酒と蘊蓄の日々

The Days of Wine and Knowledges

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騒ぐ前に少しは自分で調べなさい (その1)

誤解がないように予めお断りしておきますが、今般のトヨタのリコール騒動に関して私はトヨタを擁護するつもりなど毛頭ありません。アクセルペダルまわりのリコールについても大型ピックアップのタンドラで同種のクレームが3年前に寄せられていながら正式にリコールとして対応せず、「安全には関係ない運転のしやすさの問題」として個別に処理していたということが明らかになってきました。

これでは富士重工や三菱ふそうがやっていたクレーム隠しおよび闇改修と全く同じ状況です。ここに至ってメディアが「クレーム隠し」という言葉を避けているのも少々引っかかるところですが、大スポンサー様であらせられるトヨタに遠慮しているのでしょうか?

なお、日本のメディアは自動車のリコール制度について全く無知なため、「リコール隠し」という適切とはいえない表現をしていましたが、日本の制度に従って厳密さを求めるなら「クレーム隠し」ないし「欠陥隠し」というのが適切です(国土交通省は専ら「クレーム隠し」という言葉を使ってきました)。その理由を説明していると少々長くなってしまいますので、いずれ改めてエントリを設けます。

さて、このリコール問題を巡っては五大紙でも産経新聞を除いてこの週末に相次いで社説で取り上げられました。が、やはりトヨタに対して遠慮気味といった印象で、三菱ふそうのときとは全く比べものにならない穏やかさです。各紙とも過去の事例や普段からどのようなリコール案件が届け出られているのかといったバックグラウンドを全く把握していない非常に軽薄なものという点でも共通しています。

朝日新聞 『トヨタ車回収―安全への感度が生命線だ』 (2010年1月30日付社説)
日本経済新聞 『トヨタは信頼回復できるか』 (2010年1月30日付社説)
毎日新聞 『トヨタ車回収 安全の確保に全力を』 (2010年1月31日付社説)
読売新聞 『トヨタリコール 安全への信頼回復が急務だ』 (2010年1月31日付社説)

当blogではこれまでメディアのリコールに関する扱い方が出鱈目だということを述べてきました。先にも触れましたように、近年はコストダウンのための合理化策として部品の共用が進められてきました。それゆえ、以前に比べれば一つの不具合が大規模なリコールに繋がってしまうケースが増えています。各紙ともそのことについて触れながら、しかし類例については何一つ調べていないようです。

このタイミングでホンダもパワーウィンドウの不具合から発煙・発火の恐れがあるとして海外で約65万台のリコールを発表しましたが、これもまたトヨタの一件に絡めながら騒がれてしまいました。彼らは発表された情報を受け売りするばかりで、やはり自ら実態を知ろうという気がないようです。

ということで、彼らに期待しても無駄なようですので、私が独自に調べてみました。とりあえず、過去3年間に日本国内で届け出られたリコール案件のうち、対象車が10万台以上で重大事故に繋がる恐れのあるものや火災、燃料漏れの恐れがあるものを列挙してみます。

●シートベルトテンショナーの巻取装置付近に遮音補助材を設定したため、テンショナーが作動した際に発生する高温ガスで遮音補助材が溶け、最悪の場合、火災に至る恐れがある。対象車:トヨタ・ヴィッツ、ヴェルタ、ラクティスの456,790台

●燃料タンクの取付方法が不適切なため、亀裂が発生することがあり、最悪の場合、燃料が漏れる恐れがある。 対象車:トヨタ・ノアの628,239台

●燃料パイプのパイプ材溶接部に対する曲げ位置が不適切なため、微小な亀裂が発生することがあり、最悪の場合、燃料が漏れる恐れがある。対象車:トヨタ・クラウン、マークXの215,020台

●燃料パイプと取付金具の接合部に塗装が施されていないものがあるため、パイプに錆びが発生することがあり、最悪の場合、燃料が漏れる恐れがある。対象車:日産セレナの313,033台

●燃料タンクの取付方法が不適切なため、亀裂が発生することがあり、最悪の場合、燃料が漏れる恐れがある。対象車:日産マーチ、キューブの1,010,843台

●駐車ブレーキレバーを保持するラチェットの嵌合部形状が不適切なため、最悪の場合駐車ブレーキが保持できないまたは駐車ブレーキが突然解除される恐れがある。対象車:ホンダ・フィット、エアウェイブの144,409台

●エンジン制御コンピュータのプログラムが不適切なため、アクセルペダルを戻してもエンジン回転が下がりにくくなることがあり、ブレーキ倍力装置に供給される負圧が不足し、最悪の場合、制動力が低下する恐れがある。対象車:マツダ・デミオ、ベリーサ、アクセラの170,300台

●コイルスプリングシートとコイルスプリングの組合せが不適切なため、スプリングの塗装の剥離から錆が発生して折損することがあり、折損したスプリングとタイヤが干渉し、タイヤが損傷して、最悪の場合、走行不能に至る恐れがある。対象車:マツダ・デミオ ベリーサの264,276台

●前席ドアガラスの組付け作業が不適切なため、ドアガラスを下げた際にガイドレールから外れてドア開閉用ロッドに干渉し、最悪の場合、ドアが開く恐れがある。対象車:三菱コルトの185,382台

●エンジンルーム内のエアコンコンデンサー前側に装着している遮風用インシュレーターの材質が不適切なため、破断したインシュレーターが排気管に接触し、最悪の場合、火災に至る恐れがある。対象車:三菱ekワゴン、ミニカトッポ、トッポの241,775台

●後輪差動装置のピニオンシャフトの強度不足で、最悪の場合、車輪がロックする恐れがある。対象車:スズキ・エブリイ、キャリイ、マツダ・スクラムの129,766台

●リヤプロペラシャフト軸受の材質が不適切なため、リヤプロペラシャフトが脱落し、最悪の場合、走行不能になる恐れがある。対象車:スズキ・エブリイ、キャリイ、マツダ・スクラムの381,551台

●前照灯用電気配線が不適切なため、最悪の場合、前照灯が点灯しなくなる恐れがある。対象車:スズキ・キャリイ、マツダ・スクラムの103,040台

●クランクプーリの防振ゴムの接着面が剥離することがあり、最悪の場合、発電機が作動しなくなってエンジンが停止する(エンジンが停止するとブレーキの倍力装置が働かず、制動力が低下する)恐れがある。対象車:スバル・R1、R2、ステラの108,071台

●エアコンコンプレッサの電磁クラッチ面の接触面積が小さく、条件によってクラッチ部が異常発熱することがあり、最悪の場合、火災に至る恐れがある。対象車:スバル・サンバーの114,232台

●アクセルペダル下端部の形状が不適切なため、フロアマットに穴があくことがあり、最悪の場合、アクセルペダルが穴に引っかかってエンジン回転が下がらなくなる恐れがある。対象車:ダイハツ・ハイゼットの109,167台

●CVTのオイルクーラーホースの製造工程に不適切なものがあり、エンジンの振動などによりホースが抜けてオイルが漏れ、最悪の場合、火災に至る恐れがある。対象車:ダイハツ・ムーヴ、ミラ、タント、ソニカの136,810台

●ステアリング機構のユニバーサルジョイントとギヤボックスの連結部がずれた状態で締め付けたものがあり、最悪の場合、ステアリング操作が利かなくなる恐れがある。対象車:いすゞ・エルフ、日産アトラスの161,296台

余談になりますが、今回調べて驚いたのは、三菱は対象車が1台とか3台とか、極めて微少なものまでちゃんとリコールを届け出ているんですね(他社では同じくクレーム隠しの前科がある富士重工を除いて1桁など見かけませんでした)。それだけに三菱が届け出ているリコールは数が多く、確認作業が大変でした。彼らはあの一件でよほど懲りたのでしょう。

さて、上に列挙したリコール案件は日本国内のみを対象としたもので、最近3年間に届け出があったものに限っています。そのせいか、100万台を超える規模の案件は日産マーチ/キューブの燃料漏れの恐れがあるという1件のみでした。が、燃料漏れも周囲に火の気があれば火災に直結するものですから、軽視してよいというものでもないでしょう。

また、この約101万台のほかにも約46万台や約63万台といった規模のリコールがありましたので、いまトヨタの一件と絡めながら「日本車の信頼も地に墜ちたと」騒がれているホンダの約65万台も稀な台数とはいえませんし、いまに始まったことでもありません。

メディアが台数の多さを徒に問題視しているのは、こうした状況を把握していないということもあるのでしょう。が、さらに調べてみますとGMやフォードの大規模リコールは棚に上げてトヨタばかりが槍玉に挙げられている状況だということが解ってきました(詳しくは次回に)。またしても狡猾なアングロ・サクソン人に乗せられているだけなのかも知れません。(あくまでも個人的な感想です。)

(つづく)

コメント

日本のメディアは誰の見方?

アメリカはGMやクライスラーの再生の為にも、日本車のシェアを少しでも削りたいと思っているはずです。
日米貿易摩擦の頃は、日本車をボコボコに破壊するなど、あからさまなパフォーマンスもありましたが、トヨタやホンダの工場がアメリカに進出し、少なからぬ雇用の受け皿となっている現在、以前のように正面から日本車を攻撃する事は出来ません。
そこで、リコールをことさら強調して「風評被害」を発生させる手段の出たのでしょう。
もちろん、不具合の内容事態は人名に係わり軽視すべきではありませ。

一方、日本のメディアが海外のメディア同様に騒ぎ立てるのは、やはり軽率です。
しかし、日本のメディアが誰を利する為に報道をしているのか疑った時、別の風景が見えてくるはずです。
例えば、先の民主党大勝の時もメディアの果たした役割は非常に大きなものでした。結果、政権交代が為され民主党はアメリカに対抗姿勢を見せるようになりました。
これは一見、アメリカの利益に反する様ですが、アメリカの本当の敵は日本の官僚機構です。日本の優秀な官僚達は、アメリカの押し付ける改革案に抵抗し、あるいは受け入れるふりをしながら骨抜きにするという高等戦術を使いながら日本の国益を守ってきました。
政権が自民党であろうが、民主党であろうが、日本において実験を握っているのは官僚機構です。
民主党政権の樹立は、国民の選択の様でありながら、官僚機構への噛ませ犬として、メディアが主導して成立したものだとも言えます。
あくまでも仮定の話ですが、石墨さんあが指摘されている様に、メディア操作もアングロサクソンの狡猾な手段の一つかも知れませ。
新聞やTVのニュースを全く逆に眺めると、世の中は以外とシンプルな構造になっている事に気付くかもしれません。

  • 2010/02/03(水) 05:22:33 |
  • URL |
  • Bf #-
  • [ 編集]

誤字だらけですみません

上の書き込み、寝起きで書いたら誤字だらけでした。
正しい字を推測して下さい。ゴメンナサイ。

  • 2010/02/03(水) 05:32:51 |
  • URL |
  • Bf #-
  • [ 編集]

Bfさん>

今回の騒動が本当にアングロ・サクソン人に乗せられているだけなのか否かは解りませんが、GMやフォードからも大規模なリコールが出されていながら、そちらは殆どスルーされているという理不尽な状況を鑑みれば、当たらずとも遠からずといったところかも知れません。

>アメリカの本当の敵は日本の官僚機構です。日本の優秀な官僚達は、アメリカの押し付ける改革案に抵抗し、あるいは受け入れるふりをしながら骨抜きにするという高等戦術を使いながら日本の国益を守ってきました。

素晴らしい慧眼ですね。全く仰るとおりだと思います。もっとも、その能力が間違った使われ方をされて私利私欲に走る官僚もいるようですので、諸刃の剣となっているようにも思えますが。

>新聞やTVのニュースを全く逆に眺めると、世の中は以外とシンプルな構造になっている事に気付くかもしれません。

確かに、地球温暖化問題にしても、インフルエンザを筆頭としたパンデミックの問題にしても、テロとの戦いにしても、逆から眺めるとシンプルな筋道が見えてくるように感じます。

>寝起きで書いたら誤字だらけでした。

私も書いているうちに眠くなって推敲もそこそこにアップしてしまうことがあり、次の日読んでみたらかなり酷い有様で、そそくさと修正することがあります。ちなみに、コメントを投稿される際に「Pass」の欄にパスワードを入力して頂くと、「編集」で修正や削除ができるようになります。気になるようでしたら、次回からこうした機能を利用されると良いかも知れません。

  • 2010/02/04(木) 00:15:34 |
  • URL |
  • 石墨 #PxDbU/1w
  • [ 編集]

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