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危機管理とシミュレーションがワンセットである理由

元アメリカ副大統領のアル・ゴア氏と国連のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)が一昨年のノーベル平和賞を受賞したのはご存じの通りです。が、アル・ゴア氏の『不都合な真実』という映画や書籍の中身とIPCCの評価報告書の中身は大きく食い違う点がいくつもあります。そうしたことが問題視され、イギリス高等法院から『不都合な真実』を教材として利用する場合は、注釈を加えるよう指示が出されたのは以前にも取り上げた通りです。

ゴア氏の説く地球温暖化脅威論とIPCCのそれとは数値や理論に整合していない部分が何ヶ所もあるにも拘わらず、その両者が同時にノーベル平和賞を受賞したということは、彼等が選考された際に地球温暖化を巡る科学的な検討は一切成されず、全て政治的な主観に基づいていたということを示します。

ノーベル平和賞はノルウェー国会に選任された委員によって選考されますが、その委員は多くが元国会議員などの識者とされており、科学的な認識について専門家とはいえない人たちによって与えられる賞ということです。政治的な意味はあっても科学的な意義は全く付与されません。この賞が授与されたことで地球温暖化が人為的であるとする政治的なコンセンサスはより強化されたかも知れませんが、事実関係の科学的な考察に何ら影響を与えるものでないのは言うまでもありません。

イギリス高等法院が件の訴訟を受けて基準にしたIPCCの評価報告書も当然のことながら事実を正しく伝えている保証などありません。現に、彼等はこれまで4度に渡ってこの評価報告書を出していますが、最新版が出される度に内容も微妙に変化しています。

特に、第3次評価報告書に掲載され、第4次評価報告書では削除された俗にいう「ホッケースティック曲線」の問題は、彼等の編纂作業が如何にいい加減で恣意的なものであるかを物語っています。また、こうした疑わしいデータが看過された以上、「何千人もの科学者の査読を受けているこの報告書は信頼できる」などという主張で権威を高めようと思っても全く通りません。

追記:ホッケースティック曲線はIPCCの第4次評価報告書でもフルレポートには残されていました。が、従前からその信憑性は疑われており、COP15を前にしてその証拠となるようなメールやファイルが暴露されるクライメートゲート事件に発展しました。詳しくはコチラ

このケースは特別だったとしても、彼等は評価報告書の内容を少なからず書き換えてきたのは揺るぎない事実です。その主な理由の一つとして「気候モデルやコンピュータの性能が向上したから」と説明されるものがあります。これは専ら将来の予測にかかる部分になりますが、従前のシミュレーション結果が何度も修正されてきたという事実は、裏を返せば現在のシミュレーション結果も将来修正される可能性があると理解すべきで、これを盲信するのは非常に危険だということになります。実際、最新版による予測も現実とは大きく乖離していますし。

IPCCの予測と実測との差
最近7年の地球の平均気温とIPCCの予測の差
以前にも同じようなグラフをご紹介しましたが、
こちらのほうが実測データが新しいものになります。
ご覧のように気温が下降を続けている実測データに対し
IPCCの予測は上昇を続けており、現実と乖離している
ということが解ります。
仮にこのペースで気温の下降が続くとしたら、
今世紀末には現在の-2℃というレベルで寒冷化している
ということになるのかも知れません。


当blogでは同じようなグラフを過去にもご紹介しましたが、ご覧のようにIPCCが採用した予測は全く的外れな結果になっています。地球の平均気温は1998年頃をピークとしてその後の10年程はずっと下降傾向を示しています。もちろん、「短期間の変動で結論を出すのは拙速」といわれるかも知れません。しかしながら、IPCCが採用している仮説によれば人為的な温暖化が始まったのはここ40年ほどのことでしかないわけですから、その中での10年であれば決して短期間とは言い難いでしょう。

これも以前に述べたことの繰り返しになりますが、IPCCは自然界がCO2を吸収する限界を炭素換算で31億トン/年としています。人為的なCO2排出量がそれを上回ったのは1960年代後半くらいですから、それ以前の気温上昇は人為的なものではなかったということになります。

1960年代後半から現在まで40年少々の間、気温の上昇傾向が見られたのは1970年代後半から1990年代後半にかけてほぼ20年間で0.4℃強だけですから、この20年の気温上昇0.4℃強を人為的とする一方で、その前後の10年は自然の気候変動によって人為的な温暖化が相殺されたなどと説明するはあまりにも都合が良すぎます。

近年の平均気温が下降していることに対して、国立環境研は「地球が低温期にあるのは事実だが、気候の揺らぎが原因の一つ」と説明しています。上掲のグラフのように予測と一致しなかったことについては、気候モデルでもその「揺らぎ」を踏まえているものの、それがいつ頃から始まるかという正確な再現ができないゆえ短期的には予測通りにならないかも知れないが、長期的な傾向については充分に予測可能で、温暖化の進行は間違いないとしています。私には非常に見苦しい言い訳にしか聞こえませんが。

そもそも、「揺らぎ」を正確に再現できないのなら、1970年代後半から1990年代後半にかけて0.4℃少々の気温上昇があったのも、いくつかの「再現できなかった揺らぎ」が重なっただけかも知れません。このほぼ20年間の気温上昇が彼らのいう人為的温暖化の全てです。10年程度の期間における「揺らぎ」の発生を正確に再現できないレベルのコンピュータモデルを使って、この20年間の気温上昇が間違いなく人類の排出した温室効果ガスの影響だと言い張るのは、およそ科学的な態度とはいえません。というより、似非科学の典型的なパターンです。

一方、ゴア氏の『不都合な真実』では温暖化によって海水温が上昇するとハリケーンなどの発生数や規模が拡大し、大きな被害をもたらすといった旨が唱えられています。が、現実には下図のように台風やハリケーン、サイクロンなど熱帯低気圧のエネルギー累計はこの35年ほどの間に上昇傾向など見られません。

サイクロン等のエネルギー累計の推移
熱帯低気圧のエネルギー累計の推移

何度も述べてきたことですが、地球の平均気温の変化が自然変動の範囲を逸脱しているという根拠も、その原因が人為的な温室効果ガスの排出によってもたらされたものだとする根拠も、全てコンピュータシミュレーションによる再現実験でしか示されていません。しかし、シミュレーションが現実を正しく再現できず、未来を正確に予測できていない事実を鑑みれば、過去に遡っても正しくそれが再現できていたとは到底見なすことなどできません。

彼等が過去を再現できたと言い張るのは、既に出ている結果に合わせてパラメタなどを合わせ込んでいく作業を重ねたという事実に過ぎません。それでも合わない場合は「フラックス調整」と称する数値の改ざんまで行っているのですから、これを信頼できるシミュレーションだと見なすほうがどうかしています。私たち懐疑派・否定派にこのシミュレーションが「後出しジャンケン」と言われるのはそれ故です。

こうして彼等の予想が次々に外れていくなか、政治的には既成事実化がどんどん進められてもはや後戻りが難しい状態になっています。この地球温暖化問題を何らかのカタチで幕引きするとしたら、それはいずれ違う「新たな脅威」を台頭させ、「オゾン層破壊問題」のように大衆メディアが忘れ去るよう仕向けるしかないのかも知れません。その「新たな脅威」もまたコンピュータシミュレーションによって誇張ないし創作された政治的なものであるのは間違いないと思いますが。

現に、新型インフルエンザをはじめとした「パンデミック」の恐怖は、やはりシミュレーションを駆使して大げさな数字を弾き出し、大衆をコントロールしようとするいつものパターンにハマっています。

多くの宗教に見られる「終末論」と同様の心理操作は、大衆をコントロールしたい指導者達にとって最も有効な手段だということなのでしょう。「終末論」と「予言」がワンセットであったように、この種の「危機管理」と「シミュレーション」もワンセットであるところからして、言葉と雰囲気を変えてはいるものの、太古から同じことが繰り返されているということなのだと思います。

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