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インサイトは日本でもジリ貧か? (その2)

自販連の集計で6月のプリウスの販売台数は22,000台を超えました。トヨタは小まめに納期を発表しており、また受注台数も10,000台上乗せされる度に発表してきましたから、これらの商から毎月の供給可能台数が推定できます。発売直後、受注80,000台で納期5ヶ月と伝えられていましたから、16,000台/月、これに2代目の継続生産となるプリウスEXの2,000台/月を加えて18,000台/月と私は想定していましたが、これを4,000台以上も上回る結果になりました。

トヨタは期間従業員の追加募集やシフトの拡大といった増産体制を整えていますが、休日出勤の復活も7月からですし、部品供給もそう簡単に増やせるものではないでしょう。発売からわずか数週間で4,000台/月という規模での増産は常識的に考えて無理でしょう。これもやはり海外向けの生産枠を国内に振り替えた可能性があります。

例えば、ヨーロッパではこれまでやや苦戦していましたから、いきなり攻勢をかけず、しばらくは供給を抑え気味にして日本国内分に一部を回し、一段落してからヨーロッパでも本格的な拡販キャンペーンに打って出るなどというストーリーも考えられます。ま、あくまでも想像ですけど。

新型プリウスの総受注台数は6月下旬の発表で20万台を超え、7月1日以降の注文では来年3月上旬以降の納車とのことです。6月までに33,207台を販売していますから、それを除いた受注残は16万7000台程度になるでしょう。これを8ヶ月で割った国内供給能力はEXを除いて21,000台/月程度といったところになります。

7月から休日出勤を復活させるなど本格的な増産体制の効果はこれから現われてくるハズですが、納期から推定される国内供給能力は上述のように6月の状況と変わらないレベルで推移することになります。とすると、やはり現状では海外向けの生産枠の一部を一時的に国内へ振り替え、増産分で海外向けの生産枠を当初計画のレベルに戻そうとしているのだと考えたほうが自然かも知れません。

いずれにしても、自動車評論家の国沢氏が言う「売れていれば受注台数を発表し、厳しければ黙っている」という法則からして、プリウスは現在も受注を伸ばしており、絶好調ぶりに些かの陰りも見られない状況なのでしょう。供給能力が維持された状態で納期がさらに延びているということは、それだけ受注状況も鈍っていないということですから、5月と6月の供給台数がほぼ横ばいなのに納期は短くなっているインサイトとの差が一層際立ってきました。

4月にインサイトが月間販売台数(軽自動車を除く)で1位を記録したとき、大衆メディアはまるでインサイトが天下を取ったかのように大騒ぎしました。手前味噌で恐縮ですが、私は10,481台という数字が普通ではあり得ないことを指摘し、「1ヶ月天下」に終わるということを予言して的中させました。こうした冷静な判断ができない彼らはそれからあまり時を置かずにジリ貧の兆候を窺わせるようになるなど予想だにしなかったでしょう。5月に8,183台まで減らしたのを供給能力の問題だと気づかず、プリウスの影響だと勘違いしたメディアも少なくありませんでしたが。

フィットのフロアパネルをストレッチし、シビックハイブリッドと大差ない簡易的なシステムからさらにエアコンのコンプレッサーを旧来の機械式に戻すなどのコストダウンで兼用車よりスペシャルではない廉価版になってしまったインサイトですが、彼らの多くはその素性を見抜くことができていないようです。最廉価グレードでは装備に差があることも気付かないまま16万円という価格差だけに注目し、「ハイブリッド専用車」という謳い文句とプリウスそっくりなスタイリングに惑わされ、両者を同じようなクルマだと勘違いしてインサイトを過大評価してしまったのでしょう。

思えば、2代目インサイトに対する私の第一印象が非常に悪かったのも、あまりにも無節操にプリウスのイメージと重ねてきたあのスタイリングにあります。当blogで初めて扱ったときもその話題でしたね。もし私が2代目プリウスのデザイナーとか開発主査といった立場にいる人間だったなら、あのスタイリングに怒髪天を衝いていたでしょう。私がトヨタの幹部だったなら、あれを見て挑戦的と受け取ったかも知れません。

ホンダもシビックハイブリッドでの経験から兼用車では訴求力が乏しいということを学習し、専用車で行く必要があったとの旨を述べています。そこでハイブリッドカーであることを解りやすくアピールする専用車らしいスタイリングとはどんなものかとホンダも様々なカタチで検討を重ねたのは間違いないでしょう。もしかしたら、プリウスのイメージが強力であるゆえそれに重ねる方向をマーケットリサーチ会社などから示されたのかも知れません。が、最終的にどのようなやり方をするかは商品企画を統べる上層部の判断によるもので、社内デザイナーは業務命令としてそれに従うだけです。

プリウスらしさを印象づける特徴はリヤのサブウィンドウなどのようなディテールではありません。ノーズからAピラーを通り、ルーフを経てテールへ至る一連のラインです。こうしたワンモーションフォルムはミニバンやコンパクトカーでは既に存在していましたが、5ドアのファストバックは絶滅寸前だったこともあって前例が見当たらず、それが2代目プリウスのオリジナリティに繋がったと解すべきでしょう。

ですから、例えばAピラーの付け根をもう少し後方へ下げ、フロントウィンドウをもう少し立て気味にし、全般的なラインをプリウスの特徴的なワンモーションフォルムに近づかないように配慮すべきだったんですね。初代インサイトもそうでしたが、ノーズからルーフへかけての面構成をオーソドックスなカタチにとどめていただけでも「似ている」という評価はずっと少なくなっていたでしょう。

コロナSF
プリメーラUK
コロナSF(上)とプリメーラUK(下)
2代目プリウス以前にもこうしたファストバックの5ドア
というスタイルの日本車はいくつか存在していました。
最近でもギャラン・フォルティス・スポーツバックなどがありますね。
これらがプリウスに似ていないのは、ノーズからルーフへ至るラインと
その面構成に明らかな角度が設けられたオーソドックスなものだからです。
ボンネットの傾斜を強め、Aピラーの付け根を前方へせり出させ、
ルーフまで一連なりのラインを構成するワンモーションフォルムという
近年の流行を取り入れると、勢いプリウスに似てしまうでしょう。


本来なら異なる車格ゆえに棲み分けできていたであろう両者をライバルであると錯覚させたのは、あのスタイリングにも一因があったのではないかと思います。両者を一緒くたに扱うメディアに「両雄の対決」という図式を作られて必要以上の煽りを受けることになり、結果的にトヨタを本気にさせてしまったのも、あのよく似たスタイリングが全く無関係ではなかったかも知れません。

もっとも、インサイトのスタイリング次第でビジネス面の結果も現状と異なっていたかどうか定かではありません。インサイトのAピラーの付け根があと数センチ後ろに下がっていたなら現状は違っていたなどとするのは、レオパトラの鼻の高さで歴史が変わっていたとするハナシと同レベルの妄想に過ぎませんし。

(つづく)

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