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新型プリウスは弱点の克服に注力されたらしい (その1)

従来のプリウスには弱点が二つありまして、一つは高速道路での燃費が悪化してしまうという点と、もう一つは冬場の燃費が悪化してしまうという点になります。3代目プリウスは10-15モードやJC08モードなどの走行パターンによる燃費は10%くらいしか向上していません。が、従来の二大弱点を克服するような仕様変更がなされているようで、カタログ値には表れにくい全般的な実燃費は従来よりさらに良くなっているかも知れません。

一般のクルマはストップ&ゴーがない高速道路のほうが燃費が良くなるものですが、最も燃費が良いのは空気抵抗がそれほど大きくならない60km/hくらいの定速走行だと言われています。空気抵抗は速度の2乗に比例して増加していきますから、100km/hは60km/hの約1.67倍、空気抵抗はその2乗となります。つまり、約2.78倍にまで跳ね上がってしまうわけですね。

ご存じのように、プリウスは減速時のエネルギーを発電によって回収し、加速時にそれを再利用する回生ブレーキが効果を発揮します。ストップ&ゴーを繰り返す一般道でもエネルギーの損失が比較的少なく、法定速度を遵守した場合の空気抵抗が高速道路の1/3くらいにしかならない分だけ燃費も向上するということになるのでしょう。

また、プリウスはインサイトなどと異なり、エンジンを切ったままモーターも使わず、しばらく惰性で走るといったテクニックが使えます。これを多用すれば、さらに燃費を伸ばしやすくなるんですね。ただし、このテクニックはエネルギーモニタを見ながら微妙なアクセルワークを駆使しなければならないため、その労力が求められますし、また道路状況によっては後続車のペースを乱し、最悪は渋滞の引き金になってしまう懸念もあります。そうした点もわきまえなければならないゆえ、誰にでもお勧めできる走法ではないかも知れません。

それはともかく、プリウスの高速燃費が一般道より悪化してしまうのは、上述のように一般道よりハイスピードであるゆえ空気抵抗による損失が顕著になり、またエンジンも回りっ放しになってハイブリッドのメリットが生かせないなどの理由によると考えるべきでしょう。

余談になりますが、Q&Aサイトなどではプリウスの高速燃費が低下する理由について「ハイブリッドシステムで重くなっているから」みたいな頓珍漢な答えがベストアンサーに選ばれていたりします。私は思わず失笑してしまいましたが、当blogで何度も述べていますように、プリウスは低速から強力なトルクを発揮する電気モーターを活用していますから、エンジンの次に重い部品であるトランスミッションがありません。後退する際もモーターを逆回転させることで対応していますから、リバースギヤを備える必要もないんですね。そのため、トータルではさほど重くなっていません。

そもそも重量が大きくなることでより大きなエネルギーを必要とするのは加速させるときや登坂するときなどで、水平な道路を等速で走行する際に重量はあまり関係ありません。関東近県でいえば中央道とか上信越道みたいに山深いところを貫くアップダウンの激しい高速道路ならともかく、平坦なところで一定の速度を保つ分には重量が大きなネックになることは殆どないといえるでしょう。

確かに、重量が増えるほど路面との摩擦抵抗も増える傾向になりますが、高速走行時に最も大きな抗力となるのは空気抵抗ですから、重さというのは高速巡航時の燃費にそれほど大きく影響しないものなんですね。あのような頓珍漢な答えが正しいと見なされ、都市伝説を育んでしまうところがQ&Aサイトや多数決至上主義の恐ろしいところです。

以前から述べていますが、私の場合2代目プリウスで大人しく走れば高速道路でも22~24km/Lくらいはいけます。普通のクルマと比べるとかなり良好な燃費だといえるでしょう。一般道よりは悪化するものの、普通のガソリンエンジンだけのクルマより優れた燃費を実現できているのは、空力特性の良さもあるでしょうけど、ミラーサイクルという熱効率に優れたエンジンを採用したのが効いているのではないかというハナシは以前詳しく述べた通りです。(関係ありませんが、あのエントリはこの辺を書いているときドツボにはまって独立させることにした次第です。)

しかし、高速道路の速度制限が日本(100km/h)やアメリカ(65mi/h=約105km/L)より緩いヨーロッパでは巡航速度が格段に高く、プリウスはやや苦戦してきました。ご存じのようにドイツとその近隣国に跨る有名なアウトバーンは速度無制限の区間があります。年々減ってはいますが、それでも全体の60%くらいでしょうか。

他のヨーロッパ諸国も高速道路の制限速度は120~130kmくらいが一般的で、全般に日米より巡航速度か高くなる傾向が見られます。ヨーロッパ車は昔からコンパクトカーでも高速走行時の安定性が高いクルマが多かった印象がありますが、それはこうした事情も無関係ではないでしょう。また、日本のコンパクトカーもヨーロッパへの本格的な進出が始まった頃から格段にその性能が向上してきた印象ですが、その事情も同様ではないかと思われます。

私は試したことがないのですけど、一説によれば140km/hでの巡航で2代目プリウスは12km/Lくらいまで落ち込んでしまうといいます。100km/hに対して140km/hというと1.4倍ですから、その2乗となる空気抵抗はほぼ2倍になりますので、そんなところかも知れません。この2代目プリウスの燃費に対し、メルセデスやBMWなどのディーゼル車は10~15%くらい上回るとのことです。日米よりさらに高いスピードで巡航する際の燃費の良さがヨーロッパでディーゼル車人気を押し上げている理由の一つになっているのでしょう。

3代目プリウスの排気量は2代目までの1.5Lから1.8Lに拡大されたのはご存じの通りですが、これはヨーロッパでの根強いディーゼル車人気に対抗するためだという見方が一般的です。中低速のトルクをより強化することで高速巡航時にもエンジン回転数をあまり上げず、燃費を稼ぐという考え方ですね。

ZVW30-01.jpg
2代目プリウスの1NZ-FXE型エンジンの最大トルクは
115N・m(11.7kgf・m)/4,200rpmでしたが、
3代目プリウスの2ZR-FXE型エンジンでは
142N・m(14.5kgf・m)/4,000rpmとなりました。
従来よりも200rpm低い回転数で
25%近くも増強されたというわけですね。


実際、Responceの記事では「80km/h近辺の燃費は30km/リットル前後と良好だった」とあります。他でも3代目プリウスの高速燃費はおしなべて28~30km/hくらいになっているようです。上述のように、私の場合2代目で大人しく走って22~24km/Lくらいで、高速道路ではどう頑張っても水平路の無風状態で28~30km/hなど不可能です。下り坂が続いているとか、猛烈な追い風が吹いているとか、特殊な条件でなければどんな達人でも3代目プリウスのような高速燃費はまず得られないでしょう。

こうした高速燃費の向上はヨーロッパでの訴求力を高めるということが主眼となっているのだと思いますが、それより巡航速度の低い日本やアメリカでも一般道に比べて劣る燃費が大幅に改善されたといえるようです。そういう意味でもグローバルマーケットを見据えた意義のある仕様変更だったのだと思います。

(つづく)

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