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デンマークは似非エコ先進国? (その1)

昨今の軽薄なエコブームは風力発電や太陽光発電などの再生可能エネルギーを無条件に推進したがりますが、これらはコストなどの問題以外にも運用面で様々な課題があります。特に大きな課題は出力が極めて不安定であるというところでしょう。

風力発電の場合は風の強弱で出力が大きく変動します。風が止んだり一定レベル以下に弱まったりすれば発電できなくなるのはいうまでもありませんが、台風のように強すぎてもタービンブレードの破損やタワーの倒壊を防ぐために止めなければなりません。止めないとこうなりますが、自然相手ですから止めても駄目なときは駄目でしょう。

太陽光発電も曇れば出力が低下しますし、日が沈めば発電できなくなります。パネルに雪が積もっても発電できなくなりますから、豪雪地帯の冬には馴染まないでしょう。こうした「風任せ」「日和任せ」の不安定電源を大規模に導入したら、そのままこれを用いることはできません。電力は常に安定供給されていなければ様々な障害を引き起こしてしまうからです。

日本の商用電源は糸魚川を境に東が50Hz、西が60Hzの交流となっていますが、こうした不安定電源の電力を何もしないで混ぜてしまうと周波数や電圧を乱し、機器の不調を招く恐れがあります。電力供給が少しでも不足すればたちまち停電になってしまいますから、常に需要を少し上回る程度に供給量を整えなければなりません。

現在の日本のようにごく小規模で殆ど役に立っていないレベルならばともかく、将来的に国内電力供給の何十%かをこれらの不安定電源で賄うとなれば、安定化のために様々な施策を講じなければなりません。風が止んだり、日が陰ってしまうなど出力が大きく低下した場合はその分の電力を補わなければなりませんが、電力生産に占めるこれらの割合が上がっていけば火力発電や貯水池式水力発電の出力調整でも補えなくなります。

風力や太陽光を増やしても火力を減らさなければCO2排出量の削減にはなりません。火力発電所を減らせばその分だけ出力調整ができる幅も小さくなってしまうというジレンマがあります。こうした出力調整に頼れなくなったら、揚水式水力発電(余剰電力を利用して水を汲み上げておき、電力が不足するときに汲み上げておいた水で発電を行うというもの)を増やしていくか、バッテリーに蓄えておくなど、大規模なエネルギーストレージを設けなければなりません。

風力発電や太陽光発電などの出力変動を調整するために揚水式水力発電所を設けるくらいなら、初めから風力や太陽光はやめて普通に水力発電所を設けるべきです。失念している人が多いようですが、水力発電だって立派に自然エネルギーを利用した発電方法です。太陽のエネルギーで蒸発した水が雨になって降り注ぎ、その水の力を利用する持続可能エネルギーだということを多くの人が認識していないように感じます。

しかも、普通にダムを設けている水力発電は渇水などの問題がない限り風力や太陽光のように不安定ではありませんし、コストもずっと安く抑えられます。生態系に悪影響を及ぼす懸念もありますが、デンマークやドイツのように洋上におびただしい数の鉄塔を建てて海流や気流を乱す風力発電が自然界に何の悪影響も及ぼさないということはないでしょう。

デンマークの洋上風力発電
デンマークの洋上風力発電
コペンハーゲン港の3km沖合にあるミドルグリン風力発電所です。
タービンブレードの長さを加えると全高100mを超える
非常に巨大な風車がズラリと20基も並んでいます。
これだけ巨大なタワーを設置するには海底を深く掘り下げ、
基礎を深く埋め込んでおかなければなりません。
その工事で海底の地形もかなり変わるでしょう。
もちろん、海流にも影響を与えるのは間違いないでしょうから、
これが水力発電より地球環境に優しいといえるかどうかは
厳密なアセスメントを実施しなければ判断できないと思います。


ダムの建設は環境破壊だとする一方、風力発電を無条件で推進したがるこの風潮を作っているのは、単なる「思い込み」だと感じるのは私だけでしょうか?

一方、日本ガイシが盛んにテレビCMを流しているNAS(ナトリウム硫黄)電池はエネルギー密度がリチウムイオン電池並みに高く、有望なエネルギーストレージとして海外からも注目されています。価格も安く、原材料の資源も豊富で、サイクル寿命も2500サイクル以上と非常に優れているなど沢山のメリットがあるんですね。

しかしながら、作動温度域が300~350℃と高く、現実的にはヒーターで加熱してやらなければならないため、エネルギー効率が優れているとは言えないでしょう。また、他のエネルギー密度が高いケミカルバッテリーと比べて安いとは言っても、電力需要の何%といったレベルの大規模なエネルギーストレージとして用いるとなれば、やはり莫大なコストがかかります。

風力発電や太陽光発電はただでさえコストが割高で効率も悪いのですから、こうした安定化の設備を加えればコストの上昇と効率の低下をさらに拡大してしまうことになるわけですね。メディアはこうした不安定な再生可能エネルギーの利用に消極的な日本政府を批判的に報じますが、要するに彼らはこうした課題をあまりよく理解していないのでしょう。

無知な日本のメディアに「風力発電先進国」と讃えられるデンマークの場合、国内の電力生産の18%くらいを風力発電が占めています。常識的に考えるとこのような高い割合では成り立つわけがありません。では、デンマークはどうやって風力発電の割合をここまで引き上げることができたのでしょうか?

(つづく)

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