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「敵対的買収」3周年

2005年2月8日(火)午前8時過ぎ、ライブドアが時間外取引でニッポン放送の発行済み株式約29.5%を取得し、既得分を合わせて35%を占める事実上の筆頭株主となりました。このとき、ライブドアはニッポン放送の経営に関与する意思も明示し、逆に寝耳に水だったニッポン放送およびフジサンケイグループは不快感をあらわにしました。

私はこうした状況から翌9日の朝刊には「敵対的買収」という見出しが躍るものだと確信していました。

ところが、新聞やテレビの報道番組など、大衆メディアは一切この「敵対的買収」という言葉を用いませんでした。何故? このとき私の頭の中を脳内メーカー的なグラフィックで表現するなら「?」で埋め尽くされていたでしょう。

しかし、よくよく考えてみますと、私がそれまで「敵対的買収」という言葉を見聞きしていたのは『Newsweek』誌やCNNなど海外のメディアばかりでした。

この騒動で様々なところからコメントが寄せられましたが、自動車メーカーかどこかの重役が「こうした敵対的なやり方は・・・」みたいな話があったのは記憶していますが、メディア自身の言葉として当初は「敵対的」という表現が全く使われていなかったんですね。

なので、私はどこが最初に使うかウォッチすることにしました。ま、そうはいっても全てのメディアをチェックできるわけではありませんので、新聞5大紙や主なテレビの報道番組をチェックしていたに過ぎませんが。

結局、一番乗りは日本経済新聞でした。3年前の今日、2月19日(土)の朝刊に初めて「敵対的M&A」というヘッドラインを付けました。実にライブドアがアクションを起こしてから11日も経過していたんですね。日経と提携しているテレビ東京系の報道局もその日のニュースから「敵対的」という表現を使い始めました。

他紙や他の民放各局もその週明け2月21日(月)くらいまでには出揃った感じでしたが、最も遅かったのは案の定、NHKでした。

NHKは新型肺炎(正しくは重症急性呼吸器症候群)も略称の「サーズ(SARS:Severe Acute Respiratory Syndrome)」をなかなか使わなかった過去がありましたので、予想通りでした。彼らが「敵対的買収」という表現を初めて使ったのは2月23日(水)からでしたから、実にライブドアがアクションを起こして半月も後のことだったんですね。

要するに、それまで「敵対的買収」という言葉は殆ど財界専門用語だったということなのでしょう。一介の会社員である私ですら知っていた言葉なのですから、大手メディアの経済部の記者なら知らないわけがありません。内々に検討して「敵対的」という刺激的な表現をしばらく自粛していたのかも知れませんね。

しかし、その一方で例の攻防がこう着状態になってくると「ポイズンピル」だの「ホワイトナイト」だの「レバレッジド・バイアウト」だのといった用語を連発するなど、中には面白がっているような雰囲気もありましたので、「やっぱりミーハーな奴らだな」なんて思ったりもしました。

結局、ライブドアとフジテレビのニッポン放送株争奪戦でつぎ込まれた資本は、日本国内においてはかなりの額といえたでしょうが、それでも時価総額で2000億円に達しない程度だったかと思います。

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和解記者会見でメディアの求めに応え
握手を交わす堀江貴文と日枝久


日本の大衆メディアは救いようのない国際ニュース音痴なので期待するのは無理なのでしょうけど、2000年にボーダーフォンがマンネスマンの敵対的TOBに成功したあの携帯電話戦争の一件をきちんと報じていれば、ニッポン放送株争奪戦もかなり違ったスタンスで受け止めることが出来たのではないかと思います。

何しろ、ボーダーフォンがストックカレンシー(株式交換)で取得したマンネスマン株の時価総額は実に19兆円、ニッポン放送の時に動いたそれとは桁が2つも違ったんですから。

(余談になりますが、マイクロソフトが提案した買収額4兆円をヤフーが過小評価されたと受け止めたのも、ヨーロッパローカルの携帯電話会社(ま、マンネスマンの本業は鉄鋼ですけどね)が買収されたときのそれに比べて1/5程度の金額ですから、無理もないと思います。)

あの一件はヨーロッパのメディア、殊に当事国の英独では、それこそ「第3次世界大戦は企業同士の経済戦争だった」くらいの勢いで伝えられていました。日本のメディアが何故あの一件を殆ど伝えなかったのか私には解りませんが、もしマトモに報道されていたなら、ライブドアの一件でも「敵対的買収」という言葉が速やかに使われたでしょうし、もっと冷静でいられたと思うんですけどねぇ。

テーマ:政治・経済・時事問題 - ジャンル:政治・経済

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