酒と蘊蓄の日々

The Days of Wine and Knowledges

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中判以上の画質はそれなりの重量を伴う (その2)

私が趣味として本格的に写真を撮り始めたばかりでまだ手探り状態だった頃、撮影データを残しておくのはコツをつかむ近道だと思っていました。最初は白紙のメモ帳を持って歩いたのですが、記入すべき項目が乱雑になってしまって後で見づらかったので、絞りやシャッタースピードなどの項目を罫線で区切った用紙をワープロで作成しました。当時はワープロといってもインクリボンか感熱紙を用いるサーマルプリンタを備えた専用機で、パソコンなどは一部のマニアしか使っていない時代でした。

インクリボンでは高く付きますが、感熱紙では鉛筆で書いたり消しゴムで消したりしにくかったため、感熱紙に印刷したものを普通紙コピーで印刷するといった方法で大量に用意し、撮影する度にメモを取るという繰り返しで基本を勉強したものです。

現在はこうした手間をかけることなく、絞りやシャッタースピード、露出モードや補正値等々、撮影データがシッカリと画像ファイルに記録されます。データが登録されているレンズならズームで焦点距離が何ミリかということまで記録されるんですね。昔みたいに一々メモを取っておかなくても良いというのは大助かりです。

ま、便利になればなったでプロセスがどんどん単純になる分だけ趣味的な拘りの部分が薄らいでしまうでしょうし、そもそも面倒がかからないという緩い坂を上って一つの山を越えても、その達成感はあまり大きなものにならなかったりするでしょう。そういう精神的な部分では便利になることでデメリットに繋がることもあると思います。

こうして撮った写真をプリントしてみても、その画質の良さに圧倒されます。ま、近年はコンパクトデジカメもかなりの高解像度になっていますし、キレイに見せるための色々な補正もなされていますから、高画質を得ること自体は特別なことではないかも知れません。が、前回ご覧頂いた写真のようにあれほど薄暗い場所でもノイズがあまり気にならない好結果が得られたのは、諸々の技術的な進歩だけでなく、イメージセンサの大きさという物理的な前提条件の優位性もあるのではないかと思います。

もちろん、フィルムにはフィルムの良さもありますが、解像度や感度などの面ではもはや比較にならない差が付いてしまったというべきでしょう。中感度の35mm判フィルムではキャビネサイズ(120×165mm)でも粒子が気になり始める感じで、六ツ切(8×10インチ:203×254mm)まで伸ばそうと思うとカラーネガならコダックのエクター25(その名の通りISO25の低感度・超極微粒子フィルム)が欲しくなるところです。六ツ切以上に焼くつもりで高解像度を望むようなら35mm判では力不足で、ブローニーフィルムを使う中判カメラの出番になるところです。

味わいとか感覚的な部分は別にすると、このクラスのデジタル一眼レフカメラの総合的な画質は中判のフィルムカメラをも超えてしまったといって良いと思います。ま、私の家にあるプリンタではA4までしか対応できませんので、EOS5D2の解像度を最大限に生かせるプリントはできませんけど。

しかしですね、その重さも中判カメラ並みになっているんですよね。私の場合、今回はボディと一緒に買ったEF24-105mm F4L IS USMという手ぶれ補正付ズームレンズをメインに使いましたが、ボディと合わせて実測でほぼ1.7kg(バッテリーなどを含む)にもなってしまうんですね。ボディだけならフィルム時代にメインで使っていたEOS1Nとほぼ同じですが(カタログ値を見ると100g軽くなっているハズですが、実測ではほぼ同じ重さでした)、件のレンズがまた結構な重さですから、両方合わせるとやはりかなりの重量に感じます。

私も学生時代のような体力はありませんし、あの頃のような集中力もなくなっていますから、この重さで長時間の撮影は少々シンドイものがあります。昔は重い機材を携えて1日中歩き回っても平気でしたが、いまはそこまでの元気もありません。特に今回はひどい渋滞にハマって12時間近くもクルマを運転した直後でしたから尚更かも知れませんが。

私が持っているカメラの中で一番重いのはマミヤ645PROにマミヤセコール55-110mmズームレンズ、プリズムファインダー、ワインダーグリップを付けたもので約2.5kgになります。EOS5D2に標準ズームを付けるとこれに次ぐ重さになってしまうわけですね。これまで2番目に重かったハッセルブラッド★503CX+カールツァイス・プラナー CB 80mm F2.8 T*より100g近く重いのですから、撮像素子のサイズとしては35mm判でも、実際の運用上は中判カメラ並みに体力を使うというわけです。

こんなにクソ重いカメラですが、ネットの書き込みなどを見ていると「ミラーショックが大きい」という人がチラホラいるのですから、これには少々驚きます。もちろん、ミラーの重量だけがミラーショックの大きさの要件とはなりませんが、カメラの総重量が軽く、ミラーの重量が重いほど条件は悪くなります。そういう意味ではかなりの重量があるEOS5D2の条件はむしろ良いハズなんですね。

私はまだフィルムカメラしか持っていなかった頃、旅行や出張で荷物を減らしたいと思ったらEOS kissⅢにタムロンの28-200mmズームを付けたものを持って行きました。その状態でたかだか950g弱、純正の標準ズームなら900gをかなり下回っていたと思います。あの軽さでも普通に35mm判フィルムを使うフルサイズの一眼レフカメラですから、当然フルサイズのミラーが動いていたわけです。しかし、当時EOS kissシリーズを評して「ミラーショックが大きい」などと文句を言っていた人はいなかったと思います。

メーカー純正の標準ズームを付けた状態であのEOS kissⅢの倍くらいの重さになるEOS5D2のミラーショックが大きいと感じるのは、要するにAPSサイズのデジタル一眼で一眼レフカメラを初体験した人たちなのでしょう。確かにアレはミラーが小さい分だけミラーショックも小さく、それしか基準がない人が評価すればEOS5D2のミラーショックが大きいとされてしまうのは仕方ないことでしょう。

中型一眼レフになると35mm判の2.7倍(セミ判:6×4.5cm判)とか3.6倍(6×6cm判)とか4.5倍(6×7cm判)とか、それくらい巨大なミラーが動きます。私が使っている状態のハッセルブラッドなどEOS5D2より100g近く軽くて3.6倍も大きいミラーが動くわけですから、EOS5D2ごときで(しかも手ぶれ補正機能付きのレンズが沢山ラインナップされている今日にあって)「ミラーショックが大きい」などと騒いでいる神経質な彼らには中型一眼レフの手持ち撮影などできないでしょう。

EOS5D2と503CXのミラーの比較
35mm判と6×6cm判のミラーの比較
右のEOS5D2にセット販売されている標準ズームを装着すると
左のハッセルブラッド503CX+カールツァイス・プラナー80mmより
約100g重くなりますが、ご覧のようにレフミラーのサイズは
ずっと小さいのがお解りになると思います。
ハッセルブラッドのミラーはクイックリターンしないので
シャッターを切ったときは片道分だけの振動になりますが、
いずれにしても撮影結果に影響するのはその分の振動だけです。


カメラの性能にも隔世の感を抱きましたが、それを使う人たちの反応を見ても隔世の感があります。ま、こういうことを言うのは私もオッサンになった証拠かも知れませんが。

(おしまい)

コメント

僕も銀塩カメラ(OM-4時代)は、小さなメモ帳にデータを記入していました。が、撮影に夢中になってくると、記入を忘れてしまったりして、あまり定着しませんでした(苦笑)。

ミラーショックに関して、OM-4の時からたいして気になりませんねぇ、僕の場合。
まあ、鈍感だからというのもあるのでしょうが、OM-4自体、ミラーショックが小さいのでしょうか、現在使っているOM-1もスローシャッターの時は確かに多少感じる時がありますが、デジタルのD90に関してはAPS-Cサイズというのもあってか、「ミラーの動く音がする」程度です。

最近はいつものビョーキが始まってきまして、ペンタックスのK7が欲しくなってきたりしています。あのペンタ純正レンズの緑のラインが格好良かったり……(笑

結局僕の撮る写真が良くならないのは、写真が好きなんじゃなくて、カメラが好きなんだからじゃないかなぁ、なんて自己診断しています(苦笑

  • 2009/08/30(日) 07:00:51 |
  • URL |
  • Ocha #-
  • [ 編集]

Ochaさん>

ミラーショックについては実際の振動よりもファインダーの瞬きが大きいことに惑わされている可能性もありますね。人間は視覚的な情報に最も影響を受けやすいですから、実際の振動そのものは気にするほどじゃなくても、ファインダーがブラックアウトするまでの視覚的な変化やその時間の長さが大きくなると動作が大きい=ミラーショックが大きいとイメージしている可能性もあります。

>ペンタックスのK7が欲しくなってきたりしています。

キヤノンもEOS kissシリーズでコンパクトな一眼レフはフィルム時代からやっていて、このジャンルでは老舗ともいえるペンタックスと以前から競うようなところがありましたね。

もっとも、EOS kissシリーズはエントリーモデルとしてスペック的にはそこそこといった感じで、使い方次第ではそれなりの仕事をこなしてくれるけれども初心者向けの仕掛けが無駄に感じたり、もっとお金をかけて欲しいところがコストダウンされていたり(昔はレンズマウントが金属ではなくてエンジニアリングプラスチックだったりしましたし)、ある程度のレベルに達した人たちには物足りないと感じさせる内容になってます。ま、その辺もメーカーの狙いで、もっと本格的なスペックを求めるならもうワンランク上のモデルをどうぞということで上位機種へ誘導するのが商売の綾なのでしょうけど。

その点、ペンタックスのK7はかなり硬派で本格的なスペックですから、小柄なボディサイズでもより本格的な一眼レフが欲しいという向きにはかなりそそられるモデルですよね。私も先日デモ機を触ってきましたが、EOSシリーズにもあの凝縮感があるコンパクトモデルが欲しいと思いました。

と同時に、「これでイメージセンサがフルサイズだったらボディ価格が20万円超でも即買いだな」と思いました。というのも、最近EOSのEFマウントにサードパーティ製のアダプタを介してM42マウント(いわゆるプラクチカマウント)の古いドイツ製レンズを付けて遊んでいるのですが、EOS5D2のあの大柄なボディではレンズとのバランスが悪く、EOS kissクラスのボディでフルサイズセンサのデジタル一眼レフが欲しいと感じたからです。

M42マウントのレンズについては当blogでもいずれネタにしようと思っているのですが、私は10年以上前にこのレンズを使う専用機としてペンタックスMXという機械式シャッターのマニュアル機を買いました。ペンタックスのKマウントはM42マウントとフランジバック(レンズとボディの接合面からフィルム面までの距離:これが合わないと無限遠が出なかったり行き過ぎたりします)が全く同じなんですね。

ま、ペンタックスはKマウント以前にM42マウントを採用していましたから、そのレンズが使えるようにあえてフランジバックを同じにし、アダプタを用いることでレンズ資産を生かせるようにしたのでしょう。サードパーティ製のアダプタを使えば他社のカメラでもM42マウントのレンズを使えるようになりますが、ペンタックスは元々「純正」のM42マウントアダプタを発売していましたし、驚くべきことに現在もそれは継続されているんですね。

ペンタックスK7にもメーカー純正のアダプタを装着して40~60年くらい前に黄金期を迎えたM42マウントのクラシックレンズが使えるというわけです。こうしたレンズを使うボディとしてペンタックスは最高ですから、フルサイズセンサで大きさもK7くらいにして少しクラシカルなイメージを持たせた外装デザインのデジタル一眼レフが手頃な値段で発売されたら、M42マウントレンズの愛好家たち(潜在的にかなりの人数がいると思います)はこぞってこれを買うと思います。

>結局僕の撮る写真が良くならないのは、写真が好きなんじゃなくて、カメラが好きなんだからじゃないかなぁ、なんて自己診断しています(苦笑

私もそういう領域にいる一人ですが、逆にいえば私たちのような人間が沢山いるからカメラは単純に「写真を撮る道具」というレベルを超えた文化を築き上げていったといえるのかも知れませんね。それはそれで意義のあることだと思います。

  • 2009/09/01(火) 00:21:18 |
  • URL |
  • 石墨 #PxDbU/1w
  • [ 編集]

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