酒と蘊蓄の日々

The Days of Wine and Knowledges

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

これでは殆ど「コンピュータ占い」?

寒い日が続いていますね。私は東京在住で寒いのは苦手ですから、この1週間は通勤時にコートが欠かせない感じです。19日には真冬並みの寒さとなり、東京都心の最高気温は平年を6.7℃も下回る9.4℃で、しかもこの最高気温を記録したのは午前0時台でした。通常最高気温を記録する午後2時頃は7.3℃しかなく、11月に最高気温が10℃を下回るのは1992年11月28日以来17年ぶりのことだそうです。

一昨日(22日)も最高気温こそ10℃を少し上回りましたが、平均気温は8.4℃しかなく、19日の8.2℃と大差ありませんでした。東京では17日以降平均気温がほぼ12℃以下で、例年より低い状態が続いています。最低気温も2日に5.5℃を記録しており、下図のように全般的に平年を下回りました。

11月の気温
11月の気温
実線が今年の気温で、点線は平年の気温を表わしています。
初旬を除いて最低気温は平年並みといった感じですが、
17日以降は最高気温が平年を下回ることが多く、
平均気温も低めになっているようです。


これが逆に平年より高い気温を記録していたら、大衆メディアは「地球温暖化の影響だ」といった捉え方をし、来月開催されるCOP15にハナシを繋げて「待ったなしの状況」みたいな感じで大騒ぎしたに違いありません。平年より気温が高ければ温暖化問題を持ち出して異常だ何だと煽り、低ければ「お風邪を召さないように」くらいのコメントで済ますというのも立派な偏向報道と見るべきでしょう。

さて、ここからが本題ですが、こうした結果からして気象庁の季節予報は完全にハズレと見て間違いないでしょう。彼らは10月30日発表の季節予報で平均気温を以下のように予測していました。

10月31日~11月06日・・・低30%:並50%:高20%
11月07日~11月13日・・・低10%:並20%:高70%
11月14日~11月27日・・・低20%:並30%:高50%

10月31日~11月30日・・・低10%:並30%:高60%

これは平年より低い確率が何%、平年並みである確率が何%、平年より高い確率が何%といった見方をします。2週目(11月7日~11月13日)は的中したと見て良いでしょうけど、それ以外は大ハズレといったところでしょうか。月末まで1週間程ありますが、平年より高いというにはよほど暖かい日が続かなければ無理でしょうから、1ヶ月(10月31日~11月30日)の予測も当たらない可能性が極めて高いと見るべきでしょう。

ま、気象庁の季節予報が当たらないなどいつものことですから、取り立てて騒ぐことではないのでしょう。が、こうした長期予報と地球温暖化の予想とは殆ど同じツールを使っているということを踏まえておいたほうが良いかと思い、あえて話題にしました。

気象庁の季節予報のFAQにはこんな例があります。

確率を使わない予報はできませんか。

季節予報では確率を用いた予報表現が基本です。今後、数値予報モデルや予報技術の改善により、予報精度の向上が見込まれますが、その場合でも確率を用いた予報表現が不可欠です。
気象現象や天候の予測には、多かれ少なかれ誤差が伴います。この誤差は予報期間が長くなるにつれて増大します。明日や明後日の天気予報では誤差はそれほど大きくはなく、「明日は雨となるでしょう」などという断定的な予報表現を用いてもそれほど問題にはなりません。しかし、予報期間が1か月を超える季節予報では誤差は無視できないほどの大きさになるため、この誤差の大きさを表現するために確率を用いることが必要となります。


こうしたコンピュータシミュレーションによる予測は、最初のステップの計算結果が次のステップに用いられるのが普通です。最初のステップでは無視できるようなごく僅かな誤差でも、ステップを重ねる毎にその誤差が雪だるま式に膨らんでいきます。ですから、1ヶ月程度の近い未来であっても平年より気温が高いか低いか平年並みなのかを確率で表現するしかないというのが気象庁の言い分です。

ところが、殆ど同じツールを使っていても地球温暖化の研究をしている連中は全く違うことを言うんですね。当blogではお馴染みの国立環境研の江守氏はこう述べています。

Q.コンピュータを使った天気予報で1週間先の天気もあたらないのに、コンピュータを使ったって50年後、100年後のことがわかるはずがないのではありませんか。

A.コンピュータによる日々の天気予報と地球温暖化の予測計算は、計算自体にはよく似た方法を用いますが、結果の見方が全く異なります。そのため、1週間先の天気予報があたるかどうかと、50年後、100年後の温暖化のことがわかるかどうかは全く別の問題です。

簡単に言えば、天気予報の場合には特定の日の「気象」状態(何月何日にどこに雨が降って気温は何度か)が問題であるのに対して、温暖化予測の場合にはそれは問題ではなく、将来の平均的な「気候」状態(ある地域の気温・降水量の平均値や変動の標準偏差などの統計量)のみが問題になります。そして、コンピュータを使って100年後の特定の日の天気をあてることは不可能ですが、100年後の気候を議論することは可能なのです。

(後略)


季節予報の場合、特定の日の「気象」状態を予測するわけではなく、平均的な「気候」状態のみが問題になっています。つまり、地球温暖化の予測計算と同じ結果の見方をしているわけですね。わずか1ヶ月という直近で、しかも具体的な数値ではなく、平年と比べてどうかという確率で予測しているわけです。が、それでも当たらないことが常態化しています。1ヶ月先すら満足に予測できないツールと殆ど同じものを使って100年後の予測ができると言われても、まるで説得力がありません。

IPCCの予測と実測との差

何度も使い回しで恐縮ですが、IPCCが採用した予測と実際の気温を見比べても大ハズレです。彼らはこの気温の下降傾向を自然の変動によるものと説明していますが、それを踏まえてシミュレーションで正確な再現ができなければ、これまでの気温上昇もCO2の温室効果によるものなのか自然の変動によるものなのか判断できません。

江守氏はカオスである日々の「気象」は揺らぐが、平均的な「気候」は「地球のエネルギーのバランスなどの外部条件の影響により大部分が決まる」との旨を述べています。が、エネルギーのバランスなどで計算された予測と実測は全く符合していないという事実を鑑みれば、10年単位の平均的な「気候」も予測できない揺らぎに弄されているといったところでしょうか。

これだけ当たる確率が低いのであれば、いくらコンピュータを用いたシミュレーションであっても占いと大差ありません。 コンピュータの性能が良くなっても、その上に走らせるプログラムが間違っていれば意味がありませんし、そのプログラムをつくる前提となる根本的な概念に誤りがあったとしたら、その計算結果には一文の価値もありません。

低レベルな大衆メディアは高価なスーパーコンピュータによってはじき出された結果というだけで有り難がり、神託のように受け入れてしまうようです。世間一般の関心も極めて低く、こうした実情を知る人はあまり多くないようです。これでは宗教的になってしまうのも無理からぬことですね。

コメント

はじめまして、今年はエルニーニョ現象により秋から冬は気温は高めというのが一つの見方であったとは思います。
 現在までのところどうも10月、11月はその傾向は明瞭には現れていないようです。 
 つまりエルニーニョ現象より支配的な要因があるということでしょう。
 私は地球温暖化も同様なのかと思っています。 何がより支配的な要因なのか、それはたかだか数十年の地球全体にわたる気象データ程度でわかるとはとても思えません。 
 それ以上古いデータは信頼性や地域性の面でとても正確な分析には適さないでしょう。
 46億年という地球の気候の変化の中であまりにも少ないデータで将来を予測できるとしたところに無理があると思っています。

  • 2009/11/25(水) 13:04:23 |
  • URL |
  • #EBUSheBA
  • [ 編集]

石墨さん
こんにちは。寒くなりましたね。わたしも寒いのは苦手なので、もっともっと温暖化したらいいのにと思っています。確かに1980から2000年には地球は温暖化しましたし、それを否定することはできません。しかし気象観測データを子細にみれば、温暖化したのは主に高緯度の寒帯と中緯度の温帯の冬です。熱帯・亜熱帯・温帯の夏はほとんど気温が上昇していません。冬が暖かくなるのは危機でもなんでもありません。野菜やいろいろな作物がよく育つし、風邪をひく人もへるし、寒さが引き金になって循環器系疾患で倒れる人も減るし、なによりも灯油など暖房燃料が少なくてすむし、北日本や日本海側で雪が雨になって暮らしの労力が軽減されます。そんな温暖化のメリットは一切無視して、デメリットばかり強調するマスゴミは、偏向していますね。
 石墨さんのおっしゃる記事内容に、全面的に賛同です。先月末から今月初めにかけて、中国の北京以北で記録的な寒波や大雪に見舞われたようですが、大衆メディアは報道しませんでした。物事の一面だけを針小棒大に煽り立てるのはマスゴミの常套手段です。2000年以降の地球の気温が、IPCCの予測とは違って、横ばい或いは若干の冷涼化であるという事実は、マスゴミもおそらく認識していると思います。しかし、一切無視するのは、政治的圧力があるのか、ほとんど宗教的狂信に近い地球温暖化危機教のドグマに反するからでしょうか。それとも、やばいなと思いながらも、温暖化で大変なことになるとさんざん扇動報道した手前、今さら改宗できないからでしょうか。
 実際の気象の観測データや、太陽黒点の消長のデータを見ると、スベンスマルク説が当たりそうな状況になってきました。まだ地球寒冷化というほどではないのですが、地球冷涼化が始まったように見えます。10年後、IPCCの予測と逆の現象が進行したならば、マスゴミはどんな報道をするか見ものです。たぶん自己批判も総括もせずに、知らぬふりを通すでしょうが。
 気候変動に関するスパコンシミュレーションは、占い師の怪しげな水晶玉と大差はないというご指摘、その通りだと私も思います。その水晶玉が描く絵が、神託か不磨の経文のようにありがたがる風潮は、困ったものですね。同感です。その意味から、神戸で建造されようとしている次期スパコンに、待ったがかかったのは、良いかもしれません。
 やや長文失礼しました。
 石墨さん、お風邪召されないようご自愛ください。そしてブログ頑張ってください。期待しています。
 

  • 2009/11/25(水) 14:42:35 |
  • URL |
  • 山のきのこ #-
  • [ 編集]

気候のメカニズム自体、分かっていないことの方が多いくらいなのに、100年先の気候をコンピュータ・シミュレーションで予想しろという方が無茶苦茶ですよね。
まっとうな科学者であれば、そんなこと容易に出来るものではないと答えるのではないでしょうか。
ところで、気候のメカニズムに対する、いかなる理解から、いかなる数式を入力してシミュレーションをしているのか、全て公開されているんでしたっけ?

それにしても、人類史(生物史)を紐解いてみて、温暖な時期と寒冷な時期とを比べて、どちらの方がメリットが大きかったのか、冷静に分析することくらいできないものですかねえ?

  • 2009/11/26(木) 00:34:27 |
  • URL |
  • わちゃちゃ #-
  • [ 編集]

100年先は予測できないのか??

石墨さん、
多少揚げ足取り的ですが、コンピューターシミュレーションで「1カ月先が予測できないから100年先は予測できるはずはない」というのは、いくらなんでも言い過ぎでしょう。 地球温暖化のコンピューターシミュレーションは通常の気象予測と似たモデルをつかっているのかもしれませんが、全く同じものを使っているわけでもありません。つまり、Xの10乗が誤差だらけなのに、Xの1,000乗は誤差がもっと大きくなるはずだというわけではないからです。

通常の気象予測がスパーコンピューターの性能が20年前の100万倍くらいになっているのに、相変わらず1月先が全く当たらないのは、測定点のメッシュが100万倍も増えていないのと、何より同じモデルを繰り返し動かすと、測定精度とコンピューターの計算精度の限界で誤差が累積的に膨らんでしまうからです(この点はご指定されていますが)。100年先も同じモデルを繰り返し動かすのなら、そんな計算はナンセンス以外の何物でもありませんが、当然100年先の予測は別のモデル(相似形かもしれませんが)を使っているはずです。

むしろ超長期気象予測の問題は、測定点の数や誤差の累積という、モデル自身の妥当性でしょう。通常の気象モデルはこの点では短期に関しては非常に良く当たっているわけですが(1月先はまるで駄目ですが、1日先は良く当たります)、超長期については妥当性が証明できているとはとても言えません。つまり、仮説に過ぎないわけです。

何度も同じ趣旨のコメントをしていますが、地球温暖化については肯定論、否定論(懐疑派?)とも仮説で物を言っている点では同じです。この点で石墨さんのブログも短期的な現象を地球温暖化の否定あるいは懐疑につなげているということでは、いつも石墨さんの批判する地球温暖化肯定論の特にセンセーショナルな論者と同様の誤りを犯しいていると思います(11月に17年ぶりの寒さを記録したからといって、何か意味があるのでしょうか)。

名無しさん>

初めまして。仰るとおり、気象庁はエルニーニョの影響を見込んだ予報をしているようですね。一昨日(11/25)3ヶ月予報を発表しましたが、今年の冬は暖冬傾向にあると予想しているのもそうした部分を考慮したようですし。

>何がより支配的な要因なのか、それはたかだか数十年の地球全体にわたる気象データ程度でわかるとはとても思えません。
>それ以上古いデータは信頼性や地域性の面でとても正確な分析には適さないでしょう。

まさに仰るとおりだと思います。

横浜国大の伊藤公紀教授が指摘されているように近年のデータであっても信頼性が充分とはいえない可能性があります。気象観測ステーションの管理運営が杜撰だったり、もっと細かいところでいえば百葉箱に塗られている白い塗料ひとつとっても昔の無機顔料と現在の有機顔料では赤外線の反射率が異なり、現在のものは百葉箱内部の温度がコンマ数℃高くなってしまうといいます。

これまでの平均気温の変動は何十年でコンマ何℃というレベルの評価ですから、様々な要因が誤差を生んでいる可能性を考えれば、伊藤教授が指摘されているように現状把握さえ完璧とはいえないかも知れません。




山のきのこさん>

>温暖化のメリットは一切無視して、デメリットばかり強調するマスゴミは、偏向していますね。

私もその点については常々感じてきました。暑さで亡くなる人の予測数は取り沙汰しますが、凍死者が減ることについては一切触れないというのもナンセンスですよね。

>やばいなと思いながらも、温暖化で大変なことになるとさんざん扇動報道した手前、今さら改宗できないから

私はこのセンじゃないかと思っています。人為的温暖化説に懐疑的な見方があることを彼らが知らないハズありません。アメリカのウォールストリートジャーナル紙は以前からずっと人為説に懐疑的な立場で報道し続けてきましたが、国際的な影響力を持つ同紙を彼らがチェックしていないわけがありません。実際にいくつかの新聞でもごく稀にですが科学面などで懐疑派の話題を取り上げることがありますから、政治的圧力で情報が統制されているとも考えにくいところです。

>次期スパコンに、待ったがかかったのは、良いかもしれません。

仰るとおりで、私もそれに因んだエントリを昨日アップするつもりでした。が、日曜日に放送されたNHKの番組で国家戦略担当の菅副首相がこれを復活させるような発言をしたということを直前になって知り、確認のために1日延期しました。今度の政権はことある毎に足並みが揃わないので大丈夫なのかと心配になります。

山のきのこさんもお風邪をお召しになりませんように。




わちゃちゃさん>

>気候のメカニズムに対する、いかなる理解から、いかなる数式を入力してシミュレーションをしているのか、全て公開されているんでしたっけ?

彼らの用いている気候モデルには物理法則に基づいた数式で表せない部分が沢山あります。現象として把握してはいるけれども物理法則が解っていないからちゃんとした数式にできないというパターンですが、そういう部分についてはパラメータを用いて処理されています。

パラメータというのは、国立環境研の江守氏の言葉を借りれば「流体の方程式では表せない現象を、言ってみれば半経験的に取り扱う」というもので、横浜国大の伊藤教授の言葉を借りれば「気温が何度、湿度が何度になったら雲の量をどのくらいにしようかというのを前もって決めておく」という手法になります。

要するに、過去のデータを参考にしながら任意に設けた定式を用いて計算するというものですね。これは物理法則という揺るぎないものではなく、経験的な判断によるものですから、その判断に誤りがあれば当然のことながら答えも間違ったものになります。やっている当人たちもこうした不確実性については認めているのですが、江守氏をはじめとしてこの分野で飯を食っている人たちはそうした実情を棚に上げ、しばしば自信満々に断定的な物言いをするのが許し難いところです。

また、膨大な演算が繰り返される中ではあり得ない数値が弾き出されてしまい、エラーが生じてしまうこともあるそうで、彼らはそれを「フラックス調整」という手段で解決しています。ま、簡単に言えばイカサマです。この「イカサマ」という表現は私たち懐疑派だけが使っている訳ではありません。こうした仕事をしている当事者である江守氏もフラックス調整をイカサマだと認めています。また、東京大学気候システム研究センターも以下のように弁解しています。

『「フラックス調節」は、イカサマとは言えども、全く訳の分からない項を付け加えているのではありません。モデルを改良してエラーを小さくするのは時間がかかるため、便法としてエラーを一箇所に押し付けているものです。また、世界中でどこでも同じことをしています(少なくとも、かつてはしていました)。現在我々のグループでは、フラックス調節を用いないモデルを開発中です。』

プログラムが不完全であるゆえ途中で計算が滞ってしまうのなら、根本的な改良を進めてそうならないように仕上げることを最優先させるのが科学者として誠実な態度です。不完全なプログラムで計算され、計算結果を纏め上げるために改ざんを含んだ結果など評価に用いるべきではなく、せいぜい参考程度にとどめるべきです。

ところが、彼らは何を血迷ったのか不完全なプログラムの修正は後回しにして、計算が滞ってしまったら問題になる部分について改ざんしてとりあえず答えを出し、それによって評価をしていくという本末転倒と言うべきことをやっているんですね。しかも、世界的に行われていることだといって悪びれることもないのですから、この厚顔無恥には呆れます。

こんなインチキが横行しているのですから、これを素直に「シミュレーション」と呼ぶことに私は躊躇します。当blogでは「極めて程度の低いシミュレーション」というような表現をしますが、それはこうした実情を反映させたものです。




RealWaveさん>

申し訳ありませんが、今日はあまり夜更かしできませんので、少々お待ちください。

  • 2009/11/27(金) 00:51:12 |
  • URL |
  • 石墨 #PxDbU/1w
  • [ 編集]

RealWaveさん>

>コンピューターシミュレーションで「1カ月先が予測できないから100年先は予測できるはずはない」というのは、いくらなんでも言い過ぎでしょう。

私は全くそうは思いません。もう一度上の図をご覧下さい。IPCCが採用した予測では2002年から今年まで最大で0.4℃近く、最低でも0.2℃近く気温が上昇していることになっていました。が、実際には0.1℃以上下がっており、彼らが想定した誤差範囲からも約0.3℃下回っています。これでは完全に的外れな結果と言わざるを得ません。

1ヶ月先もダメ、約10年先もダメ、そんな精度の低いシミュレーションで何故100年先を信じることができるのですか?

>地球温暖化のコンピューターシミュレーションは通常の気象予測と似たモデルをつかっているのかもしれませんが、全く同じものを使っているわけでもありません。

この分野の専門家である国立環境研の江守氏が気候モデルの違いには言及せず、結果の見方が違うと説明しているのは何故だかお解りですか? それは、地球温暖化の予測に使われる気候モデルにも様々なものがあってスタンダードというべき存在がないからです。基本的な概念が同じで全般的な構造は似ていても、様々な気候モデルが地球温暖化の予測に使われています。だから彼は気候モデルそのものの違いには言及しなかったのです。

RealWaveさんは気象庁のモデルでは当たらなくても国立環境研のモデルなら当たるとでも仰りたいのでしょうか?

>測定点の数や誤差の累積という、モデル自身の妥当性

元データの精度や解像度以前に、パラメータという主観に基づく定式が幾つも存在することが問題なのです。気象庁が「今後、数値予報モデルや予報技術の改善により、予報精度の向上が見込まれますが、その場合でも確率を用いた予報表現が不可欠です。」と説明しているのは、こうした主観を外せないことから必ず不確実性が残るということを認めているゆえでしょう。近年はフラックス調整というイカサマを必要としないモデルもありますが、だからといって主観に頼らなければならない状況に変わりなく、正しい解が得られる保証はどこにもありません。

地球の気候メカニズムは恐ろしく複雑で、人類はその全容を把握し切れていません。というより、まだ解らないことだらけでしょう。気候モデルは把握できていない部分を無視したり想像で補ったりしています。本文ではここまで触れませんでしたが、彼らが用いている気候モデルは誤差云々それ以前に極めて大きな穴が開いているのです。

>何度も同じ趣旨のコメントをしていますが、地球温暖化については肯定論、否定論(懐疑派?)とも仮説で物を言っている点では同じです。

私も何度も繰り返しお答えしなければならないのは面倒なのでこれで最後にします。

科学において最もオーソドックスな方法論は「反証主義」です。ある仮説を証明することが非常に困難である場合、あらゆる反証をぶつけ、それに耐え抜いてその仮説が生き延びれば一応は定説として認めるという考え方です。RealWaveさんは「温暖化しない説」などとおかしなことを言いますが、真面目な懐疑派がやっているのは人為的温暖化説に対する反証です。反証をぶつけてこの仮説が正しいか否かを見極めようとしているのです。「温暖化しない説」という仮説を唱えているのではありません。

もう少し解りやすい例をご紹介しましょうか。昨年ノーベル物理学賞を受賞された益川敏英氏は「科学とは、肯定のための否定の連続」と述べ、反証主義こそが科学だと説いています。これはNHKの番組の中でのエピソードですが、彼からこの言葉を引き出したのは子供からの質問に答えるコーナーで「私はUFOを実際に見ました。益川さんはUFOを見たことがありますか? 宇宙人の存在を信じますか?」といった趣旨の質問が投げかけられたときのことです。

彼はこう答えています。「私もUFOに似たようなものは見たことがあります。けれども、私はそれがただちにUFOだと決め付けてかかるようなことはしません。何故なら、自然界にはUFOに似た物体や現象はたくさんあるからです。それらを一つ一つ否定していって、最終的にUFO以外の全ての可能性を否定し得て、はじめてそれがUFOであると認めることができる。それが科学というものです。」

地球温暖化問題も全く同じことです。ある人が「温室効果ガスによって地球は温暖化している」と唱えてもそれを鵜呑みにすべきではありません。何故なら、地球の平均気温を引き上げる要素は沢山あるからです。それらを一つ一つ否定していって、最終的に温室効果ガス以外の全ての可能性を否定し得て、はじめてそれが温室効果ガスによる温暖化であると認めることができる。それが科学というものです。

仮説に都合の良いデータを並べるばかりで反証を覆せないようでは科学的に信頼できる仮説とは言えません。真面目な懐疑派の人たちは科学的な確かさを追求するために反証をぶつけているのであって、「温暖化しない説」という仮説を唱えているわけではありません。こうしたところをいい加減ご理解頂きたいのですが、RealWaveさんには無理なのでしょうか?

>石墨さんの批判する地球温暖化肯定論の特にセンセーショナルな論者と同様の誤りを犯しいていると思います(11月に17年ぶりの寒さを記録したからといって、何か意味があるのでしょうか)。

このエントリの趣旨を全くご理解頂けていないようで非常に残念ですし、「センセーショナルな論者」と同列に扱われるのは極めて心外なことです。私が何故そのような誹りを受けなければならないのでしょう?

RealWaveさんの仰る「センセーショナルな論者」や大衆メディアなどは記録的な暑さになったり、北極海の海氷面積が減ったり、ニシンが豊漁だったり(http://ishizumi01.blog28.fc2.com/blog-entry-304.html)、何か平年と違うことが起こるとすぐに地球温暖化問題と短絡的に結びつけるような言い方をします。ここで私も17年ぶりの寒さを以て「それ見ろ、温暖化なんてしていないじゃないか」などと結論づけるようなことを述べたのなら同列に扱われても仕方ないでしょう。が、そのようなことがこのエントリの何処に書いてありますか?

>短期的な現象を地球温暖化の否定あるいは懐疑につなげている

これは全く以てRealWaveさんの勝手な曲解です。私は17年ぶりの寒さ筆頭にこの11月の特に後半は平年より気温が低く、気象庁の季節予報が外れたという事実とシミュレーションがアテにならないという現状を述べたに過ぎません。そのために私はわざわざ気象庁の気象統計情報の頁を当たって今月と平年の気温について調べ、グラフまで作成してご説明しました。

ついでに記録的な暑さになると温暖化だ何だと大騒ぎするのに、記録的な寒さは適当に流すのは「立派な偏向報道と見るべき」とメディア批判もしていますが、私がこの寒さをこれら以外の何に結びつけたというのでしょう?

RealWaveさんがこのような曲解をされたのは、相変わらず私を「温暖化しない論者」だと思い込み、そうした先入観を持って読んでいるからではありませんか?

  • 2009/11/29(日) 23:28:48 |
  • URL |
  • 石墨 #PxDbU/1w
  • [ 編集]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://ishizumi01.blog28.fc2.com/tb.php/509-7c12bd3c
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad

まとめ

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。