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電気自動車の充電スタンドは商売にならない (その1)

以前、このカテゴリー最長となる8回の連載で電気自動車について沢山のことを述べさせて頂きました。ま、片手間で原稿を書いている状態ですからあまりキチンと編集しているわけでもなく、重複箇所も少なからずありましたし、脱線することもしばしばでした。なので、どれだけの方に最後まで読んで頂けたか解りませんが。

電気自動車の欠点については様々なことを何度も述べましたが、充電スタンドなどのインフラを整えていくことも非常に難しいという点については詳しく述べていませんでしたので、今回のテーマはここになります。また、日産自動車が提携しているアメリカのベンチャー企業ベタープレイス社の方式(バッテリーを丸ごと充電済みのものに換装する方式)についてはその問題点を既に述べていますので(詳しくはコチラをご参照下さい)、今回は車載状態のバッテリーに充電設備から充電する一般的な方式について検討することにします。

充電スタンドが普及しにくい最大の理由は電気自動車そのものがまだ普及していないというところにありますが、それを度外視しても難問山積の状態に変わりはありません。殊に、営利事業としてこれを考えた場合、構造的な障害となりそうな大きな問題点は以下の4つが考えられます。

・急速充電器は高価で、イニシャルコストを安く抑えられない
・急速充電器を導入しても充電には時間がかかるため、回転率が非常に悪い
・電気代が安過ぎるため、あまり利益を乗せられない
・普通の住宅でも充電できるため、充電スタンドの利用頻度が上がらない

充電スタンドは既存の電源インフラを活用できるため、駐車場などを利用して比較的安価に普及させることができるという推進派の見解がまるで正論であるかのようにメディアは伝えています。が、実際問題として三菱自動車のi-MiEV(アイミーブ)を30分で実用上の満充電である80%まで充電できる急速充電器は1基800万円もします。十数台設置すると億単位のコストがかかるわけですから、「比較的安価に普及させることができる」などというハナシは現実を正しく反映しているとはいえません。

この高価な急速充電器はいま(2009年9月3日現在)のところ三菱自動車直系のディーラー網にさえまだ1基も設置されていません。それどころか、三菱のディーラー網にさえ100%までの充電に14時間もかかる100V電源用が36箇所、7時間かかる200V用が58箇所、全国でまだわずか15都府県に合計94箇所しか充電設備が用意されていません。32道県ではバッテリー切れになりそうな状態のとき目の前に三菱のディーラーがあったとしても、そこでは充電できないという体たらくです(詳細は三菱自動車のサイトにある販売会社充電ポイント一覧をご参照下さい)。

ちなみに、エコ・ステーションで電気自動車の充電に対応するのは全国でわずか55箇所しかありません。私が住んでいる東京都では3箇所、そのうち急速充電対応は1箇所のみです。

お台場EVステーション
お台場EVステーション
東京都港区台場のシンボルプロムナード公園駐車場A棟にある
エコ・ステーションで、急速ではない普通の充電スタンドです。
利用料金は2時間で600円、以降30分毎に150円取られます。
都内の駐車場として見れば安いといえますが、
電気を買うという視点で見れば猛烈に高いといえます。


ローソンもこの電気自動車ブームに乗っかった企業の一つで、彼らも駐車場がある郊外の店舗に200V電源用充電器を設置する計画があるそうです。が、200V電源用で急速充電器ではないということは、上述のようにi-MiEVの100%充電に7時間かかります。例えば、コンビニで買い物をしている間に充電するようなケースを想定しますと、仮に10分で買い物を済ませてクルマに戻った場合、バッテリー容量の2~3%程度しか充電できません。走行距離でいえばメーカー公称値で計算しても4~5km程度、東京電力での運用実績で推定すれば2~3km程度といったレベルにとどまります。これでは大した足しにはならないでしょう。

地方で生活している方の場合、最寄りのコンビニまで片道1km以上あるケースも珍しくないと思います(私の父の実家などはそうです)。店まで出掛けた分をそこで充電するといった程度にしかならず(それすら満たせないケースもあるでしょう)、煩わしいだけで実用性は極めて低いと言わざるを得ません。30分で80%充電できる800万円の急速充電器なら10分で27%近く充電できる計算になりますから、これならば現実性があるといえますが、コンビニの付帯設備としてこれだけのコストをそう簡単に割けるとも思えません。

また、充電時間が数分で済むなら1基でもある程度は対応できるでしょうが、1人のユーザーの利用時間が30分もかかり、その間1台のクルマが充電器を独占することになれば、かなり気の長い人でないと付き合いきれないでしょう。既に充電している人が終わるのを待った上で、自分の充電にまた30分も待つとしたら、それだけで1時間近くロスしてしまうこともあるでしょう。

1基の充電器に何人か順番待ちをしていたら、それが急速充電器であっても自分に順番が回ってくるまで数時間待たされるということになりかねません。忙しい現代人がクルマのエネルギーチャージごときにそんな時間を割けると思うほうがどうかしています。かといって、800万円もする急速充電器を何台も並べるなどコスト的にそうそうできることではないでしょう。そもそも、充電の順番待ちでコンビニの駐車場が占拠されてしまったら、本業の売り上げにも大きく響くことになりかねません。

この「回転率が非常に悪い」という問題はガソリンスタンドに代わる充電スタンドという業態にとって命脈に関わる極めて大きなネックになってきます。普通のガソリンスタンドように駐車スペースに限りがある店舗で充電スタンドを運営しようと思ったら、この絶望的な回転率の悪さは致命的な欠陥と考えなければなりません。

ガソリンや軽油などの場合、大きなタンクを積む大型車でも数分で給油完了となります。1台のクルマが給油機を使う時間はその程度の短時間で済みますが、これが電気自動車への充電で30分もかかるとなれば店の回転率は1桁も悪化します。クルマの大きさは動力源が電気モーターだろうと内燃機関だろうと大して変わらないのですから、駐車スペースが同じならエネルギーチャージにかかる時間が長いほどビジネスとして厳しくなります。

かといって、それを数でカバーするために駐車スペースを数十台分取り、急速充電器も数十基設置するとなれば、それこそ莫大な初期投資を求められます。電気自動車に充電するというビジネスはこれほどまでに前提条件が悪いわけですが、こんなに酷い条件で利益がちゃんと見込めるビジネスプランなど成り立つのでしょうか?

(つづく)

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