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新型プリウスは弱点の克服に注力されたらしい (その2)

以前から何度も述べてきましたように、現代のクルマは例外なくエンジンの廃熱である冷却水の熱を利用した温水暖房を採用しています。ですから、寒い冬場に頻繁なエンジン停止で冷却水の温度が下がってしまうと暖房に適さなくなってしまうんですね。もちろん、エンジンそのものも低温状態では再始動しにくくなりますから、ある程度の温度を維持する必要があります。

こうしたことはハイブリッドカーだけでなく、アイドリングストップが電子的に制御されているクルマには多かれ少なかれ共通するでしょう。水温が下がればエンジンを再始動させて(あるいは低温時にはエンジンが停止しないようにして)水温をあるレベルに維持しようとするハズです。マツダのi-stopも燃費が10%程度向上するといいますが、冬場に水温が低下しやすいようならアイドリングストップの頻度も減り、燃費向上の効果も目減りしてしまうでしょう。

そこで注目されるのは3代目プリウスにも装備された「排気熱再循環システム」です。これはエスティマハイブリッドにもレクサスRX450hにも採用されていたものですが、排気管の一部にエンジンの冷却水と熱交換させる部分を設け、排気熱もそのまま捨ててしまうのではなく、これを利用して冬場の水温低下を防ごうというものです。

排気熱再循環システム
排気熱再循環システムの概念図
この図はエスティマハイブリッドのものですが、仕組みは3台目プリウスも同じです。
空冷エンジン時代のポルシェ911も暖房には排気熱を利用していましたが、
アレは車内に送り込まれる空気そのものを排気ガスで暖めていました。
万一、配管が腐食して穴が空いたり、振動で亀裂が入るなどすると
車内に排気ガスが侵入してしまうという非常に危険な構造でした。
このシステムでは排気管と触れるのが冷却水なのでそうした懸念もなく、
始動からの水温上昇が早くなり、暖房も早く効くようになるといいます。


また、新型プリウスでは補器類の電動化が一層進められたといいます。それが何処までなのか私も詳しく把握していませんが、エンジンの出力をそのまま利用するより様々な条件下に対応する最適化がしやすく、効率の改善にはそれなりに有効でしょう。

もちろん、これまでクランクシャフトなどからベルト駆動などで動力を得ていたものに一々専用モーターを与え、それを制御するプログラムを組むことになりますから、コストアップは必至です。2代目までのプリウスは専用のプラットフォームが奢られていましたが、3代目はオーリスやブレイドと共用化しているため、こうしたコストアップは当初の目論見では相殺できていたのだと思います。

ただ、インサイトの影響と思われる大幅なプライスダウンも敢行されていますから、最終的なコスト管理はかなりシビアな状態になっているのではないかと想像されます。ま、ユーザーサイドはお買い得になったと素直に喜んでいれば良いのですけど。

3代目プリウスのチーフエンジニアを務められた大塚明彦氏は約10%改善された燃費について「ウォーターポンプの電動化が大きく寄与した」と述べています。ウォーターポンプというのは要するにエンジンの冷却水を循環させる装置ですが、通常は吸排気バルブを駆動するタイミングベルトなり、ラジエータのファンを駆動するファンベルトなり、エンジンの動力を直接利用する機械式が用いられます。

プリウスも2代目までは機械式ウォーターポンプで、これは単純にエンジンの回転数に比例して回りますから、大塚氏の言葉を借りれば「エンジンの低回転域で必要な冷却水の流量が稼げて、高回転域でポンプが壊れなければよかった」という非常にプリミティブな仕様になっていたんですね。しかし、これを電動化してやれば低回転域でも高回転域でも適切な流量を確保すれば良く、従来のように低回転域以外でエンジンの出力が必要以上に奪われるなど、余計なエネルギーを失わなくて済む最適化が可能になるわけです。

もちろん、その最適化には制御プログラムを組む必要がありますから、そのためにエンジンの発熱量とそれに対応した冷却水の流量とを走行速度や外気温など様々な条件と付き合わせて検討し、実験し、評価し、改良を重ねていかなければなりません。傍からイメージするよりずっと手間暇も開発費もかかるでしょう。ウォーターポンプの電動化はトヨタとしてもこの3代目プリウスが初めてになるそうです。

ここまで至るともはや重箱の隅をほじくり返して少しでも効率を上げられる余地がある部分には徹底的に手を施していくといった感じでしょうか。それだけ2代目へフルモデルチェンジした際にも沢山の改良が施されていたということなのかも知れません。

(つづく)

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