酒と蘊蓄の日々

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ビジネス的にはインサイトのほうがヤバイかも? (その2)

私は試したことがありませんが、インサイトは足が硬い分だけワインディングロードを駆け抜けたときの乗り味がよいという評価をよく耳にします。そういう部分でインサイトを選んだという人もいるでしょうし、それはそれで悪くないチョイスだと思います。大人しく走ればプリウスほどではないにしても、普通のクルマよりかなり燃費が良いのも確かですから。しかし、そういうスポーツ走行重視の需要は全体から見れば決して多くはないでしょう。

コストと利便性のバランスでは多くの人にとってフィットのほうが優れていると映るでしょう。それは販売台数にも如実に表れています。プリウスと比較しても、リコールされたブレーキシステムの問題を別にすれば、全般的なハイブリッド車としての充実度で見ても、単純に車格で考えても、明らかな差がありながら、装備を考慮すれば実質的にプリウスのほうが割安です。以前、インサイトはバックオーダーを捌いたら台数が落ち込むのではないかと予想したのは、こうした中身を検討すれば当然のことと思ったゆえです。

その落ち込みが始まるのは昨年9月くらいではないかと私は予測しましたが、これは見事にハズレました。ま、元にした受注状況の情報がかなり断片的で不確実なものでしたから、これは当然の結果でしょう。不明な点は想像で補っていたゆえ私自身「予想(というより妄想?)」と書いたほど自信がありませんでしたから、ま、こんなものかと思っていました。ところが、どういうわけか先月に限ってはインサイトの登録台数が激減してしまいました。

主要車種の販売台数推移(09.2-10.01)
主要車種の販売台数推移

インサイトの国内販売状況はこれまで毎月1万台前後で推移しており、プリウスほどではないものの、ホンダの当初計画の2倍という非常に良好な台数を継続してきました。昨年2月発売ということで1ヶ月少々ハンデはありますが、昨年(1~12月)の販売台数も93,283台で国内車種別5位(軽自動車を除く)にランクされるなど、大健闘といったところでした。が、ご覧のように何故か急降下です。

これがプリウスのようなリコール騒動があったとか、エコカー補助金の適用期限となっている3月を過ぎ、4月の販売実績が落ち込んでしまったというのなら解らなくもありません。が、そのような要因が全く見当たらない中で先月の登録台数は3,430台となり、これまでの約1/3に落ち込んでしまいました。この1月に関しては軽自動車を除く車種別でも23位にとどまり、トップ20から陥落するという有様です。

販社は年度末に追い込みをかけますから、その前はやや台数が抑え気味になる傾向があります。特に2月は日数も少ないですし、追い込みの前月ですから、台数が鈍る傾向があります。年末年始の休みが入る12~1月もやや低めになる傾向がありますが、それにしても他車と見比べてここまで激しい落ち込みは少々異様な感じです。もちろん、単月の落ち込みだけで結論づけるのは拙速すぎますが。

ただ、これまで毎月1万台前後で推移してきたことのほうが私にとっては予想外の状態でした。もしかしたら、受注残などの読みが甘かったゆえにタイミングが私の予想より4ヶ月遅れただけかも知れません。日本の乗用車マーケットは意外に懐が深く、内容を詳しく検討せず直感的にクルマを選んでいる人も少なくないようですが、そうして目新しいものに飛びつく人の波が一段落したのかも知れません。

一方、日本より保守的で拘りが強い傾向にあるヨーロッパはもちろん、アメリカでもインサイトは玉砕状態です。ホンダは日米欧の三大マーケットにインサイトを投入し、年間20万台を販売する計画でした。その内訳はアメリカ10万台、日本6万台、ヨーロッパ4万台だったといいます。が、昨年12月末までの売上は、3月末に発売されたアメリカが20,572台、4月発売のヨーロッパも15,932台ですから、目標に対して各々27.4%、53.1%というペースになります。

昨年12月末の時点で2代目インサイトは累計129,789台売れていたわけですが、実に7割以上が日本での売上で、海外は大不振という状況です。昨年12月末現在の日本での目標達成率は169.6%という好調ぶりで絶大な牽引役となってきました。が、欧米では上記の通りですから、世界トータルの目標達成率は81.1%で、あまり芳しい状況ではありません。

そうした中、先月の日本国内も当初の月販目標5,000台に対して3,430台、達成率68.6%に落ちてしまいました。今後もこのペースが続いてしまったら、ホンダにとってはかなり厳しいことになってくるでしょう。年販20万台の目標達成はまず不可能で、14.5万台そこそこに終わるかも知れません。日本も今後の月販が3,500台前後で推移するとしたら、2年目は世界トータルで9万台程度、初年度の目標に対する達成率は45%程度に落ち込んでしまうかも知れません。

これまでは懐が深い日本のマーケットに救われてきた状態でしたが、もし日本のマーケットも初めから欧米並みにシビアな評価を下していたら、インサイトはホンダのハイブリッド車戦略を大きく後退させていたに違いありません。

それにしても、日本国内でバックオーダーを抱えていた当時、ホンダはインサイトの増産体制に入ったようなことを吹聴していましたが、ここまで目標割れが顕著な状態では増産もクソもないでしょう。少なくとも欧米向けは相当ダブついていたハズですから、あの情報は一体何だったのでしょう? 唯一の希望である日本のマーケットを活性化しようとしてハッタリをかましていたのでしょうか?

今般のプリウスのリコール問題を受けてインサイトには少し追い風が吹く可能性もありますが、メディアは三菱ふそうのときほど引っ張りませんでした(トヨタと三菱ふそうとではスポンサーとしての格も桁違いですし)。

もし、プリウスの問題がもっと引っ張られていたら、普通のクルマとは違うブレーキシステムが注目され、ハイブリッド車全体にそのイメージが広がってインサイトにも飛び火してしていたかも知れません。フォード・フュージョンなどのハイブリッド車でもプリウスと似たような不具合が出ていますから、これがプリウスと同等に扱われていたら、そうした流れになっていた可能性もあったでしょう。

が、実際にはそこまで至らず、フォードの件もいつもの偏向報道で多くの人は知らないまま終わってしまいましたから、そうした心配もなくなりました。また、忘れっぽいのも日本人の特性の一つですから、しばらくして落ち着いてきたら、何事もなかったかのような状態へ戻るのではないかと想像されます。

プリウスは信頼を取り戻しさえすればビジネス的な懸念材料はありませんが、インサイトは信頼を失うような事件などなくても欧米では初めから大不振で日本でも先行きが心配される状態です。ビジネス的に危ぶまれるのはプリウスよりインサイトのほうかも知れません。

(おしまい)

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まとめ

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