酒と蘊蓄の日々

The Days of Wine and Knowledges

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電気自動車は遠い過去のクルマであり遠い未来のクルマである (その4)

オートバックスなどのカー用品店へ行きますと、シガーライターソケットに繋いで使えるアイテムが山のように売られています。速度違反の取り締りで使われる電波を感知してそれを知らせるレーダー探知機の類(ソーラーセルを搭載して電源不要としているものも少なくありませんが)から、手元や足元を照らすイルミネーションの類、マイナスイオンの発生器、香りを炊いて運転しながらアロマテラピーができる(そんな必要があるのか甚だ疑問ですが)などなど、実に様々です。

私の場合、愛車にはディーラーオプションで装着したETC車載器のほか、ドライブレコーダー、車載コンピュータのモニタリングシステム、あまり使いませんがワンセグチューナーもDIYで装着しています。標準装備のカーナビやカーオーディオなども含めますと、走行には直接関係のない装備でもそれなりの電力を消費していると思います。さらに、夜間の灯火類や雨天でのワイパーの使用など走行に必要な電装品による電力消費も加わればバッテリーの負担も上がっていくものと思います。

普通のガソリンエンジン車などは元々積んでおけるエネルギーの量が非常に多いですから、電気を沢山使っても航続距離に大きな影響は出にくいものです。が、限られたエネルギー搭載量でひたすら効率アップに傾注し、航続距離を少しでも稼ごうと涙ぐましい努力で遣り繰りしている現在の電気自動車では状況が大きく違ってきます。現状で考えれば娯楽装備や快適装備のため従来のように無頓着な電気の使い方をすれば、航続距離にも顕著に影響することになると思います。

しかも、今のところは充電施設が皆無に等しい状態です。ガス欠ならJAFのロードサービスで対応してもらえます(会員なら燃料代の実費だけで済みます)が、電気自動車の充電にはそういう救援も期待できないでしょう。となればレッカー移動が必須でしょうから、非常に面倒なことになってきます。こうした事態に陥らないよう、普段からバッテリー切れにはとにかく神経を尖らせておかなければならないわけで、やはり電気自動車は普通のガソリンエンジン車などのような感覚では付き合える状況ではありません。

仮に充電インフラが整ってきたとしても、i-MiEVのような少ないバッテリー容量でさえ80%(実用上の満充電)まで急速充電でも30分かかってしまいます。将来的にバッテリー容量が2倍3倍と増えていけば、充電設備もより大きな電流を扱えるものにグレードアップしていかなければその分だけ時間も長引いてしまうことになるわけですね。

そもそも、大電流を扱うとなればそれだけ危険度も増していきます。また、バッテリーのエネルギー密度が高まるほどその充放電のマネジメントもシビアになるでしょうから、ハナシはそう単純なものではないと思います。少なくとも、ケミカルバッテリーが現在のような方法で運用される限りにおいては、将来に渡ってもそう簡単にガソリンやディーゼルのような感覚で付き合えるようにはならず、根本的な解決策にはなかなか行き当たらないかも知れません。

ならば、充電速度を上げるのではなく、初めから充電済みのバッテリーへ丸ごと交換してしまえば良いのではないかと思われるでしょう。そういうアイデアはかなり古くから提唱されていましたし。しかしながら、i-MiEVのような少ない容量でさえ約200kgという非常に大きな重量がありますから、その交換にはリフトなどの大仰な設備が必要になるでしょう。

実際にベタープレイスというアメリカのベンチャー企業がバッテリーの交換作業を自動的に行えるシステムを開発しています。また、日産とルノーはこのシステムを採用し、イスラエルで実用化に向けた覚え書きを交わした旨、正式にプレスリリースもされています。

デュアリスEVとベタープレイスのバッテリー交換システム
デュアリスベースの電気自動車と
ベタープレイスのバッテリー交換システム

日産の電気自動車がバッテリーをリース契約とする計画なのは
こうしたシステムでユーザーが一つのバッテリーを占有せず、
残量が少なくなってきたら充電済みのものに交換する
といった方式を検討しているからかも知れません。


ただですね、この方式も多くのクルマが電気自動車に置き換わって数を沢山こなさなければならなくなったら、かなり大変なことになりそうな気がします。実証実験(その模様はコチラの動画でご覧頂いたほうが解りやすいでしょう)ではかなりスマートに完結しているように見えますが、車両のフロア下にあるバッテリーをゴッソリ取り外して充電ステーションで充電済みのそれと交換するわけですから、その巨大なバッテリーを沢山ストックしておくヤードの確保と、交換システムとの連携についても考慮しなければなりません。

それに加えて、軽自動車から大型車まで同じサイズのバッテリーで対応できるわけがありませんから、容量の異なる何種類かの規格を設け、それぞれのバッテリーをストックしておかなければならないわけですね。リンク先にある映像のような簡易的なコンベアシステムだけで済むわけがなく、オートメーション工場にある無人物流システムみたいな大げさな施設が必要になってくるのではないかと懸念されます。

また、バッテリーは現状で数百kgレベルの重量がありますから、これをフロア下からゴッソリ取り外せるようにするとなれば自重を支えられる構造も持たせたなければなりません。さらに、車体とは数カ所のロック機構で固定されますから、全体が変形してしまわないように相応の剛性も確保しなければならないでしょう。

ちなみに、i-MiEVもバッテリーの搭載はフロア下からになりますから、バッテリーASSYには自重を受け持つフレームが設けられています。が、廃車まで原則としてバッテリー交換は想定していませんので、取り外し時には車体側のブラケットとバッテリーASSYのフレームとの相対変形量を20箇所計測してから行うことになっています。要するに、バッテリーASSYは自重を支えるだけで、剛性の確保は車体側に依存しているということでしょう。

バッテリーパックそのものが充分な強度を持つようにするとなればその分だけ重くなり、体積も増えることになるでしょう。ただでさえエネルギー密度が非常に低いケミカルバッテリーですから、車載するにも交換用のそれを沢山ストックしておくにもより大きな空間を必要とすることになり、条件としては不利になるでしょう。

例えば、ベタープレイスのカセット方式は積荷をコンテナに積み込んでコンテナごと載せ替えるようなものだとすれば、i-MiEVのようなパターンは積荷をパレットでバン型トラックに積み込むような格好に相当するといったところでしょうか。積載量としては後者のほうがずっと有利になります。

ガソリンや軽油は非常にエネルギー密度が高い上に液体ですから、ガソリンスタンドの地下にあるタンクの構造に合わせて隙間なく貯蔵しておけます。が、巨大なカセット式のバッテリーパックを種類別に数多くストックしておくにはそれなりに大きな空間が必要になります。ガソリンスタンドを模様替えして代替できるようなシステムにするのはコスト面も含めて非常に難しいのではないかというのが私の個人的な感想です。

それ以前に、バッテリーの規格化自体がすんなりいくとも思えません。寸法や搭載方法の規格化はクルマの構造やパッケージングそのものに非常に大きな影響を及ぼすハズです。軽自動車から7人乗りのミニバンなどに至るまでメーカーを跨いで規格を整えていくのはそう簡単なことではないと思います。

(つづく)

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