酒と蘊蓄の日々

The Days of Wine and Knowledges

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たまにはマトモなことも述べるけど・・・

私の会社があるのは都内某所で、昨日(7月22日)の午前中は雨だったり曇りだったりで昼過ぎに少し晴れ間が覗きましたが、日食の時間帯はシッカリ雲がかかっており、ホンの一瞬だけ雲がやや薄くなったときに欠けた太陽がボンヤリと見えたかな?くらいの状況でした。

NHKなども特別番組をやっていましたが、科学的な理解を深めるというよりも単なるイベントとして扱っている部分が殆どで、「人生観が変わった」とかその種のコメントを引き出すような内容が鼻に付きましたね。ゲストの松本零士氏など「奇跡」という言葉を何度も発していましたが、皆既日食など観測可能な地域が海上のみの場合も含めれば最近10年間に8回ありました。この地球上では毎年のように起こっていることですから、奇跡という程ではないと思うんですけどねぇ。部分日食なら年に2~4回くらいの頻度になるようですし。

確かに、地球の衛星である月が太陽と同じくらいの視直径となる大きさと距離になっているというのは奇跡的かも知れません。が、それを言ったら地球に生命が誕生し、それが長く育まれてきたのも、太陽の大きさやそこまでの距離、大気の組成や水の分布などなど、様々な要素が奇跡的に好条件となっているゆえですから、「奇跡的」という側面で地球や宇宙の神秘に切り込んでいけばキリがないハナシになってしまいます。

素直に感動している人たちの気持ちに水を差すつもりは毛頭ありませんが、折角たくさんの人が太陽に注目した一日になったのですから、これを好機と捉えてもう少し太陽についての造詣を深めるような内容を盛り込むべきだったように思います。メディアは日頃から子供たちの理科離れがどうのこうのと騒いでいますが、彼ら自身が理科離れしていることもその原因のひとつではないかと思います。

そういう意味で産経新聞の今日の社説は珍しく良いことが書かれていました。

皆既日食 感動を英知につなげたい

 多くの人がテレビ画面にくぎ付けとなり、息をのんで見詰めたことだろう。日本で46年ぶりの皆既日食である。

(中略)

 しかし、残念ながら青空に恵まれたのは太平洋の硫黄島周辺に限られた。中継もそこからだった。最適地のトカラ列島などは雨に妨げられた。この天候のいたずらで考えたいことがある。

 野外で研究するフィールドサイエンスの苦労だ。生態学や海洋学などでは、研究室の外で過ごす時間が多い。いくら努力しても天気が悪ければ、データの入手は不可能だ。実験室で装置を扱う分子生物学や化学などとは大きく異なる点である。

 政府の科学技術担当者は、この違いへの理解を欠いていないか。近年の政策をみていると、そうした危惧(きぐ)を抱いてしまう。一律に短期間での成果を求めることに無理がある研究領域が存在することを、再認識すべきであろう。

(中略)

 皆既日食は、印象的な現象だ。上手に学習に利用すれば天文学や幾何学の入り口となり、歴史への関心につなぐ糸口にもなる。皆既の始まりと終わりの瞬間に燦然(さんぜん)と輝くダイヤモンドリングにも似た知的感動である。

 日本での大型日食の再来は、意外に近い。平成24年5月21日に関東から九州南部にかけての広い範囲で見事な金環食が観測できる。3年後を楽しみにしたい。

(C)産経新聞 2009年7月23日


殆どのメディアが「次に日本で皆既日食が見られるのは26年後」という情報を伝えている一方、3年後の金環食を伝えるメディアがあまりにも少なかったことに私は驚きました。産経新聞の社説はこれもちゃんと抑えているという点でも悪くない出来だったといえるでしょう。

ついでですので、金環食について補足しておきましょうか。

改めてご説明する必要はないかも知れませんが、月の公転軌道も楕円を描いています。なので、地球との距離が変化します。近地点距離(地球から月まで最も近くなる距離)と遠地点距離(同様に最も遠くなる距離)の差は約43,000kmもあるんですね。今回のように皆既日食となるのは月が地球に近く、視直径が太陽と同じかそれ以上になるときで、2012年は月が今回より遠くにあるため、月の視直径が太陽より少し小さくなってしまいます。こうしたとき、月の周囲に太陽がはみ出して見える金環食になるわけですね。

2012年に東京で見える金環食
2012年5月21日に東京で見られる金環食
これは午前7時34分の状態をシミュレートしたもので、
この33秒後、太陽と月の中心がかなり近い位置に重なります。


26年後といったらかなり先のハナシですが、3年後といえば次の夏季オリンピックの年です。しかも、その範囲は日本列島に広くかかり、下図の青線の内側にいれば太陽の前に月がすっぽりと収まってしまう金環食を見ることができます。

2012年の金環食が見られるエリア
青い線の内側にいれば金環食を見ることができ、
赤い線の上にいれば太陽と月の中心がほぼ重なる
キレイなリングを見ることができます。


今回の皆既日食はトカラ列島や硫黄島など南方の島嶼しか皆既帯が通らず、それ以外の地域は部分日食しか見られませんでした。2012年の金環帯は上図のように非常に広い地域を跨ぎますから、より多くの人が今回より凄い日食を見ることになるでしょう(晴れればですが)。そういう意味でも2035年の皆既日食より、まずはコチラを大きく伝えておくべきだったと思います。

また、産経新聞の社説では以下の部分も悪くない意見だったように思います。

 今回の皆既日食で考えさせられたことが、もうひとつある。「専用の日食グラスを使わないと失明の恐れがある」という警告の大合唱だ。煤(すす)をつけたガラスで眺めた今の大人の世代や途上国の子供たちが失明したのか。

 教えるべきは、長く見続けないという常識であり、望遠鏡でのぞくといった絶対にしてはならないことだ。社会全体が過保護になってしまっては、人間に必要な判断力の成長をゆがめてしまう。


1981年7月31日の部分日食のとき、小学生だった私は夏休みの最中で、ガラスに煤を付ける方法を父から教って観察しました。オモチャみたいな顕微鏡を持っていた私は、そのスライドガラスにロウソクの火を当てて煤を付けました。が、最初は加減が解らず、濃く付け過ぎて何も見えなかったり、薄過ぎたり、子供なりに試行錯誤したものです。もちろん、日食が始まる前にこうした準備をしたわけですが、約60%欠けただけの太陽をこれで見ても何ら異常は生じませんでした。

実際には煤だと赤外線の透過率が高く長時間観察を続けると網膜にダメージを与える恐れがあるということと、上述のように適切な濃さにするのが難しかったり、触ると取れてしまうなど扱いの難しさもあったり、様々な難点があるため推奨できないということのようです。が、可視光はかなり減光できますので、産経新聞の社説でも指摘しているように要は程度の問題でしょう。

今回推奨されたビクセンの日食グラスも長時間の使用は避け、連続して太陽を観察するのも2~3分程度を目安とするように推奨されています。ということは、より安全ではあるけれども如何なる条件や使い方にも耐えるような完全無欠なものではないということでしょう。

といいますか、一部で配布された件の日食グラスには遮光プレートが入っていないものやズレているものがあるという不具合もあったそうです。この不具合に気付かない人はまずいないと思いますが、人間の作るものですから完璧ではないということですね。週刊東洋経済がこれを知ったら許してくれないかも知れませんが。

ま、メディアとしては立場上ベストな方法を伝えるべきだというのは解ります。が、従来から用いられてきたこれらの方法についてココにも「一部の方法については、正しい理解のもとに行えば危険を伴わないものもあります」とあるように、「正しい理解」という部分についてもっと深く掘り下げるべきでした。

駄目な方法は何処が駄目なのか、やり方次第では危険が伴わない方法はどういった点に注意しなければならないのか、そうした部分についてもっと詳しく伝えるべきだったんですね。良い方法と悪い方法とを二色に塗り分け、悪い方法には×印を付すだけという単純な捉え方が科学的に物事を考えない悪癖につながり、理科離れを加速させる元凶であるようにも思えます。

ま、産経新聞の意見も少々荒っぽい感じではありますが、個人的にはこうした風潮に一石を投じたのは良かったように感じました。

ただですね、当blogでも批判しましたが、産経新聞といえば過去に小中学校への携帯電話の持ち込み禁止を「当然である」とする社説を書いているんですね。携帯電話にしても教えるべきは節度をわきまえた使い方であって、闇雲に禁止してしまうのでは「人間に必要な判断力の成長をゆがめてしまう」ことになるでしょう。こういうダブルスタンダードを許しているところが産経新聞のレベルの低さと言わざるを得ませんね。

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