酒と蘊蓄の日々

The Days of Wine and Knowledges

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

かくてアル・ゴアは教祖となる

今週の『Newsweek(日本版)』にアル・ゴア氏の新著『私たちの選択』に因んだレポート『「環境伝道師」ゴアのプロジェクト第2章』が掲載されていました。

Newsweek日本版2009.12.2

個人的な感想を率直に言わせて頂けば、彼もいよいよ焼きが回ってきたようです。それを象徴するのが以下の部分です。

(前略)

大半のアメリカ人が気候変動の脅威を真剣に考えないのは心理的な壁のせいだと分析し、理性だけでなく感情も人の決断を左右すると認めているのだ。「事実を並べるだけでは駄目だ」とゴアは書いている。

その認識と本書の理屈っぽい内容はどう折り合うのか――そう訪ねると、ゴアは一瞬困った顔を見せた後、気候変動問題の精神的な面に言及したページを指さした。そこには、人間は神から地球の「世話役」を任されており、将来の世代のために地球を守ることは神聖な義務だと書かれている。

(中略)

事実を並べるだけでは駄目という認識が、最もよく表れているは最終章だ。ゴアはここで、私たちがどうやって破滅的な気候変動を回避したのかを未来の世代に尋ねさせている。

ゴアのシナリオでは、答えはこうだ――アメリカで09年に温暖化対策の新たな法案が成立し、気候変動枠組み条約がまとまり、世界は「(エネルギーの供給と使用に関する)多くの変化が安上がりなだけでなく、利益を生むことにうれしい驚き」を覚える。「私たちは過ちを犯した。それでも希望が消えそうに思われたとき、天を仰いで、やるべきことを理解した」

(後略)

(C)Newsweek(日本版) 2009年12月2日号(通巻1179号)


彼の前著『不都合な真実』については当blogでも『不都合でもない真実』と題したエントリで評価しましたように、過去と近年の写真を対比してごく短いキャプションを付し、「明らかに、私たちのまわりの世界に、ものすごい変化が起きている」といった短絡的な結論を導く決して科学的とは言えない手法でアピールする頁が目に付きました。

大衆も莫迦ではありませんから、こんなものを鵜呑みにしない人は沢山いるでしょう。日本でも大型書店へ行けばこの本と同じ棚に科学的な考察で人為説の矛盾点や疑問点を指摘する本が幾つも並べられています。ある程度科学的に物事を考えられる人が各々を手にとって読み比べてみれば、「人為説が正しく、それを疑うのはトンデモだ」といった結論には決して至らないでしょう。

いずれにしても、ゴア氏が科学的とはいえないアピール手段を駆使してきたのは明白で、それゆえ『不都合な真実』はイギリスの高等法院に「科学的な誤りが9箇所ある」と指摘されたわけです。新著では「事実を並べるだけでは駄目だ」と述べているそうですが、これまでも彼の事実の捉え方は極めて偏っており、その事実と気候変動との因果関係は証明どころか説明すら満足にできておらず、感情に訴えかけるような構成も少なからずありました。

ここにきて、それでも不充分ということで「神」を持ち出すことにしたというわけですね。敬虔なキリスト教徒に対してはこうした宣伝もある程度の効果を期待できるでしょう。実際、アメリカではダーウィンの進化論に懐疑的な人が少なくないのですが、中でもキリスト教の教義を固く信じている人たちの間では根強い反感があります。最近の話題としてもダーウィンの人生を描いた映画『クリエーション』の上映見送り騒動がありました。しかし、こうした方向性は地球温暖化問題をより宗教色の強いものにしてしまう分だけ損だと思うんですけどねぇ。

同レポートによれば、ピュー・リサーチセンターの最新の世論調査で地球温暖化を示す確かな証拠があると考えるアメリカ人は2008年4月の71%から57%に減少し、温暖化の原因は人間の活動によると考える人も47%から36%に減少しているといいます。ゴア氏はこの原因を石油業界や石炭業界が巨額の宣伝費をつぎ込んで混乱させたせいだと考えているそうです。ま、それを言ったら地球温暖化問題そのものが原子力業界の陰謀だとする見方もありますから、そこで言い争っても水掛け論にしかならないでしょう。

それはともかく、日本ではメディアバイアスが強いせいかエルニーニョのあった1998年をピークに気温が上昇していないことを知る人はあまり多くありません。が、アメリカではウォールストリート・ジャーナル紙を筆頭に懐疑的な姿勢で報じているメディアはそれなりにあり、温暖化が進んでいないことを知っている人は日本よりも遙かに多いようです。こうした状況に彼も焦り始めたのでしょうか?

いずれにしても、ゴア氏の新著は以前にも増して感情に訴えかけることに心を砕き、神の威光を借りて大衆を扇動しようという方向性を打ち出したようです。これはもはや環境問題に取り組む姿勢ではなく、宗教活動に大きく近づいたと見るべきでしょう。

彼の新著の最終章に書かれている “世界は「(エネルギーの供給と使用に関する)多くの変化が安上がりなだけでなく、利益を生むことにうれしい驚き」を覚える。” といった部分は、まるで再生可能エネルギーなどの開発推進が人類をシャングリラに導くとでも言わんばかりです。何をどのように考えたらこうした発想に至るのか、私の頭ではもはや理解不能な領域に彼は踏み込んでしまったようです。

コメント

 ゴア氏の新著はまだ読んでいませんが、「不都合な真実」は、おどろおどろしい写真をこれでもかこれでもかと並べ、読者に催眠術をかけるような程度の低い洗脳本だと、私は思いました。

 また、ゴア氏がノーベル平和賞だなどというのは、ノーベル賞の権威失墜であるとともに、二酸化炭素地球温暖化説や温暖化危機説に肯定派で、それらに悪乗りして利権や商売や権力闘争の具にしている人々にとっては、ノーベル賞の権威を持ち出して懐疑派・否定派を押さえつけなければ、抑圧し切れなくなったのかなあ、と思いました。そもそも平和賞など実態は政治賞かなとも思います。

 そのゴア氏が、石墨さんのおっしゃる通りの、いよいよ宗教の教祖化してきましたね。キリスト教・地球温暖化危機派ということでしょうか。世界のイスラム教や仏教徒や無神論者の抵抗や反発を期待したいところです。

 ところで、イギリスやアメリカで、クライメート・ゲート事件で大騒ぎになっていますね。コペンハーゲンでまもなく開催されるCOP15が、大荒れに紛糾するかもしれません。いよいよ地球温暖化騒動も、「終わりの始まり」がついに来ましたね。

 でも、マスゴミの必死の抵抗や、国民の洗脳の深さから考えて、温暖化騒ぎが急に沈静化するとは思えませんが。

  • 2009/11/30(月) 14:40:37 |
  • URL |
  • 山のきのこ #-
  • [ 編集]

山のきのこさん>

>ノーベル賞の権威失墜

ノーベル賞の科学部門3賞はともかく、平和賞に関しては昔から欺瞞に満ちた授与が繰り返されてきましたから、私は元々その権威を認めていません。佐藤栄作氏が受賞したのも間違いだったと思いますし、ヘンリー・キッシンジャー氏も然りです。今年のオバマ大統領などタイムスケジュール的に見て全く辻褄が合わないというハナシは以前に述べたとおりです。http://ishizumi01.blog28.fc2.com/blog-entry-488.html

これも以前に述べたことの繰り返しになりますが、そもそもゴア氏とIPCCが採用している予測値は大きく食い違っています。ご存じのこととは思いますが、全般的にゴア氏のほうが桁違いに大げさな数字を採用してよりセンセーショナルに脅威を印象づけようとしています。このように認識が大きく異なる両者が同時に受賞したということは、ノーベル平和章の選考に当たって地球温暖化問題の科学的な考察は一切加味されなかったことが浮き彫りになります。要するに、政治的な思惑で決まったということなのでしょう。そして、それは過去も現在も恐らく将来も変わらないのでしょう。

>クライメート・ゲート事件

例のホッケースティック問題にも繋がるスキャンダラスなハナシが出てきましたね。私も概要については知る機会がありましたが、まだ詳しい事実関係を把握できていないので本編のネタにするのは控えていました。この事件は大きく発展する可能性がありますから、注意深く見守っていきたいと思います。

それにしても、欧米では有力メディアがこぞってこの事件を取り上げていますが、私の知る範囲では日経Ecolomyを除いて日本のメディアはことごとく無視を決め込んでいますね。ホッケースティック問題のときも同様でしたが、口裏を合わせたかの如き黙殺状態は何とも気持ち悪いです。ま、この一件でも日本は北朝鮮並の情報鎖国だということが再確認できましたね。

  • 2009/12/01(火) 23:26:05 |
  • URL |
  • 石墨 #PxDbU/1w
  • [ 編集]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://ishizumi01.blog28.fc2.com/tb.php/511-51b2ca86
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad

まとめ

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。