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いまごろ気付いたのでは遅すぎる

トヨタのリコール問題で国内メディアも大袈裟に騒ぎ始めた2月初旬、当blogでは『騒ぐ前に少しは自分で調べなさい (その2)』でフォードやGMにも大規模リコールがあったことを指摘しました。これを棚に上げてトヨタだけを問題視するのは不公平で、全体の状況を把握せずに三菱車の火災のみを伝えたあの偏向報道の繰り返しだと批判しました。それから遅れること1ヶ月余り、ようやくそうした実態に気付き始めたようです。

09年米リコール フォード452万台、GM223万台

 【ワシントン=寺西和男】米国で2009年に自動車メーカーがリコールした車の台数は、トヨタ自動車が487万台で最多だったが、フォード・モーターもほぼ同規模の452万台に達したことが分かった。米国ではリコールへの対応の遅れでトヨタに批判が集中したが、リコール台数の増加に米議会では「リコールは業界全体の問題」との声が強まり、業界の安全強化に向けた検討が本格化しそうだ。

■議会「産業全体の問題」

 与党・民主党の実力者、ダニエル・イノウエ上院議員の事務所が、米運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)の情報をもとに作成した資料を朝日新聞が入手した。00年~09年の米国でのリコール台数が主要メーカー別に記載されている。

 それによると、09年は米国全体でリコールしたのは1640万台。うち、トヨタは487万台(全体の29.7%)と、過去10年間で米国でのリコール台数で初めて首位になった。一方、フォードが452万台(同27.6%)、GMが223万台(同13.7%)など、トヨタ以外のメーカーもリコールの多さが目立つ。

 詳細なデータがない00年を除き、01~09年の主要各社の累計リコール台数を比べると、フォードが3650万台(全体の23.7%)、GMが3580万台(同23.3%)を占めた。これに対し、トヨタは1068万台(同6.9%)だった。

 一方、米国全体のリコール台数は04年の3082万台から08年に1053万台に減ったものの、09年には再び600万台増えるなど、一進一退が続いている。

 2日の上院の商業科学運輸委員会での公聴会で、イノウエ議員はこの資料を根拠に「リコールはトヨタだけの問題ではなく業界の問題だ」と指摘。委員会の調査もトヨタだけを集中的に調べるのではなく、業界全体の取り組みに広げる必要性を訴えた。

 下院の監督・政府改革委員会のアイサ筆頭理事も3日、車の急加速問題についてトヨタ以外のメーカーに調査対象を広げるべきだとの考えを表明。米議会にはアクセルよりブレーキを優先する装置の義務づけに向けて法制化を目指す動きもあり、トヨタ以外のメーカーに対しても安全への取り組みを求める姿勢が強まっている。

(C)朝日新聞 2010年3月5日


当blogでは把握が困難な総数には触れませんでしたが、100万台を超える大規模リコールについて取り上げました。特にフォードのクルーズコントロールのスイッチから発火の恐れがあるリコールはそれだけで450万台規模でしたから、トヨタだけが突出したものではないという実態を明らかにしていました。

私は特別なことをしたわけではありませんし、特別な情報源を持っているわけでもありません。ただ、Googleで「GM リコール」「フォード リコール」といったキーワードで(しかも日本語で)検索しただけです。たったそれだけのことでGMやフォードの大規模リコールについて、あっという間に具体例を把握できました。

が、多くの日本のメディアはこうした極めて初歩的なこともすっ飛ばし、アメリカから押し寄せてきた波にアッサリと呑み込まれてしまいました。徒に騒ぎを拡大し、偽善めいた安っぽい正義を振りかざし、トヨタのその売り上げを低下させる片棒を担いでしまったというわけです。これでは「魔女狩り」と何ら変わりません。

トヨタも大規模リコールやその対応の遅れの理由として「事業の急拡大が原因の一つ」というストーリーに便乗しました。彼らにとっても解りやすい理由を示しておいたほうが都合がよいと判断したからでしょう。しかし、トヨタのクレーム情報に対するスタンスは以前から大差なく、彼らの体質が昔から変わっていないことを私は知っています。

トヨタはリコールに該当するクレーム情報を8年間も放置し、そのことを咎められて4年前に国土交通省から「欠陥車関連業務に係る業務改善指示」(←リンク先はPDFです)を受けています。近年になってトヨタの取り組み方に問題が生じ始めたのではありません。それは少なくとも十数年前から始まっていたことで、海外マーケットにとどまるハナシではないこともこの業務改善指示を受けたという事実が物語っています。

同様に、他社でも似たようなクレーム情報の放置や隠蔽がありました。他にも試作車を公道でテストする際に正規の手続を踏まず、5社が違法行為を犯していたなど、企業倫理を問われる不祥事が多くのメーカーでありました。こうしたことも私は以前から知っていましたから、トヨタだけの問題でなく、業界全体に似たような弛みがあることに気付いていました。

また、2004年に三菱ふそうがサンドバッグ状態になった一件を受け、国内各社は大慌てでリコール等の届出を連発し、前年までの4倍くらいにその件数が膨れ上がったという事実を『印象だけで論評するメディアの無責任 (その2)』でお伝えしましたが、それと同じことが今回も起こっています。

アメリカでトヨタ叩きが本格化した頃からヨーロッパの主要メーカーも大慌てでリコールの届出を連発しているんですね。トヨタのように「対応が遅い」と叩かれる前にきわどい案件はとりあえずリコールしておいたほうが無難だという判断によるのでしょう。たまたまトヨタのように騒がれなかっただけで、多かれ少なかれ似たような案件を抱えていたと見るべきでしょう。

先月、前原国交相が日本国内におけるトヨタ車の急加速や急発進について国交省に寄せられた情報として2009年までの3年間に38件あったことを示しました。そのとき、全体では134件あり、トヨタの38件は同社の保有シェアにほぼ一致する割合で、「トヨタが特に他社よりも多いわけではない」とコメントしていました。珍しくマトモな情報開示だったと思いますが、こうした対応は出来て当たり前のことであって、トヨタだけが徒に問題視されてきたほうがおかしいのです。

こうした問題は突然急激な変化が起こったというケースより、単にそれまで知られていないだけだったり、一部がクローズアップされて全体を見渡していなかったり、データの取り方そのものが間違っているといったケースのほうが多いように感じます。

そうした状態になっているのか否かを見極めるためにもまずは過去に遡って類例がないかを調べる必要があります。そんな当たり前のことをやらなかったメディアは、全くの素人である私より1ヶ月以上も遅れてようやくこの問題も「木を見て森を見ず」というべき愚かな状態になっていたことに気付いたというわけです。「リコールはトヨタだけの問題ではなく業界の問題だ」というのはまさにその通りですが、その事実に気付くのがあまりにも遅すぎました。

ごく一部分の情報を元に世論を誘導しようと企てる人はこれからも絶えないでしょう。環境問題やそれに乗じた原発推進、自然エネルギーの利用拡大などもそうですが、断片的な情報に乗せられ、都合良く利用されてしまうのは恥ずべきことです。事が進んでしまってから乗せられていたことに気付いても、後の祭りというべき状態へ至っている場合も少なくないと考えたほうが良いでしょう。

そうならないためにも、メディアには今一度「騒ぐ前に少しは自分で調べなさい」と声を大にして言いたいところです。ここで取り上げた朝日新聞の記事も結局のところ同紙の記者が自分で調べたものではなく、米上院議員のダニエル・イノウエ氏の事務所が調べたそれを用いただけですから、単なる受け売りに過ぎません。ジャーナリズムとしてそれでは不充分だということを認識すべきです。ま、ずっと気付かずに放置しているよりはマシですけど。

コメント

どこかの誰かが言ったから

日本は「どこかの誰かが言ったから」と言って、エイヤーとやってしまい、やっぱ間違いだったというケースが大変多いですよね。しかもいまさら後には引けないので徐々におかしくなり崩壊する…。さらにその発言が欧米人や権威ある人だとなおさら信じてしまう。欧米コンプレックスが未だにあり、自虐史観があるのでしょう。

>多くの日本のメディアはこうした極めて初歩的なこともすっ飛ばし

温暖化情報にしろここまで繰り返すとわざとやっているとしか思えませんね。日本産業を破壊したい連中が国内やお隣の国にぞろぞろいるのでしょう。

またこちらの米国在住の方が新聞記事を引用し、フォードは慢性的に不具合を出していたことが分かります。

「トヨタリコール問題 アメリカの国策的日本いじめ」
ttp://ryuzaburo.seesaa.net/article/142397731.html

また冷静な分析をするアメリカ人もいます。
ttp://eigonihongonews.blog110.fc2.com/blog-entry-237.html

アメリカ人のみんながみんなこんな知的レベルが高く冷静な分析が出来ない人々が腐るほどいるのでメディアの力はまだまだあると思います。

excelsiorさん>

>欧米コンプレックスが未だにあり、自虐史観がある

これは今回の件でも強く感じられましたね。日本は政府もメディアも早い段階から本文で取り上げたような状況を認識し、アメリカのメディアによる偏向報道やそれに引きずられた世論に歯止めをかけるよう声を上げるべきでしたが、全般的に流されるがままといった状態でした。トヨタにしてみれば公聴会の前に公平を期するよう書簡を送ったケンタッキー州などの知事たちのほうがよほど頼りになったでしょう。


>日本産業を破壊したい連中が国内やお隣の国にぞろぞろいるのでしょう。

韓国では日本以上に祭り状態だったそうで、そういう部分でも反日教育の効果が現われているのだと感じました。が、中央日報の社説(http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=125991&servcode=100§code=110)を見ますと、日本の五大紙よりずっと状況に流されていないマトモな論評ができていたように感じます。ま、中央日報は親日的なサムスングループだから特別なのでしょうけど。

中国に至ってはメタミドホス入り餃子について解決させる気もなさそうですし、メラミン入りミルクに至っては先月にもまた同じことが発覚しましたし、決して人のことを批判できるような立場ではないのですが、あのような態度です。中国人の厚顔には腹立たしいのを通り越して笑ってしまいました。

  • 2010/03/16(火) 00:07:17 |
  • URL |
  • 石墨 #PxDbU/1w
  • [ 編集]

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