酒と蘊蓄の日々

The Days of Wine and Knowledges

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この男は何勝できるのか? (その1)

昨年、当blogでもツール・ド・フランスの優勝予想をしてみましたが、大穴狙いということもあり、結果は見事にハズレでした。今年は頭抜けた選手が一人でしたから、あえて予想するまでもないと思い、止めておきました。案の定、その頭抜けたアルベルト・コンタドール選手が危なげなく勝ちましたね。

ツール2009ポディウム
表彰台は1位だけ一段高くなっていますが、
3位のアームストロング選手だけ小さく見えるのは
2位のアンディ・シュレク選手が186cmと長身だからでしょう。


予想外だったのはランス・アームストロング選手の活躍で、3年間のブランクもさることながら、37歳という年齢に加え、今年3月24日にブエルタ・ア・カスティーリャ・イ・レオンで集団落車に巻き込まれて鎖骨を骨折するという災難にも遭っていました。

今年初めて出場したジロ・デ・イタリアではアスタナのエースナンバーを付けていたものの、トップから16分近く遅れて12位に終わり、同じアスタナのリーヴァイ・ライプハイマー選手からも10分以上遅れる結果だっただけでなく、得意の個人TTでも上位に顔を出すことなく終わりました。ですから、まさかパリでポディウムに上がるとはツールが始まるまで思わなかったというのが正直なところです。

昨年の優勝予想では大穴狙いで推したアンディ・シュレク選手が今年のツールで着実に成長している様子が見られたのは何よりだったと思います。彼はクライマーとして超一流で、お兄さんのフランク・シュレク選手が滅法苦手な個人TTもそこそこの実力を持っています。そして何より、まだ24歳という若さですから、まだまだ伸び代があります。

コンタドール選手がツール初優勝を飾ったのも24歳のときでしたが、ほぼ総合優勝間違いなしという状況だったミカエル・ラスムッセン選手にドーピングの疑いがかけられ、棄権に追い込まれて順位が繰り上げられた格好でした。そのラスムッセン選手はツールの期間中十数回におよぶ検査で一度も陽性になりませんでしたが、その前段で抜き打ち検査のために義務づけられた所在報告で度々虚偽を繰り返したという疑いが強まり、ツール期間中にチームから追放されるという前代未聞のリタイヤでした。

コンタドール選手の2007年の優勝は「棚ボタ」だったといったらさすがに言葉が過ぎるでしょう。が、この年の彼は今年のアンディ・シュレク選手と見比べて圧倒的といえる実力差があったようにも見えませんでした。特に第19ステージの個人TTでは総合優勝を争っていたリーヴァイ・ライプハイマー選手に2分18秒、カデル・エヴァンス選手にも1分27秒の大差をつけられ、普通の山岳スペシャリストでオールラウンダーではないという印象を強く抱かせる内容だったと思います。

しかし、その翌年くらいからTTでもメキメキと実力を付けてきた感じで、今年のツール第18ステージではTTスペシャリストのファビアン・カンチェラーラ選手を抑えて優勝を飾るなど、TTでも超一流の実力を見せつけました。山岳もTTも最高レベルに達した現在のコンタドール選手に比べればアンディ・シュレク選手はやはり見劣りします。昨年に比べて着実に成長していることを思えば将来はコンタドール選手の良きライバルとして大いに期待したいところですが。

前人未踏のツール7連覇を達成したアームストロング選手のツール初制覇は1999年ですから27歳のときですが、コンタドール選手はまだ26歳で既に2勝です。彼を脅かすような選手が今後も現われず、現在の実力を維持し続ければ2桁の大台に乗せることも不可能ではないかも知れません。ただ、コンタドール選手のようにツール初優勝と新人賞を同時に果たした選手は良いところまで行ってもなかなかツールでは勝てないというジンクスもあります。

例えば、プロ2年目の23歳で初出場ながら優勝したローラン・フィニョン選手の場合、その1983年は同じルノーのエースだったベルナール・イノー選手の故障欠場で大抜擢されての快挙でした。翌年にはラ・ヴィ・クレールを立ち上げてルノーを去ったイノー選手とガチの対決となりましたが、その当時最強の王者をアルプスで叩きのめし、連覇を飾るという順風満帆のスタートを切りました。が、8秒というツール史上最小の僅差で惜敗した1989年を例外として、膝の故障や体調不良などツールでは良い成績を納めることなく終わっています。

また、22歳で初出場2位を果たしたヤン・ウルリッヒ選手は翌1997年に23歳の若さで優勝を遂げました。が、ご存じのようにランス・アームストロング選手と同じ時代に全盛期を迎えたことと、何よりシーズンオフの不摂生でブクブクに太ってシーズンインし、体型すらマトモに整えられないということが何度かあった調整下手が彼のポテンシャルを引き下げてしまった感も否めません。アームストロング選手がいなければあと3勝はできていたでしょうし、アームストロング選手のようにストイックな選手生活を送っていたら立場が逆転していたかも知れません。

プロサイクリストにあるまじき体型のウルリッヒ
プロサイクリストにあるまじき体型のウルリッヒ選手
これは2006年のジロ・デ・イタリア第11ステージのときのものです。
この膨れ上がった腹は何か詰め物をしているのでは?と噂になりましたが
正真正銘、100%混じりっけなしの贅肉です。
この無様な体型で彼は50kmのTTを平均58.48km/hで駆け抜け、
2位のイヴァン・バッソ選手に28秒差をつけてステージ優勝しました。
が、山では思うように走れず、第19ステージでリタイヤしました。


逆に、アームストロング選手のあの強さは睾丸のガンが肺や脳まで転移し、生存確率50%を宣告され、それを見事に克服してカムバックしてきた精神的な強さに支えられていた部分もあったように思います。1986年にアメリカ人としてツール初優勝を遂げたグレッグ・レモン選手もその翌年4月にいとこと狩猟に出掛けて誤射され、瀕死の重傷を負ったものの、2年後にカムバックして2連勝しました。

死線をさまようような経験をすると人の精神は強くなるとすれば、コンタドール選手もツール初優勝の2年前に脳の多孔性血管腫で死の淵を経験し、約半年間の入院生活を余儀なくされています。彼の精神的な強さはアームストロング選手らに通じるものがあるのかも知れません。

(つづく)

コメント

こ、これは…

>プロサイクリストにあるまじき体型のウルリッヒ選手

の、写真と文面に思わず笑ってしまいましたが、似たような体型の僕としては、何故か応援したくなる、という不思議な思考に陥ってしまい、なんだかトホホな気分です(笑

うーん。
でも、たしかに、これは……

節制しようと思わせてくれるエントリでした(笑

  • 2009/07/28(火) 23:48:22 |
  • URL |
  • Ocha #-
  • [ 編集]

Ochaさん>

これでもジロ(5月)だからおなか周りで済んでいますが、同年の春先のレースでは頬の周りまでパンパンに肉を付けて顔まで別人のように太ってましたからねぇ。
http://9-26.way-nifty.com/.shared/image.html?/photos/uncategorized/ur.jpg
↑コレを見たときは俄に信じられず、加工された画像かと思いました。

グレッグ・レモン選手や今年息子が活躍したステファン・ロッシュ選手のように引退してからブクブクに太ってしまうケースは珍しくもありませんが、現役でシーズンオフにあそこまで体型が変わってしまう選手というのは他のスポーツでも見たことがありません。

逆にいえば、あれだけ誘惑に弱くてあれだけの成績が残せたのですから、アームストロング選手並みにストイックな性格だったら1997年から10連覇くらいしていたんじゃないかと思ったりもします。

  • 2009/07/30(木) 00:09:43 |
  • URL |
  • 石墨 #PxDbU/1w
  • [ 編集]

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