酒と蘊蓄の日々

The Days of Wine and Knowledges

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

東京モーターショーは何処へ行くのか? (その5)

現状を冷静に鑑みれば、電気自動車などより電動バイクのほうが遙かに現実的だということが解ります。電動バイクならべらぼうに高額な補助金を支給しなくても、既存のバッテリーの性能でも、そこそこ実用的な製品としてある程度の規模のマーケットを構築することができるでしょう。それこそ、5年から10年くらいの間にガソリンエンジンのそれのシェアに食い込んでいけるくらいに成長させられる可能性があります。

特に、原動機付自転車(以下、原付)は業務用としても配達など近距離での使用が多く、個人ユーザーにも日常生活の足として自転車のように用いられるパターンは割合的に低くないと思います。連続して何十kmも走れる性能を必要としない人は決して少なくないでしょうし、そういう人にとってみれば、自宅でエネルギーチャージが可能で、そのコストも安く、静粛で早朝深夜の利用もあまり気兼ねしなくて済むといったメリットはかなり魅力があるハズです。

既に、中国メーカーのそれを輸入したり、独自に企画したものを中国メーカーに作らせたりしているベンチャー企業は日本国内に何社もあり、補助金なしの裸の値段でも15万円前後という低価格な製品がいくつか売られています(例えば、ココとかココとか)。航続距離が数十km程度で問題ないのなら安価な鉛電池でも成立しますから、こうした低価格が実現可能というわけですね。

大手ではヤマハがリチウムイオン電池の電動バイクを単発的に発売してきました。例えば、2002年に発売されたパッソルや2005年に発売されたパッソル-LおよびEC-02などです。これらを軌道に乗せることができなかったのは、バッテリーのリコールという不運にたたられたのが一番の原因でしょう。その改善処置に大変なコストと時間がかかってしまったことから事業計画が大幅に狂ってしまい、一時的に撤退を余儀なくされたようです。

ま、こうしたトラブルは黎明期にはつきものですが、ヤマハは全く諦めていません。今回の東京モーターショーに参考出品されたEC-03と称するそれも従来の電動パッソルの新型と見るべき外観で、細かい部分の仕上げを見ても量産仕様と考えて間違いなさそうですから、近々このモデルでリトライするということなのでしょう。

ヤマハEC-03
ヤマハEC-03
今回の東京モーターショーに参考出品されていたEC-03は
フレームの溶接部や金型整形されたプラスチック部品など
全般的な仕上げからして、量産型の仕様に準じていると思われます。
多少の手直しは入るかも知れませんが、近い将来にほぼこのままの姿で
市販されることになると思います。


しかし、原付に分類される電動バイクには一つ大きな足枷があります。それは法的な枠組みです。原付の第一種で内燃機関を原動機とする場合はご存じのように総排気量50cc以下となっていますが、内燃機関以外の原動機を用いる場合は定格出力0.6kW以下と定められていて、明らかにパワー不足なんですね。ちなみに、第二種は総排気量125cc以下、定格出力1.0kW以下となっています。コチラもやはり内燃機関以外に規定された出力の上限が低すぎます。

原付免許ないし普通免許で乗れる電動バイクの出力が判で押したように定格で0.6kW以下となっているのは、こうした法規に従ったものです。ヤマハEC-03も定格出力は「0.6kW以下の原付第1種相当」と表示されていました。が、0.6kWというのはたったの0.8PSです。例えば、ホンダ・トゥデイの場合、最高出力は4.1PS(3.0kW)、同スーパーカブでも3.4PS(2.5kW)です。もちろん、定格出力と最高出力を比べるなどナンセンスなのは承知しています。

過去に発売されたヤマハの電動バイクの場合、定格出力が0.58kWとされ、最高出力は1kW前後(EC-02の場合、1.2kW)と表示されていました。ガソリンエンジンと電気モーターではトルク特性が大きく異なりますから、その点も考慮する必要があります。が、それでもやはりこの差は大き過ぎます。加速性能や登坂力などに少なからぬ影響がある部分で一般的なガソリンエンジン車と3倍もの差があるというのは同列に並べる商品としてハンデが重すぎると言わざるを得ません。

実際、ユーザーや乗車体験のある人たちからパワー不足が指摘されていますし、数値を見てもガソリンエンジンとの差は明らかです。配達で比較的重量のあるものを扱うとか、アップダウンが激しい土地に住んでいるから自転車ではなく原付に乗っているといった人たちにとって、こうした脆弱な動力性能は小さからぬネックになるでしょう。

もちろん、一般的なユーザーにとっても交通の流れに乗りづらいような状況が度々あるようでは敬遠したくなるでしょう。そもそも、人間は一度快適を味わってしまうと、それよりも劣る状況には身を置きたくないと思ってしまうものです。ガソリンエンジンの加速性能を味わった後、それよりも格段に劣る電気モーターを選ばせるには、「妥協」とか「我慢」といった言葉が必要になります。

(つづく)

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://ishizumi01.blog28.fc2.com/tb.php/502-9d876dce
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad

まとめ

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。