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日本の25%は世界の1.5% (その2)

民主党のマニフェストや鳩山代表のハナシには抽象的な努力目標しか出てきません。そもそも、最新のマニフェストで彼らが「具体策」として掲げている『「ポスト京都」の温暖化ガス抑制の国際的枠組みに米国・中国・インドなど主要排出国の参加を促し、主導的な環境外交を展開する。』という政策の何処が「具体策」なのでしょう?

温室効果ガスの排出削減には主要排出国であるアメリカや中国やインドなどを参加させることが不可欠なのは解りきったことで、問題は「どうしたら彼らを引き込むことができるか」というところにあります。その具体的な方策が述べられていなければそれは抽象論でしかなく、とても「具体策」とはいえません。要するに、民主党は「具体策」という言葉の意味を履き違えているのです。

いつも具体的なハナシができない彼らは努力目標だったり抽象論だったり、極めて中途半端なレベルで満足してしまうので、ここで具体的な数字を確認しておきましょうか。

京都議定書の基準年(詳しくは前回をご参照下さい)における日本の温室効果ガスの総排出量(CO2換算)は約12億6130万トンでしたから、この25%減ということは毎年の排出量を約9億4600万トンまで減らさなければならないということになります。2007年にはこれが約13億7430万トンに増えていましたから、2007年比では約31.1%も削減しなければならないということになるわけです。

京都議定書の基準年から2007年まで日本の温室効果ガスの総排出量は約9.0%増え、現状維持すらままならないというのが実情です。こうした現状にあって総排出量の1/3近い4億2800万トンをわずか11年で減らすなど、絶対に不可能と断言して良いでしょう。

これを無理強いすれば産業界にどれほどの大打撃を与えることになるのか、あるいはそれを避けるために製造業の多くが工場を海外へ移転させることになってしまうのか、いずれにしてもこれほど急峻で現実を無視した目標をゴリ押しすればロクな結末には至らないでしょう。

本筋とは関係ありませんが、彼らのマニフェストにある「39.製造現場への派遣を原則禁止するなど、派遣労働者の雇用の安定を図る」などという愚かな政策を実施したら、海外移転が可能な製造業の多くは流動性の高い雇用を求めて工場を海外へ移してしまうに違いありません。とんでもない温室効果ガス排出削減目標といい、派遣禁止といい、民主党は日本から製造業を追い出したいのでしょうか? それとも物事を深く考える能力がないだけなのでしょうか?

こうした政策が進められれば日本の国内産業の空洞化は一気に加速することになり、海外に雇用を流出させてしまうと「ワーキングプア」と呼ばれる人たちの何割かを「失業者」にしてしまいます。こうした懸念を抱かせる民主党の政策は選挙の1ヶ月以上前に発行されたマニフェストに明記されていました。つまり、民主党が掲げている近視眼的な政策を実施した結果、本当にこのような事態へ至ってしまったら、その責任は先の選挙で民主党に投票した人たちにもあるということです。

ハナシを戻しましょうか。こうして莫大な負担を国民に強いて、現状から4億2800万トンの温室効果ガスの排出削減に成功したとしましょう。しかし、この削減量は現在の全世界の温室効果ガス総排出量約290億トンのわずか1.5%弱にしかならないんですね。日本だけがこの程度の削減を行っても大勢に与える影響は殆どないといっても過言ではありません。

要するに、こんな排出削減目標では実効性など殆ど期待できず、実質的にはメッセージ性しか持たない政策ということになります。地球温暖化を巡るハナシはいつもこうして精神論や政治的な思惑に向かい、科学的な検証は等閑にされるわけですね。ま、人為的温暖化説そのものが科学的に見れば精度の低いコンピュータシミュレーションにしか根拠を持たない低レベルな仮説に過ぎませんけど。

世界的に見てもエネルギーコストが高い日本は、それゆえエネルギーの利用効率を向上させる技術を磨いてきた省エネ先進国です。なので、CO2の排出量を削減できる幅が元々小さいわけで、ここから経済活動に悪影響を及ぼさないレベルで削減幅を拡大するにも限度というものがあります。逆に電気代が日本の半額ほどでしかないなどエネルギーコストが安いアメリカはその消費量が非常に多く、利用効率が悪く、その分だけCO2排出量の削り代があります。

もし、アメリカの1人当たりのCO2排出量を日本並みに抑えることができたら、全世界のCO2総排出量の約10%を削減できることになります。逆に中国全土で生活水準が向上し、1人当たりのエネルギー消費量が日本並みになってしまったら、全世界のCO2総排出量は約20%増えてしまうでしょう。中国などの途上国にCO2の排出削減を求めるということは、要するに「オマエら途上国の貧民どもは低い生活水準で我慢していろ」というのも同然なんですね。

現在、日本政府は毎年1兆円を超える地球温暖化対策予算を計上し、これを主に国内の温暖化対策に投資しています。が、上述のように減るどころか微増を続けているのが実情です。もし、全世界のことを考えるなら、日本よりずっと削り代が大きい国の排出削減に寄与するよう、この毎年1兆円超の予算を使って最先端の省エネ技術の無償提供といったカタチで削減しやすい国に投資したほうが遙かに高い実効性が見込めるハズです。

しかし、こうした政策は誰も口にしません。それは、この温室効果ガスの排出削減というテーマが秘めている本当の目的が「地球温暖化を抑制し、全人類の将来を危機にさらさないようにするため」などではなく、「エネルギーの分配を巡る国際的なパワーゲーム」に他ならないからでしょう。

(おしまい)

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