酒と蘊蓄の日々

The Days of Wine and Knowledges

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

東京モーターショーは何処へ行くのか? (その3)

今年の東京モーターショーでは、多くのメーカーが電気自動車をメインステージに配置し、期待感だけで盛り上がっている電気自動車ブームに乗じたアピールに力を注いでいるような状態でした。中でも12年前に世界で初めてリチウムイオン電池車を発売したのに殆ど空回りに終わってしまった仇を討とうとしているのか、日産のそれは特に気合いが入っている印象でした。

日産リーフ
日産リーフ
次代のマーチは日本国内向けもタイでの生産による逆輸入が決まり、
追浜工場はこの電気自動車の生産拠点になるとされています。
プレスデーにはゴーン社長が「ハイブリッド技術では
(温室効果ガス排出の)完全な解決にならない」とスピーチするなど
日産は何処までもLCAを無視し続け、子供騙しの環境意識で
これを推進していこうと考えているようです。


で、予てから気になっていたポイントを解決しておこうと思い、日産のブースにいた説明員に質問してみました。例のベタープレイス方式(充電済みのバッテリーに丸ごと換装する方式)を日本にも導入する計画があるのか? また、日産はこれを主軸にして電気自動車の普及を目指していこうとしているのか? というところです。

その答えは「NO」でした。2010年末に日本国内で市販が予定されているリーフの車体構造もベタープレイス方式のバッテリー換装は現在のところ想定していないといいます。この説明員はベタープレイスとルノーと共に計画しているイスラエルでの電気自動車普及プロジェクトについてはあまり詳しくご存じないようでしたが、現段階で日本に同様の計画はないと断言していました。

では、あの横浜で行われたデモは何だったのかということになります。これについても質問してみましたが、どうやらベタープレイス・ジャパンが日本市場向けに行ったプロモーションに過ぎず、日産はそれに協力しただけということのようです。ま、あの方式で多様な車種に対応するとなれば扱うバッテリーの規格もたくさん設けなければならず、システムも大袈裟になり過ぎるなど問題点が多すぎます(詳しくは以前にも述べていますので、コチラをご参照下さい)。

私はこんな方法が上手くいくとは最初から思っていませんでしたから、日本への導入にも懐疑的でしたし、イスラエルでのプロジェクトもかなり実験的なものになるような気がします。そもそも、まだまだ発展途上であるバッテリーを下手に規格化してしまうと、新技術導入の足かせにもなりかねません。このシステムには根本的に縛りが多すぎるように思います。

また、同時に提案されていたバッテリーのリースに関しては住友商事をビジネスパートナーとし、二次利用を想定したビジネスプランを検討しているといいます。詳しく述べていると長くなってしまいますので割愛しますが、興味のある方は住友商事のサイトにある今年10月20日付のニュースリリースを参照されると良いでしょう。

なお、この説明員は電気自動車の将来的な展望について纏めた資料展示のところにいた方で、当然のことながらこの分野に詳しい担当者でした。が、こんな質問をした人は私の他にいなかったようです。特にイスラエルでのプロジェクトについては非常に歯切れが悪く、この部分についてはあまり予習をしていない様子でした。

ま、私のような偏屈な人間ばかりが来場するようなイベントだったら東京モーターショーは決してこんな雰囲気になっていないでしょう。恐らく、プレスの人間もしなかったであろう込み入った質問に対して適当にあしらうでもなく、きちんと対応して下さったことに感謝すべきですね。

ここで少し技術的な部分についても触れておきましょうか。リーフのリチウムイオン電池もi-MiEV同様、正極にマンガン酸リチウムを用いています。これまで主流だったコバルト酸リチウムを正極に用いたものは資源供給の問題と熱暴走の問題がありましたが、マンガン酸リチウムはこれらの点で有利です。

かつてマンガン酸リチウムで欠点とされていた寿命の短さは、残留水分や60℃以上の高温で正極のマンガンが溶出してしまうことが原因でした。が、こうした欠点を克服したことが電気自動車にマンガン酸リチウムのリチウムイオン電池を採用できたポイントといえます。この点については一応の進歩と認めるべきでしょう。

しかし、それでもなお残されている欠点は、コバルト酸リチウムよりエネルギー密度の伸び代が小さく、その向上が難しいと考えられるところでしょう。現在、実行値ではマンガン酸リチウムもコバルト酸リチウムと同等のエネルギー密度を得られているようですが、理論値では倍近い差があるんですね。ま、世の中そんなに甘くないといったところでしょうか。

(つづく)

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://ishizumi01.blog28.fc2.com/tb.php/499-9cdce953
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad

まとめ

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。