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『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』の功罪

名古屋大学大学院教授・武田邦彦氏がよみうりテレビの『たかじんのそこまで言って委員会』に出演して以来、彼の著書『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』(以下『環ウソ』)はベストセラーとなりました。

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私は『環ウソ』もその続編も初版を購入して読んでいましたが、実際にデータの出典について調べてみますと、かなりおかしな点があることに気づきました。

また、ダイオキシンはさほど毒性が強くないとする主張もあながち間違いではないと思いますが、実際にダイオキシン類は200種類くらいあり、中には非常に毒性の強いものもあります。なので、これを十把一絡げに論じるのも乱暴じゃないか? という疑問もありました。

LCA(ライフサイクルアセスメント:資源調達から最終廃棄されるまで製品の生涯を通じた環境負荷の評価)をかなり否定的に論じている点も、その根拠が極めて不明瞭で全く同意できません。

ま、他にも気になった点は山のようにありましたが、列挙するだけでも大変な作業になりますので割愛します。

この『環ウソ』が出版されてからしばらくして、PETボトルリサイクル推進協議会から武田氏のデータは捏造されたものとするパブリシティがなされ、『環ウソ』に書かれたデータの信憑性に対する疑いは一層強くなりましたし、レフォ本としては到底使い物にならないと判断しました。

ただ、私の基本的なスタンスは「是々非々」です。『環ウソ』には誤りも沢山ありますが、もちろん全てがそうという訳ではありません。正しいことも沢山書かれています。

また、世間一般の環境問題に関する短絡的な認識を正そうとする姿勢も大いに評価できます。それまで殆ど顧みられることなどなく、「これをやっておけば環境に良い」といった安直な環境指向に一石を投じた功績は見逃せません。

例えば、PETボトルリサイクル推進協議会の公式サイトは私も以前から散々見てきましたが、それまではペットボトルの回収率ばかりを大きく取り上げ、世界最高レベルの回収率だということを強調するばかりでした。また、彼らは「回収率」を「リサイクル率」と称してきましたが、これも欺瞞であると言わざるを得ません。その一方、肝心の再利用状況についてはかなり曖昧なデータしか掲載していなかったんですね。

回収した使用済みペットボトルの処理能力は大きく謳うものの、処理されたそれが具体的にどのような製品としてどれだけ再利用されているのか、といったデータは大雑把な重量換算データが表で示されていた程度で、詳細を追えるような代物ではありませんでした。

こうした状況も手伝って、私はペットボトルのリサイクルに胡散臭さを感じていましたし、「PETボトルリサイクル推進協議会は回収率を自慢するために組織されたのか?」と不満が鬱積していました。

しかし、『環ウソ』による指摘に端を発するかたちで、各メディアからの質問も相次いだらしく、情報開示の状況がかなり改善されてきたのは事実です。これは「怪我の功名」というべきかも知れませんが、結果的には非常に良い効果だったと認めるべきでしょう。

もちろん、『環ウソ』のその論旨を補強するはずのデータがあのいい加減さでは説得力も半減します。また、徒に混乱を招く恐れもあります。そうした懸念はこの『環ウソ』の批判本である『“環境問題のウソ”のウソ』(以下『環ウソのウソ』)を著した山本弘氏と同感です。

SF作家でトンデモ本研究の大家である山本氏の『環ウソのウソ』には『環ウソ』の問題点が子細に述べられています。そういう意味では私の出る幕など殆どないでしょう。私が『環ウソ』に対して気になった点の詳細は割愛させて頂きましたが、その多くがこの『環ウソのウソ』で非常に詳しく検討されています。

が、実はこの『環ウソのウソ』も私の観点から言わせて頂けば、かなり問題の多い本なんですね。ある意味では『環ウソ』より酷いかもしれません。結局のところ両者を読み比べて後は各々が判断していくしかないということになるでしょう。

『環ウソのウソ』についての詳しくは、エントリを改めて述べていきたいと思います。

テーマ:環境・資源・エネルギー - ジャンル:政治・経済

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