酒と蘊蓄の日々

The Days of Wine and Knowledges

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

東洋経済のキヤノン叩きは明らかな虚偽報道である (その3)

東洋経済はファームウェアのバージョンアップで修正された不具合についてキヤノンだけしか取り上げず、他社は「公表していない」としています。しかし、前回詳しくご紹介しましたように、これが虚構であるのは明白です。

もし、故意でなく単なる見落としだったとしたら、それはキヤノン以外のメーカーのサイトにあるサポート情報がキヤノンほど解りやすくないことが関係しているのかも知れません。例えば、ニコンはサポート情報の一覧にファームウェアのバージョンアップ情報を載せても、ファームウェアの一覧に誘導するだけで、何処がどう変わったのかは各々ダウンロードの頁に進まないと確認できないんですね。つまり、サポート情報の一覧を眺めただけではファームウェアのバージョンアップで解決された不具合を把握できないというわけです。

また、ニコンは各々のダウンロードの頁に進んでも、使用許諾がどうとか、ファームウェアAとBを両方同時にバージョンアップしろとか、機能強化された部分がどうなっているかとか、そうした情報がずらずらと並んだ後になってやっと不具合の修正箇所が示されるといったカタチになっていたりしますから、なおさら解りにくいといえるでしょう。

それに対してキヤノンはサポートメニューの「重要なお知らせ」や「お知らせ」の一覧に「デジタル一眼レフカメラEOS○○をご使用のお客さまへ」といったタイトルを載せ、クリックすれば不具合がハード由来なのかソフト由来なのかに拘わらず具体的な内容が案内されています(軽微なものは他社同様載らないこともあります)。

4年以上前の古い情報はキヤノンのサポートメニューから追えませんので、その点についてはニコンのほうが優れているといえます。が、最近3年までの情報に関して、特にファームウェアで対応した不具合についての情報はキヤノンのほうが解りやすく案内されているというのが私の個人的な評価です。また、この点についてはソニーもオリンパスもニコンとだいたい同じレベルといった印象です。なので、ニコンやソニーやオリンパスが普通で、キヤノンはそれより親切だと評すべきかも知れません。

この記事を書いた東洋経済の記者に故意がなかったとしたら、キヤノン以外のサポート情報がやや解りにくかったゆえに見落とし、他社では不具合が発生していないと錯覚していたのかも知れません。が、私のような素人がザッと調べただけでも見落とさなかったのですから、キヤノン以外のメーカーの告知方法に問題があったというより、やはりこの記者の能力が著しく低かっただけと見るべきでしょう。

情報公開が解りやすくなされていたばっかりに不具合だらけだと思い込まれてしまったのであれば、キヤノンにはお気の毒としか言いようがありません。もしかしたら、この記者が思い込みで記事を書いてしまった根底には、大量の派遣切りを敢行してメディアから袋叩きにされた大分キヤノンを「悪」と決めつけ、キヤノングループを「憎むべき守銭奴」といった先入観で評価しようとしていたからかも知れません。

メディアは得てして予めストーリーを用意しておき、それに沿った取材をし、そのストーリーに不都合な証言や情報を掴んでも握りつぶして予定調和の記事にしてしまうことが頻繁にあります。例えば、先般ご紹介したモータージャーナリストの池原照雄氏のケースもまさにそれで、彼のコメントした悲観的な意見は昨今の電気自動車ブームに水を差すものであるゆえ排除され、楽観的な意見ばかりが積み上げられ、あたかも電気自動車が近い将来を担うクルマであるかのように錯覚させてしまう報道が繰り返されているという構図になってしまいました。

こうした事例を見ても、メディアが取り上げる証言は偏向していたり信憑性がさほど高くないものと想定しておいたほうが良いかも知れません。過去にもTBSが不二家の賞味期限切れ商品再生問題を扱った報道や、テレビ朝日が日本マクドナルドの調理日改ざんを扱った報道など、元従業員の証言内容に矛盾があったり、元従業員の扱い方に演出があったなど、証言をソースとした報道の信憑性が問題になった例はいくつもあります。殊にキヤノンの場合、円満ではないカタチで製造現場を離れた元従業員も少なくないでしょうから、中には針小棒大に事実を歪めて不満をぶちまける人もいたかも知れません。(いなかったかも知れませんが。)

キヤノンは製品不良の公表が増えていることについて、「原因は機種によりさまざまだが、製造現場のホコリによるものでも、作業者の技術レベルに起因するものでもない。小さな問題であってもしっかり公表しているだけで、最近になって製品不良が増えているわけではない」(広報部)と説明する。しかし、現場から聞こえてくる声とはあまりにもかけ離れている。


前回、「不具合の中身をろくに精査しないまま徒に批判する東洋経済のようなスタンスが間違い」と書きましたが、それはここの部分を指していました。

東洋経済では「利益追求のため製造請負に依存し、現場の品質管理が低下しているゆえに不具合が多発しているのではないか?」といったストーリーを導こうとしています。が、そもそもこの記事では不具合の原因が製造現場に繋がるものなのか否かを全く検討していません。それゆえ、論旨の組み立て方が根本的に間違っていることに気付くことができなかったんですね。

この記事で取り上げられたキヤノンの不具合4つのうち、2つはファームウェアに因むものでした。つまり、この2つに関してはプログラムを開発する部門の責任範疇になるわけで、製造現場の状態やそこでどのような作業がなされているかなど全く関係ありません。

また、EOS 5Dのミラー脱落も正式な対策が実施される以前、サービスセンターでの修理後に再び脱落したというケースが報告されています。ということは、製造現場の問題ではないと見るべきでしょう。個別修理ではなく全数回収による対策の実施ということになったのもそれゆえだと思いますが、正式な対策では補強部品が追加されました。設計段階の強度計算などに問題があったか、ミラーの接着に用いられた素材(接着剤の類かと思いますが、具体的には解りませんでした)の品質などを疑うべきでしょう。

EOS5Dのミラー脱落対策
EOS 5Dのミラー脱落対策

唯一、EOS 1D MarkIIIなどのAF用ミラーの調整に係る不具合は製造現場の品質管理に関係している可能があります。が、それとてホコリなどは何の関係もないでしょう。また、こうした精密部品の取り付けや調整には専用の治具やテスタなどを用いるのが普通かと思いますが、それらの構造や精度、あるいは公差の指定そのものに問題があった可能性も排除することはできません。これだけでは作業者の技術レベルと断定することなど到底できませんから、この一例だけで状況証拠だといわれても説得力に欠けます。

このように、不具合の中身をキチンと検討しておけば、この記者が思い描いているような「製造現場の品質管理の低下が不具合多発の原因」といったストーリーに充分な裏付けとなるような不具合など発生していないことが解ったハズです。彼はキヤノンの広報の説明と「現場から聞こえてくる声とはあまりにもかけ離れている」などとしていますが、「あまりにもかけ離れている」のは彼が組み立てたストーリーと実際に起こった不具合の中身です。

こうした稚拙な記事を書いたのは入社からまだ2年少々の新米記者だったようです。が、それをフォローせず、頓珍漢な内容になっていることに気付かないまま世に出してしまったデスクの責任のほうが重いと見るべきかも知れません。

(つづく)

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://ishizumi01.blog28.fc2.com/tb.php/437-8f515d88
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad

まとめ

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。