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オバマ政権が「change」しなければならないこと (その2)

オバマ政権は、その発足直後くらいに「グリーンニューディール」と称する政策で雇用を創出し、経済の立て直しと環境保護の両立を目指すなどとする理想論を吹聴していました。日本のメディアもこぞってこれを賞賛したわけですが、そもそも風力や太陽光といった自然エネルギーの利用は課題が山積しており、その課題の克服に向けて確固たる筋道が定まっているわけではありません。

当blogでは何度も述べてきましたように、こうした不安定なエネルギーは何らかの方法で安定化しなければなりません。火力や水力の出力調整で補えない部分は大規模なエネルギーストレージに頼らなければなりませんが、コスト面でも効率面でも決定打となるような技術が確立されていないのですから、こうした現実を考慮せず闇雲に事を進めるのは大きなリスクを伴います。

オバマ政権はこのような大風呂敷を広げたものの、実際には1年を経ても具体的な事業プランが全く見えておらず、早急な対応が望まれる雇用対策には全く寄与していません。こうした状況にあるのは、やはり山積している課題に対処する明確な決断ができていないからでしょう。ま、雰囲気に飲まれて盲目的に動き始め、後悔することになるよりはマシかも知れません。が、実行に移せるまでの具体的なビジョンがない方針を大々的に発表するのは無責任というものです。

ちなみに、ルーズベルト大統領はテネシー川流域開発などの公共事業をはじめとしたニューディール政策の法整備を就任から僅か3ヶ月あまりで完了させ、早期に雇用の創出を図りました。もっとも、こうした公共事業が景気回復にもたらした効果は限定的で、第2次世界大戦による特需がアメリカ経済の立て直しの大きな原動力となっていたとする評価が一般的なようですが。

ところで、日本のメディアでも伝えられているように、ケネディー一族のお膝元で民主党が強固な基盤を持っていたマサチューセッツ州の上院議員の補欠選挙で歴史的な敗北を喫し、民主党は安定多数の60議席を割りました。このことからオバマ氏の選挙公約であり、同政権最大の政策目標であった医療保険制度改革も挫折してしまう可能性が高まりました。もし、本当にこの制度改革が挫折することになったら、彼の指導力のなさを多くの人が認識することになるでしょう。

それにしても、件の補欠選挙を巡るオバマ大統領は無様でした。彼の応援演説も空しく敗れたのは仕方ないにしても、そのことについてABCテレビのインタビューで彼が語ったコメントは全く以て意味不明です。曰く、「これはマサチューセッツ州だけでなく、国全体を覆っている雰囲気だ。国民は怒り、苛立っている。この1、2年だけでなく、過去8年に起こったことも含めてだ。」

これでは「ブッシュ共和党政権時代に起こったことを含めて怒っている選挙民が共和党を支持した」ということになってしまいますから、支離滅裂としか評しようがありません。彼は演説が上手く人を惹き付けるスキルを持っていますが、結局はジョン・ファブロー氏ほか2名のスピーチライターが書いた原稿がなければマトモなことも言えないのでしょうか? それとも、ショックのあまり錯乱していたのでしょうか?

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Jon Favreau
オバマ政権お抱えの主任スピーチライターですが、
何と1981年生まれで現在28歳という若さです。
大統領就任演説を書いたのももちろん彼です。


彼が大統領選を勝ち抜いたのは演説が上手かっただけでなく、彼のブレインたちもメディアの操縦術に長けていたからだと思います。が、政権を担う人物やその取巻きに求められる最も重要な能力は聴衆やメディアを乗せることではなく、掲げた理想を実現に導く指導力です。この1年の彼の実績を見た限り、やはり指導力は並以下といった印象です(あくまでも個人的な感想です)。

オバマ政権は経済の立て直しに総額7872億ドル(約72兆円)にもおよぶ対策を実施し、その結果GDPは2.2%増となり、5四半期ぶりにプラスへ転じました。が、財政赤字を大幅に拡大するという弊害が顕著になっていながら、失業率は昨年10月以来10%以上という高い水準で推移しています。日本のバブル崩壊後の惨劇を教訓に金融機関の立て直しを優先させたという経緯もあるでしょうが、約72兆円も突っ込んでおきながらこの失業率の高さですから、国民の理解も得がたいでしょう。

彼は選挙戦のときから誠実さをアピールしながら大衆ウケする政策を掲げ、人気を博してきました。しかし、大衆ウケする政策が必ずしも良策とは限らず、場当たり的な対処にとどまってしまうことも少なくないでしょう。現状を打破するには多少の傷みを覚悟しながら、根本的な枠組みを見直すところまで踏み込んでいく必要があると思います。

が、彼にはそこまで骨太な政策を纏める能力やそれを実行させる指導力があるようには見えません。少なくとも、彼の支持基盤である労組保護が色濃く残ったGMやクライスラーの再建計画などを見ていると、彼が高らかに唱えた「change」のかけ声も非常に虚しく感じます。(関連記事『オバマ政権は米自動車産業を何処へ導くのか?』)

まだ彼の任期は3年ありますから、いまの段階で結論を下すのは拙速すぎるというのは承知しています。が、これまでの実績を見た限りでは、彼に多くを望むと大きな失望が待っているような気がしてなりません(あくまでも個人的な印象です)。多くの人がオバマ政権発足当初に期待していたような明るい未来へ導くには、すぐにでも優秀なブレインを見つけて政策立案体制とその執行能力を根本的に「change」しなければならないように思います。

もっとも、そんな風に政権体制を整える能力を持った優秀な人材がいるのなら、初めからその人物を大統領にしておけば良かったわけですが。

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