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クライメートゲート事件は大山を崩すのか? (その2)

今回のクライメートゲート事件も欧米の有力メディアが取り沙汰するようになってから既に半月以上経過していますが、日本では殆どのメディアが黙殺しています。ホッケースティック曲線の一件と同じように自分たちの立場がなくなるような腫れ物には触れず、嵐が過ぎ去るのを穴に潜って待つつもりなのでしょうか?

現在のところ、日本の主要なメディアでこの事件を扱ったのは、私の知る範囲で日経Ecolomyの『地球温暖化データにねつ造疑惑』と朝日新聞の夕刊に掲載された『盗まれたメール COP15控え波紋』くらいです。いずれも11月26日でしたから、欧米の主要メディアが騒ぎ始めてから1週間くらい遅れての報道でした。私がこの事件を知ったのは11月22日付の池田信夫氏blogです。それから4日遅れの報道ですから、タイミングとしては遅いと言わざるを得ません。ま、無視を決め込んでいる大多数のメディアに比べれば遥かにマシですが。

実は、朝日新聞の夕刊で報じられていたことを私が知ったのは数日前です。この原稿を書くのに当たって調べなおした際に引っかかってきた情報ですから、私もリアルタイムで気づいたものではありません。ですから、ほかにも見落としがあるかも知れませんが、少なくとも現段階において日本の主要なメディアはこの事件を完全に無視していると見なして間違いないでしょう。

私の実家では私が生まれる前から朝日新聞を朝夕とも購読してきましたので、古新聞をあさらせてもらったところ件の記事を見つけました。スキャナで取り込んだそれを以下に載せておきます。

朝日新聞のクライメートゲート事件報道
(C)朝日新聞 2009年11月26日 (夕刊・15面)

この記事は同紙の特派員によるレポートのようですが、全般的に伝聞調で他人事のように書かれている印象です(あくまでも個人的な感想です)。事件の概要についても全く舌っ足らずですし、ホッケースティック曲線の騒動が日本では黙殺された手前もあるのか、それに結びつけることも一切書かれていません(この記者がホッケースティック曲線の一件を知らない可能性もあります)。

しかしながら、日本では他の主要メディアがことごとく無視を決め込んでいる中でこの話題を取り上げ、夕刊とはいえ掲載に踏み切っただけでも朝日新聞にしてはよくやったと誉めておくべきでしょうか。その続報がないのは非常に残念ですが。なお、これら以外で日本語で書かれた記事としましては、Newsweek(日本版)の電子版にある『気候変動版「ウォーターゲート」の衝撃』もありますのでご参考まで。

日経も朝日同様、地球温暖化問題については科学的な考察など無視した精神論のような社説を載せていますが、約1年前に「やはり口先だけ」と題したエントリでご紹介しましたように、電子版は遙かに真っ当です。ま、保守系もリベラル系も日本のメディアの主流は判で押したように「地球温暖化が人為的なものであるのは疑う余地なし」といった立場で報道を繰り返し、逆に転んだときのことを全く想定していませんから、この事件も振れずに済むならそのままやり過ごしたいのでしょう。

とはいえ、間もなくポスト京都議定書を策定するCOP15がコペンハーゲンで始まります。CO2排出量削減義務を課せられることに抵抗している途上国はこの事件を引き合いに出す可能性も大いに考え得ることです。そうなれば日本の主要メディアも触れないわけにはいかなくなると思うのですが。

さて、このクライメートゲート事件の具体的な中身ですが、日経Ecolomyや朝日新聞の記事ではメールが盗まれたといった報じ方になっており、「trick」という言葉の意味が問題視されたり、懐疑派が文脈を無視して一部を抜き出し、曲解しているだけといった反論を載せています。が、実際にはそんなレベルで収拾が付くようなハナシではなさそうです。

前述のようにサーバーから抜き出されたのはメールだけでなくプログラムのスクリプトなども含まれています。その中には「trick」がプログラムコードとして書かれたものもあり、具体的な改ざんの要領が解るかなり決定的な物証となりそうなものも幾つか見つかっているようです。しかしながら、ここまで突っ込んだ情報は欧米のメディアでも報じられていないようで、扱いの難しい問題に発展することを恐れて彼らも慎重になっている可能性があります。

この辺りの詳しいハナシは次回に譲りますが、流出した情報がキチンと精査され、その内容の事実が確認されれば、改ざんがなされていたことが確定的になる可能性もあります。もちろん、それを嫌う多くの人たちの手によって政治的に押しつぶされてしまう可能性も否定できません。どちらに転ぶかはまだ予断を許さない状況とは思いますが、もしかしたら大山が崩されることになるかも知れません。

(つづく)

コメント

こんにちは。

 朝日新聞夕刊の記事ありがとうございます。たしかに肝心のホッケースティックのグラフについては全く触れていませんですね。朝日は、少しやばい情勢になってきたかなと、転んだときのアリバイ作りに動き始めたのかな、という印象もします。このあいだから図書館に行って、各全国紙の動向を見ていますが、この事件を報道したところはないようです。(もちろん見落としはあるかもしれません)

 池田信夫氏のブログで取り上げているのは私も読みました。ほかにも田中宇氏のブログや、副島隆彦氏のブログでも取り上げています。インターネット・ジャーナリストたちは、クライメートゲート事件について議論を始めています。テレビ・新聞は全く無視を決め込んでいますね。

 大山鳴動して、ネズミが出るか、大イノシシが出るか、はたまた全く何も出ないか、注目です。目前のCOP15がどうなるか目が離せませんね。
 

  • 2009/12/06(日) 13:45:34 |
  • URL |
  • 山のきのこ #-
  • [ 編集]

今日になって、毎日新聞のWEBに少し触れられていますね。
ただ、見出しの付け方からして、あまり大事にしたくないようにも見えます。
http://mainichi.jp/life/today/news/20091207k0000m040075000c.html

それにしても、ホッケースティック曲線って、まっとうなサイエンスの過程を踏まえていれば、初期の段階で淘汰されていなければおかしいほど、科学的根拠が脆弱に見えるのに、こんな形にならないと大きく取り上げられないところに、深刻な構造的歪みを感じてしまいますね。
(この件について、こんなに報道が遅れている日本のメディアはもっと深刻?)

  • 2009/12/06(日) 21:41:12 |
  • URL |
  • わちゃちゃ #JOOJeKY6
  • [ 編集]

山のきのこさん>
わちゃちゃさん>

お二方とも情報が早いので既にご存じかも知れませんが、わちゃちゃさんがご紹介下さった毎日新聞のほかにも、この週末は各紙ともアクションは小さいながらもようやく動き始めましたね。(その3)にリンクを張りましたように、朝日の朝刊、日経、産経でも取り上げられるようになりました。

まだまだ結末を予断することはできませんが、COP15でもこのクライメートゲート事件が大々的に取り沙汰されることを期待したいところですね。地球温暖化そのものに懐疑的な国は、「この一連の事件の結果を見るまで締約国会議を進めるべきではない」くらいのことを言ってボイコットをチラつかせるのも有りじゃないかと思います。

  • 2009/12/08(火) 00:14:56 |
  • URL |
  • 石墨 #PxDbU/1w
  • [ 編集]

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