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電気自動車は遠い過去のクルマであり遠い未来のクルマである (その3)

三菱自動車のi-MiEVは「1回の充電で160km走れる」と宣伝されています。が、これは実際のパワーマネジメントではあり得ないバッテリーの使い方をした場合の数字です。ユーザーに引き渡される状態ではバッテリーの寿命を延ばすため、容量の80%しか用いないとのことですから、10-15モードでも128km程度しか走らない計算になります。もちろん、こうした走行パターンと実走行では大きな差が生じるのが普通ですから、現実的にはもっともっと航続距離は短くなり、宣伝されている160kmとは大きくかけ離れた数字になるものと考えられます。

実走行の燃費はドライバーの意識や技量、道路状況など様々な要因で大きく変わるのは言うまでもないでしょう。私のケースについてはこれまでも何度となく述べてきましたが、クルマの特性を充分に理解してその実力を引き出すようなドライビングに徹した場合とそうでない場合とで結構な差が出ます。

具体的には、2代目プリウスの10-15モードで35.5km/Lとなっているカタログ値に対し、かなり本気の省エネ走行(といっても私の技量の範疇ですが)で30km/L前後(10-15モードに対して約15%減)、省エネを意識しながら苦にならない程度の走り方で26km/L前後(約27%減)、全く意識しなければ22km/L前後(約38%減)といった感じです(アイドリング状態が増える冬場や、あまり頑張りようがない高速道路などは除きます)。

私の経験上、プリウス以外でも10-15モードと実走との間に生じる差は省エネ走行に徹して20%強、普通に走れば30~40%くらいといった印象です。こうしたことから類推しますと、バッテリー保護のため20%のマージンが設けられ、デフォルトでも10-15モードで128km程度まで目減りすると見られるi-MiEVを普通の人が普通に実走させると70km台後半から90kmくらいが良いところではないかと推測されます(あくまでも推測です)。

TEPCO向けi-MiEV実証走行試験車
東京電力向けi-MiEV
i-MiEVは昨年から東京電力の実証走行試験車として
営業用に使用されてきました。


i-MiEVもプラグイン・ステラも先行テストとして企業に貸し出されてきたようですが、営業車としてi-MiEVを使用してきた東京電力の場合、通常走行での航続距離は80km程度が目安だったといいます。電装品などの使用を極力控えたり、このクルマ固有の省エネ走法をマスターすればもっと伸びるとは思います。が、逆に空調や諸々の電装品の使用状況によってはさらに目減りもするでしょうから、安心して乗れる距離は条件次第でもっと短くなる可能性もあります。

TEPCO向けハイパーミニ実証走行試験車
東京電力向けハイパーミニ
約10年前からリチウムイオン電池車を市販してきた日産ですが、
リチウムイオン電池車として日本初の専用車で型式認定を受けた
ハイパーミニも東京電力で実証走行試験車を務めました。
ま、東京電力は昔から電気自動車が世に出る度に
営業車として導入してきましたから、そういう意味でも
今回のi-MiEVが特別な存在とは見なしがたいものがあります。


中でも特に問題なのは冬場の暖房です。以前から何度も述べてきましたように、ガソリンおよびディーゼルエンジン車はエンジンの冷却水の熱を利用した温水暖房を採用しています。が、電気モーターやその制御系の発熱量はこれらの発動機には全く及ばず(その分だけエネルギー損失が少なく、効率が優れているともいえますが)、現状では暖房に電気ヒーターを用いなければなりません。ご存じのように、ジュール熱(電気抵抗がある物質に電流を流したときに生じる熱)を利用した普通の電気ヒーターは効率が悪く、消費電力が非常に大きくなってしまいます。

三菱自動車では効率の優れたヒートポンプなども検討していたようですが、現状では自動車用のそれが存在しないため(自動車用エアコンのサプライヤーとしては最大手のデンソーも製品化の計画はないといいます)、これを採用するとなればゼロからの開発ということになります。それではただでさえ高価な電気自動車の価格をさらに押し上げてしまうことになるため、今回は見送られたといいます。

結局、i-MiEVは電気ヒーターで加熱した温水を循環させる方式を採用し(たぶんベースとなったガソリンエンジン車のヒーターマトリクスを流用したのでしょう)、冷房と暖房が同時に作動しやすいフルオートエアコンとはせず、マニュアルエアコンを採用したとのことです。が、これもやや詭弁のように思えます。マネジメントのやり方や諸々のチューニング次第でフルオートでも効率改善はできたと思います(実際、3代目プリウスはそうした部分にもメスを入れて効率改善を図っています)が、コストとの兼ね合いもあるのでしょう。

あるいは、空調の利用方法を完全にユーザーへ委ね、余計なクレームを回避しようとしていると考えるべきでしょうか? エアコンの効き具合については人によって感じ方に差がありますから、「効率を重視したせいで効きが悪い」だの「普通に効かせるとエネルギー消費が大き過ぎる」だのと人によって異なる感覚で評価されるものです。マニュアルにしておけば「使い方が悪い」といった方向で言い逃れもできそうですが、下手にフルオートにしてしまうとそれも難しくなるでしょう。ま、少々穿ち過ぎかも知れませんが。

こうした空調よりも直接的に乗員の身体を暖めるシートヒーターのほうが効率が良いため、i-MiEVはこれも装備することでエアコンによる暖房を抑えめにしてもあまり寒く感じさせないような工夫をしているようです。とはいえ、これらはどちらかというと小手先の対処法でしかなく、決定的な解決策とは言い難いところです。

実際、三菱自動車がi-MiEVで行った実走行試験では暖房時に最大で40%も航続距離が低下するという結果が出ているそうで、冷房よりもさらに大きなエネルギーロスになっているとのことです。私にとって最初の愛車であるユーノス・ロードスターは冷房を効かせるとかなり燃費が悪化しましたが、それでもせいぜい十数%くらいでしたから、この40%という大幅ダウンは決して軽視できるものではないでしょう。

(つづく)

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