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地球温暖化問題はいつも偏向報道される

昨年も「北極海の氷は減ったときしか報道されない」と題したエントリで述べましたように、2007年の夏に北極海の海氷が大きく減少してメディアは大騒ぎしました。しかし、昨年も今年も全く騒がれませんでしたね。何故かといえば、2007年ほどの減少がなかったからです。特に今年は例年並みに戻りましたから、「日々刻々と地球温暖化が進行している」という彼らのストーリーにはそぐわないゆえ、最近の北極海の海氷がどうなっているのか具体的な情報が全く伝えられなくなったというわけです。

北極海の海氷の変動状況
北極海の海氷の変動状況
北極海の海氷は毎年9月中旬くらいに減少のピークを迎えます。
ご覧のように赤線で示されている今年の変動に関しては
9月前半の減少レベルが例年を少し上回っている感じですが、
昨年や一昨年に比べればずっと小さく、減少のピークも2005年並みで
殆ど誤差の範囲というレベルに戻りました。
(出典:IARC(国際北極圏研究センター)-JAXA(宇宙航空研究開発機構)情報システム)


北極海の海氷の変動状況(拡大図)
北極海の海氷の変動状況(拡大図)
上の図では細かいところが解りづらいので拡大したものを載せておきます。
黄色の線で示されている2007年や橙の線で示されている2008年に比べ
赤の線で示されている今年は例年並みに戻っているのが解ります。


人工衛星で観測されている北極海の海氷の分布状況も併せてご覧下さい。

2007年9月15日の北極海海氷分布
2009年9月15日の北極海海氷分布
(出典:JAXA北極圏海氷モニター)

上が2007年9月15日で下が今年の9月15日です。やはり、大騒ぎされた2年前と今年では分布状況が大きく異なっており、特に東シベリア海やアラスカ海の海氷が2007年ほど後退しなかったことが解ります。

先週だか先々週だかにNHKのニュース番組で地球温暖化問題を取り上げたとき、北極海の海氷についても述べていました。が、そのときもやはり人工衛星で観測されるようになってから最も減った2007年のデータを用いており、今年はそこまで減っていないという事実は伝えませんでした。これを「メディアバイアス」あるいは「偏向報道」と言わずして何と表現すべきでしょう?

北極圏の気候変動はかなり特異でこれまでも激しく高下しているんですね。人工衛星での観測が始まった1970年代はむしろ異常低温だとする専門家もいました(それゆえに人工衛星での観測を始めたというハナシも聞いたことがあります)。中には北極海が海氷に閉ざされて船舶の航行ができなくなることを危惧し、原子力エンジンで暖流を北極海まで導こうという地球工学的なアイデアもあったほどです。

地球全体と北極の気温推移
地球全体と北極の気温推移
ピークとなった1940年頃は現在よりも高温で
夏になると北極点の海氷が消失することも
珍しくなかったといいます。
(出典:IARC)


1959年夏の北極点の様子
1959年夏の北極点の様子
世界初の原潜SSN-571ノーチラスの成功を踏まえ
1957年に就役したSSN-578スケートだと思われます。
北極点の潜航通過を果たしたのみだったノーチラスに対し
このスケートは1958年8月に北極海で開氷面に浮上するなど
本格的な作戦行動を初めて実施した原潜なんだそうです。
関係ありませんが、1959年といえばアラスカが
アメリカ合衆国の49番目の州に昇格した年でもあります。
(出典:アメリカ海軍)


ま、この写真などはアル・ゴア氏の『不都合な真実』のパターンを逆手に用いたみたいなものですから、大きく掲げて鬼の首を取ったように騒ぐのは私の趣味ではありませんけどね。いずれにしても、地球温暖化による異常現象がどうのこうのと大騒ぎするメディアにとっては今年の北極海の海氷の分布や、こうした資料は触れたくない「不都合な真実」なのでしょう。

ついでに述べておきますと、ホッキョクグマは泳ぎが非常に得意で、一度に何十kmも泳いで移動することが可能です。小さな流氷に取り残されたように見えるホッキョクグマの映像にそれを哀れと感じさせるようなBGMやナレーションを付しているのもやはりメディアバイアスと言わざるを得ません。

また、ホッキョクグマの多くは夏場の5ヶ月ほどを陸上で過ごします。この時期は主な獲物となるアザラシなどの捕獲が難しくなりますが、ホッキョクグマは50km/hくらいで走れますから、カリブーやジャコウウシなど陸上に生息する動物を狩ることもできますし、鳥やその卵を狙うこともあります。そもそもクマは雑食性でホッキョクグマも例外ではなく、コケなども食べることがあるそうです。

また、普通のクマが冬眠するようにホッキョクグマはエネルギー消費を抑える能力を備えており(妊娠したメスは出産まで冬眠するそうですが)、一説によれば1頭のアザラシを捕食すれば半年以上生き延びられるといいます。要するに、北極海の海氷が無くなったらホッキョクグマも同時に絶滅してしまうというストーリーもそれほど確実なものではないと見るべきでしょう。上図のように1940年頃をピークとする温暖期や中世の温暖期などもちゃんと乗り越えてきた実績もありますし。

現在のホッキョクグマの個体数は2万~2万5000頭くらい、最近10年で10%程度減っているとされています。しかし、乱獲された1950年代には5000頭くらいまで減っており、後に保護動物に指定されてから数を増やして今日までに4~5倍まで数を増やしてきたわけです。また、乱獲されていた1950年代以前はその具体的な個体数や変動がどのようになったいたのか把握されていません。1940年頃をピークとする北極圏の温暖期にホッキョクグマの個体数がどうなっていたのか解っていないんですね。

2万頭以上という個体数はライオンと同等、トラの5~10倍くらいですから、生態系の頂点にいる大型のほ乳類としてそれほど少なくありません。しかも北極圏という生物の生息環境としては過酷でエサになるような動植物も少ないことを考えれば、むしろ多いくらいかも知れません。それよりも桁違いに個体数が少ない絶滅危惧種は沢山あるのですから、そちらの保護を優先させるべきでしょう。実際、北極海の海氷も戻ってきたことですし。

NHKの『みんなのうた』で流された『ホッキョクグマ』という歌は子供に聴かせるにはあまりにも偏向した内容で、これはもはや洗脳というべき領域に入っています。YouTubeの投稿にもこの詞や映像構成に対する批判的なコメントが大半を占めていますが、政府の犬として偏向報道を屁とも思わない彼らには決して届かないのでしょうね。

コメント

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  • 2009/10/06(火) 15:13:00 |
  • |
  • #
  • [ 編集]

 北極海の海氷が拡大していることについて、ほとんどのマスコミが黙殺を続けているのはご指摘のとおりです。彼らの弁護をするつもりはさらさらありません。ただ、伝えている記事もあります。ご参考までに。(間違って「秘密」にして送ってしまいました。すみません)

 最近では、

 「北海道新聞」9月21日朝刊総合面 「北極海の海氷 2年続け拡大 『温暖化で消滅』説に波紋? 北見工大舘山助教 来月まで現地調査」 AMSR-Eのグラフも掲載されています。

 「北海道新聞」9月24日、10月1日朝刊総合面 「北極海からの報告 海氷はどうなっているのか」 北見工大の研究者が砕氷船から現地リポートを連載中。

 また、その前にも

 「北海道新聞」6月30日夕刊科学面 「北極海の海氷 徐々に拡大? 年平均気温の低下要因か 見守る研究者」 アラスカ大国際北極圏センター(IARC)研究員の報告をもとに特集

 「北海道新聞」1月4日朝刊総合面 「08年の北極海 氷拡大 『温暖化で縮小』揺らぐ?」 AMSR-Eのグラフと赤祖父俊一IARC前所長の談話を掲載

 「北海道新聞」2008年8月26日夕刊科学面 「北極圏『異変』は自然現象 的外れな温暖化報道 小氷河期から回復の可能性」 赤祖父俊一IARC前所長の寄稿。氷海の崩壊や永久凍土が解けているなどの報道のウソを指摘

 「北海道新聞」08年7月29日夕刊科学面 「CO2増は原因でなく結果 温暖化は濃度変化に先行 性急すぎるIPCC結論」 福田正己アラスカ大教授の寄稿 北極の気温変化の推移のグラフを掲載。

童心 さん>

大変興味深い記事をご紹介頂き、有り難うございます。

国内の主要メディアの殆どが単なる仮説に過ぎない人為的温暖化説を事実として扱い、これを人類存亡の危機というくらいに過激な偏向報道を繰り返している一方で、もっと冷静な立場から報道されるケースがあることは私も把握しています。

当blogでも過去に「風向きは変わるか?」と題したエントリで日経新聞の科学面に日本地球惑星科学連合大会の様子が掲載され、丸山茂徳氏や赤祖父俊一氏ら懐疑派の主張が取り上げられたことをご紹介したことがあります。
http://ishizumi01.blog28.fc2.com/blog-entry-153.html

ただ、全般を見渡せばこれは極めて例外的なことです。日本でも11年前に「地球温暖化対策の推進に関する法律」が設けられ、この法律をはじめとして世の中の仕組みそのものがCO2温暖化説をあたかも事実であるかのように扱い、これに異論を挟むようなことは難しい流れが出来上がってしまった感じです。

こうした流れの中で異説を扱うのは非常に勇気が要ることだと思います。私も当blogでこうした話題を扱い始めた当初はあまり過激なことを書いて炎上に至らないよう、現在よりもかなり慎重な言い回しを心がけたものです。ま、幸いなことにネット上ではこの種の情報が山ほど流れていることもあって、思ったほど酷い書き込みもなく、現在では安心して言いたいことを言っていますが。

こうした個人的な主張を小遣い稼ぎの道具にするのは少し筋が違うような気がするため、当blogではあえてアフィリエイトなどにも手を出さず、完全非営利を貫くことにしました。が、広告収入なしでは経営が成り立たないようなメディアは色々しがらみがあるでしょう。いまや地球温暖化問題は企業PRとしても商品PRとしても非常に利用頻度が高いツールとなっている状況ですから、それに立脚した広告を全否定するような記事など扱えないというメディアもそれなりにあると思います。

私はこれまで何度となくメディア批判を繰り返してきましたが、それはまだ批判する価値があると信じ、完全に絶望してしまった訳ではないからです。中には「マスコミ」を「マスゴミ」といって存在そのものを否定的に考えている人もいますが、私は是々非々の人間ですので、同じメディアでも批判すべき記事は批判し、讃えるべき記事は讃えることにしています。

ご紹介頂いた北海道新聞の記事の中で「北極海の海氷 2年続け拡大 『温暖化で消滅』説に波紋? 北見工大舘山助教 来月まで現地調査」につきましては電子版に掲載されているのを見つけられましたので、拝読しました。
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/environment/190062.html

電子版にはグラフの掲載がないようですが、記事そのものは簡潔ながらも冷静で偏りのない良い書き方だと思いました。本来、ジャーナリズムとは常にこうあるべきで、これが普通であって欲しいところです。が、日本ではこうしたケースのほうがむしろ稀だということを考えれば、ここは讃えておくべきかも知れません。

日経新聞も環境問題に関する社説では朝日新聞に勝るとも劣らぬレベルで狂信的なことが書かれていたりします。が、上述のように科学面などの個別記事や電子版のコラム(例えば、コチラ→http://ishizumi01.blog28.fc2.com/blog-entry-300.html)などではずっとマトモなアプローチで書かれていることがあります。

このように論説委員よりも現場の記者たちのほうがずっとハイレベルな仕事をしていると感じることがあります。こうした仕事ができる人たちには今後とも頑張って良い仕事を続けて欲しいですから、私も応援していきたいと思います。

  • 2009/10/07(水) 23:07:29 |
  • URL |
  • 石墨 #PxDbU/1w
  • [ 編集]

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  • 2009/10/30(金) 20:58:57 |
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