酒と蘊蓄の日々

The Days of Wine and Knowledges

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さらば、S2000 (その3)

S2000の前に乗っていたユーノス・ロードスターはほぼ2年落ち(20,000km弱)の中古で、前のオーナーがロールケージだの強化スタビだの、少しだけ手を加えていましたので、脚をやり直し、吸排気系のライトチューンを施しました。

手を加えていくとそれなりに変わりますが、もちろん善し悪しもあります。足を固めればコーナリングのフィールは良くなりますが、バンピーな路面でのロードホールディング性能や乗り心地も低下します。ロールして踏ん張ってくれなくなれば、タイヤの性能に頼らないとテールハッピーにもなります。トータルバランスはノーマルに近いほうが良かったでしょうね。

都市伝説の巣窟」でも書きましたが、メーカーの開発の方と話をすると、彼らがどれだけハイレベルなプロフェッショナルか解ります。コストや安全性、扱いやすさなど、いくつものシビアな足枷がはめられた中で様々な要素を高次元でバランスさせ、如何に最適化していくかということを追求するプロ中のプロなんですね。巷のチューニングショップの仕事はそのバランスをあえて崩し、いくつかの犠牲を払いながら部分的な性能を向上させる格好になる場合が殆どかと思います。

S2000の走りはヘタレの私にとってほぼ完成されていました。ピーキーといわれるコーナリングですが、私が無理なく御せるスピード域ではそのピークを越えてしまうことも滅多にありませんでした。路面のμが低いとか、よほどのことがない限りはオンザレール感覚で難なく思い通りのラインで曲がってくれたんですね。

一度だけ、予期せぬテールスライドを経験したことがあります。あれは確か晴海通りを築地の交差点で左折する時でしたが、ちょうど雨が降り始めて路面のホコリが浮いてきた頃合いに、マンホールの蓋だかゼブラゾーンのペイントだかの上でツルッと滑ってしまったんですね。

何もせず流れに身を任せていたら、そのままスピンして反対車線にはみ出し、我が愛車は鉄屑になっていたかも知れません。が、幸いにも身体が自然に反応してくれました。かなりの量のカウンターステアになりましたが、それも半ば無意識だったと思います。戻しが若干遅れた分だけ少しオツリはもらいましたが、総じてさほど不細工な動きではなかったと思います。

若いうちにテールハッピーなスポーツカーで箱根あたりのワインディングロードでヤンチャして、スピンとか色々体験しておくと、こういうときには役立ちますね。傍目には「あのバカ、何でこんなところでドリフトしてんの?」と思われたに違いありませんけど。

S2000も現代のクルマですから、レヴリミットの9000rpmを超過すると燃料カットされます。私もこのリミッターに当てるような若干のオーバーレヴを何度か経験していますが、不調をきたすことも何事もなく、至って普通に動き続けてくれました。ま、誰が扱うか知れない市販車ですから、相応のマージンは見てあるのでしょう。昔のF2みたいにメカニックに叱られるような気むずかしいレーシングエンジンとは根本的に違うようです。

正直なところ、ロードスターは絶対的な性能が高くない分だけ、私のようなヘタレでもあまり危険のないスピード域で限界付近の挙動を楽しむことが可能でした。が、S2000はそのハイポテンシャル故、非常に限界性能が高く、公道で合法的にそれを楽しむことが難しいクルマといえるかも知れません。少なくとも、私にとってはそんな感じです。

私がS2000に乗らなくなった最大の理由は自転車熱が再燃したことにあります。S2000を買うため、目標金額400万円の貯金に一所懸命励んでいたときはチューニングだドレスアップだ何だかんだと色々夢想していましたが、実際に手に入れて走ってみると、その必要性をあまり感じず、自然にお金が自転車の方へ流れていった感じでしょうか?

最近は追い打ちをかけるようにガソリンの値段も上がりました。天候が悪いとか荷物が多いとか、そういうことでもない限り、片道20km程度の近場なら例のクロスバイクで事足りるようになって(そういう風に身体も出来てきたのだと思います)、昨年1年間の走行距離は恐らく2,000km前後に落ち込んでいたのではないでしょうか?

あとは以前にも書いたとおりで、自転車を積めるクルマではありませんし、もっと走ってくれるオーナーに飼われたほうが彼も幸せでしょうし、それなりに高く売れるうちに売ってしまったほうがお得かな? という思惑もありましたし、そんなこんなで手放すことにしたんですね。

腰高なプロポーションやフロントバンパー下左右にあるダミーのエアインテークは私の第一印象を悪くさせる大きな要因でした。デジタルメーターも私の理想とするスポーツカー像には当てはまりませんし、さほど低くないシートポジションも好ましくない部分でした。リヤサスのジオメトリが気に入らないのも前回詳しく述べた通りです。S2000は私にとってパーフェクトだったとはいえません。

しかし、あのS2000はホンダが創業50周年を記念し、その集大成とする渾身の1台だったと思います。フロアパネルも、エンジンも、トランスミッションも、全て専用のものを開発し、他への転用は全く視野に入れず、故にそれぞれが非常に贅沢でマニアックなスペックを誇っていました。

現行の2.2リッターはかなり毒抜きされ、コストダウンもされているようで、私のハートを揺さぶる多くの要素を捨ててしまいました。やはり、私の愛車だったS2000は私にとって愛すべきスポーツカーだったと思います。

s2000.jpg
某買取業者に引き取られていく我が愛車の後ろ姿

彼は今日、私の許を去りました。「次のオーナーにはたっぷり走ってもらい、たっぷり可愛がってもらえよ」と思います。

(おしまい)

テーマ:自動車全般 - ジャンル:車・バイク

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