たないでしょうし、オフィシャル以外にも様々な形で沢山のボランティアが必要なのでしょうね。24時間が経過してラストラップになるといつもパレード走行みたいになりますが、あのときコーナーポストなどでオフィシャルも全員出てきてあらゆるフラッグを振っていますが、あの光景はいつ見ても心和むものがあります。

興味深いエピソードを有り難うございました。

  • 2009/06/18(木) 00:08:46 |
  • URL |
  • 石墨 #PxDbU/1w
  • [ 編集]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://ishizumi01.blog28.fc2.com/tb.php/415-6749c5c2
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad

まとめ

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。