酒と蘊蓄の日々

The Days of Wine and Knowledges

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鋭い楔

私は通勤に都営地下鉄を使うのですが、JRの「キオスク」に相当する駅売店「メルシー」の雑誌棚に『拠りどころを失った温暖化対策法案』という非常に気になる見出しを掲げている雑誌がありました。これは『WEDGE』というタイトルの月刊総合情報誌で、どうも一般の書店にはあまり並ばないらしく、駅売店などを中心とした販路になっているようです。そのせいか、私もこれまでその存在を知りませんでした。

WEDGE_2010年4月号

気になったので手に取ってみると、横浜国大の伊藤教授やアラスカ大学の赤祖父名誉教授といった人為的温暖化論やその脅威論などに対抗する論客によって書かれた記事でした。ということで買い求めることにしました。(さすがに駅売店で立ち読みはできませんし。)

伊藤氏の記事は『IPCC崩壊 それでも25%削減掲げ続けるのか』というタイトルで、例の「クライメート・ゲート事件」の後に話題となったヒマラヤの氷河消失に科学的根拠がなかった問題(以下、「グレーシャー・ゲート事件」と表記します)、これまで日本の主要なメディアがことごとくお茶を濁してきたこの不始末についてその経緯を伝えるほか、他にもIPCCの評価報告書が恣意的であったこれまでの流れについて要点を纏めています。

中でも興味深かったのが、グレーシャー・ゲート事件で明らかになったIPCCのレビュープロセスが全く機能していないという批判です。核心的な部分を引用してみます。

 WGⅠの報告書を担当した氷河の専門家G・ケイザーが語ったところによれば、彼は査読が終わったヒマラヤ氷河の原稿を見て、「専門家なら誰でも分かる馬鹿げた間違いだ」とIPCCに報告したが、彼の助言は容れられなかった。つまり、問題の箇所は専門家が書いたのでもないし、専門家が目を通してもいなかったのだ。しかも統括執筆責任者のラルは後日、「間違いに気付いていたが、その方がインパクトが強くなると思った」と語っている。

 ちなみに、当該章の査読編集者は西岡秀三氏(元国立環境研究所参与)である。西岡氏はWEDGE編集部の取材に対し、書面で「必要な指導を担当著者に行ったが、十分に反映されず遺憾」と回答したと聞くが、それで済むのだろうか。

※「WGⅠ」というのは、IPCCの報告書の中で自然科学分野を扱う「第1作業部会」のことです。

これを読んだ限り、氷河の専門家も日本の査読編集者も間違いに気付いて指摘したのに無視され、統括執筆責任者も間違いと解っていながら「インパクトが強くなる」という理由でスルーさせてしまったということになります。

こんなインチキが「科学」を標榜することは許されません。「インパクトが強くなる」などという意志がまかり通るような報告書を信頼するのは、よほどの思考停止状態か、インチキだと解っていながらそれを利用しようとしているか、どちらかになるでしょう。こんな出鱈目な報告書を金科玉条のごとく崇め奉るなど言語道断です。

また、同レポートの『作られた温暖化人為説』という中見出しの後には以下のように書かれています。

 このようにして、IPCCの中立性と権威は失われた。しかし、急に失われたのではない。第3次報告書の時点で既に危うかった。この報告書の目玉は、20世紀後半の気温上昇が異常であることを示した「ホッケースティック(HS)曲線」(下図B)だった。これは、事実上捏造に近かった。



IPCC崩壊それでも25%削減掲げ続けるのか-付図
IPCCの評価報告書に採用された古気候曲線と最近の知見
上からIPCCの第一次評価報告書に採用された古気候のグラフ、
「ホッケースティック」と俗称され、問題となった第三次評価報告書のグラフ、
最新の第四次評価報告書(フルレポート)に掲載されたものに準じたグラフ、
一番下は海底から採取されたコアから過去の海表面気温を推定した最近の研究で、
昨年8月に有力科学誌『Nature』に掲載されたものだそうです。


伊藤氏のレポートで「最近の知見」として紹介されたグラフは中世の温暖期が現在よりも高温で、小氷期の気温低下もかなり顕著に現れています。また、数十年単位の変動はともかく、全体的にはIPCCの第一次評価報告書に採用されたグラフと似たような動きを示しているのも皮肉な感じです。

もちろん、この「最新の知見」として紹介されているそれも真実を正確に反映しているか否かは解りません。が、こうした研究結果は世間一般に知られることなく、IPCCが編纂し、偏向したそれしか通用しないというのは科学的な知見を政治的に歪めていることになるでしょう。

一方、赤祖父氏も『CO2起因論はなぜ正説らしくなったのか』というレポートを寄せており、コンピュータモデルに依存しきった根拠の弱さを指摘しています。赤祖父氏の専門分野である北極圏の気温変動についてIPCCが採用したモデルの計算結果と実際の観測結果を突き合わせた資料も実に興味深いものがあります。

クライメート・ゲート事件以降、ここで指摘されているような出鱈目が次々に暴かれ、Newsweek誌においても「満身創痍」と評されているIPCCの評価報告書について、日本の主要なメディアもこうしたレベルで真摯に向き合うべきでした。夕刊でコッソリ扱うとか、社会面で欧米メディアの報道を掻い摘んで他人事のように伝えるなど、あまり深入りしたくない様子があからさまに感じられました。

スポンサーの商売を邪魔したくないのか、政府の方針に逆らってお叱りを受けたくないのか、メディア同士が阿吽の呼吸で空気をつくり、それに乗っているのか、その全てか、私にはどのような力が働いているのか想像に委ねるしかありません。が、ここまで偏った情報が幅を利かせているのは非常に不健全な状態であると思います。

驚くべきことに、件の『WEDGE』も東京電力や関西電力など、例によってCO2削減にかかるイメージ先行の似非エコチックな広告が複数掲載されています。こうした記事を載せることによってスポンサーとの軋轢が生じないものなのか心配されますが、余計なお世話かも知れません。

ま、ここで記事の全容をご紹介するわけにもいきませんが、伊藤氏のレポートはネットでも読むことができます。もっとも、たかだか400円の雑誌です。件の特集は両氏合わせて7ページではありますが、興味のある方は購入された上で赤祖父氏のレポートも併せて全文に目を通されることをお奨めします。他の特集記事『補助金どっぷり 農業ぽっくり』『トヨタ包囲網をこれから絞る米国の深謀』もなかなか読み応えがありますし。

この特集ですっかり同誌が気に入ってしまった私はバックナンバーについてもネットで読める記事を何本か読みましたが、先月号の『エコでエネルギーを語るな』なども当blogで再三書き綴ってきたことと同じ方角を向いており、私は同誌の編集方針にかなり波長が合うようです。

誌名の「WEDGE」とは「楔(くさび)」のことですが、その名の通り緩みきった世の中に楔を鋭く打ち込み、それを引き締める存在であり続けて欲しいと思います。

コメント

疑似科学バスターで知られる菊池氏のブログに
「地球温暖化懐疑論批判」の著者の一人がでてきて
いろいろ書いています。この本の批判も。
http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/weblog/

  • 2010/04/07(水) 00:35:37 |
  • URL |
  • few #L9FLFt/w
  • [ 編集]

few さん>

ご紹介頂いたblogやそのリンク先を拝読しましたが、「この本の批判」など何処にも書かれていませんよね。伊藤氏や赤祖父氏が述べていることに対して「納得がいかないところ」については綴られていますが。

立場によって色々な意見があると思いますし、議論が重ねられてこそ真実に近づけると思います。そういう意味でも判で押したように盲目的な人為説支持に傾倒している殆どの大衆メディアと一線を画す『WEDGE』は貴重な存在で、同誌が批判されるいわれはないと思いますが。

  • 2010/04/07(水) 01:41:04 |
  • URL |
  • 石墨 #PxDbU/1w
  • [ 編集]

WEDGEはもともとJR新幹線の車内フリーペパーだったと記憶しています。辛口でなんでも書けるんですよ、JRの悪口以外は(笑)。うらやましいですよね。

  • 2010/04/08(木) 00:17:25 |
  • URL |
  • いがぴ #-
  • [ 編集]

雑誌の紹介、ありがとうございます。

石墨さん

 読者に真実を伝えようとする良識ある雑誌のご紹介、ありがとうございました。

 情報へき地の田舎なので、雑誌の実物を入手できないのは残念です。単品注文や定期購読を受け付けるとのことですので、申し込もうと思います。

 それにしても、主要メディアが偏向した報道ばかり続けていると、いつの日にか、真実を知った読者や視聴者から見放されるのではないでしょうか? 彼らがスポンサーや政府の方に顔を向けているのは、それなりの理由があるのでしょうが、読者や視聴者があってこそのメディアであるという認識がまったく欠けていますね。

  • 2010/04/08(木) 20:28:33 |
  • URL |
  • 山のきのこ #js83eNAU
  • [ 編集]

株式会社ウェッジはJR東海グループに属しており、東海道新幹線ではWEDGEを車内販売しており、グリーン車では無料で持ち帰ることが出来るようになっています。

私も、出張で東海道新幹線を利用する時は手にとって読んでいます。地球温暖化がらみの記事については、私もいつか紹介しようと思っていましたが、なかなかチャンスがなく、石墨様に先を越されてしまいました(笑)。

ただし、個人的には、地球温暖化がらみの記事はかなり納得して読めるのですが、それ以外の記事になると、必ずしもそうではないことが少なくありません。まあ、全ての記事に納得できる雑誌なんてありませんけどね。

ちなみに、エコエコスポンサーの件ですが、親会社のJR東日本自身が、新幹線はCO2を出さないエコな乗り物であることを売りにしているんですよね。
http://eco.jr-central.co.jp/ecoshuccho/

それに、東電や関電にとってJR東日本は上得意先でしょうし、CO2温暖化論が叩かれても実際に困るわけでもないので、これくらいのことでは、お咎めなしなんでしょうね。

  • 2010/04/09(金) 16:45:42 |
  • URL |
  • わちゃちゃ #JOOJeKY6
  • [ 編集]

同好の士、ですね。

石墨 様
 なかなかお目が高いですね。 「Wedge]は、私も以前から愛読しています。 記事の視角が鋭いので、波長が合うと面白いですね。 でも、合わないと見当外れの記事を読まされることになります。 まあ、自分の見方と違う見解を知ることも悪くはありません。 
 それはそうと、本日、米国から、かのDr.Roy W Spencer の最新著作である”The Great Global Warming Blunder ”が到着しました。 博士の著作は、歯切れが良くて小気味が良いのですが、パラパラ読むと、最終頁が、国連IPCCには挑戦的な言辞で閉じられています。 博士は、”I am hoping that the scientific debate will finaly begin.”と書かれているんですね。 
 国連IPCCが、科学者は全てを究明し、政治家に後を託したなどと、大それた大見えを切ったのとは正反対です。 気候変動のメカニズムは、不明なことが多い領域なのにです。 まず最初に、温暖化しているのかどうかです。 この入口でさえ、科学的な議論に決着がついていない現在にあって、IPCCのもの言いには、大きなバイアスが存在するものと思います。

いがぴさん>

>辛口でなんでも書けるんですよ、JRの悪口以外は(笑)。

わちゃちゃさんもご指摘のように、JR東海は「新幹線でECO出張」という広告で航空機に比べてCO2排出量が約1/10とか、インフラを含むLCAを無視した部分比較の独善的なPR活動もしているんですよね。これは当blogでも話題にしたことがあります。
http://ishizumi01.blog28.fc2.com/blog-entry-25.html

そうした部分と摩擦が生じないか心配されますが、そこまでシビアに見られていないのかも知れませんね。




山のきのこさん>

赤祖父氏のレポートは2頁しかありませんので、それを読むために定期購読となると些か負担が大きいかも知れません。送料がかかってしまいますが、ネットから単品購入もできるようです。
https://secure.wedge.co.jp/order/teiki_form.php

ただ、他の記事もなかなか鋭い切り口で、波に呑まれがちなメジャー誌とは一線を画す編集方針だと思います。そうした点を納得されるのであれば年間購読料4,800円は決して高くはないと思います。

私は『Newsweek(日本版)』を定期購読していまして、こちらは店頭価格の毎号400円より100円も安くなるというメリットがあります。週刊ですから年間で5000円も安くなるんですね。ただし、届くのは昼間ですから帰宅後に読むというパターンになってしまいます。朝の通勤時に駅売店などで買うより半日くらい遅くなるというデメリットもあるわけです。

『WEDGE』は定期購読でも送料無料というだけで本体の価格は安くなりませんから、私はしばらく発売日の朝に駅売店で買うつもりです。




わちゃちゃさん>

>東海道新幹線ではWEDGEを車内販売しており、グリーン車では無料で持ち帰ることが出来るようになっています。

そうみたいですね。先週、私は大阪出張で新幹線に乗ったのですが、 グリーン車を覗いたら(私の場合、グリーン車に乗れる身分ではありませんので)シートバックのポケットにもれなく差し込まれていました。

CO2温暖化説が崩壊すれば原発推進の気運が大きく萎縮してしまいますから、その辺は電力会社にも色々問題はあるのでしょうね。でも、有限である化石燃料から新エネルギーへの移行という流れは今後も進んでいくでしょうし、長い目で見ればそれは必要なことです。

電力会社は原発推進に軸足を置かない限り、CO2温暖化説がどちらに転んでも決定的な痛手はないかも知れませんね。CO2の排出権を買い漁っている三菱商事をはじめとした商社に比べればずっとマシでしょう。太陽光や風力といった粗悪な電源から高額で強制買い取りさせられるコスト負担を回避できると喜ぶ人も電力会社の中にはいるかも知れませんし。

>全ての記事に納得できる雑誌なんてありませんけどね。

WEDGE誌のような編集方針では記事によってかなりのムラが生じてしまうのは避けられないでしょうね。万人に不満のないような記事というのは当たり障りのない内容になってしまうものですから、それでは同誌の存在意義も希薄になってしまうでしょうし。

上述のように私はNewsweek誌を購読していますが、以前ご紹介したようにアル・ゴア氏の新著を批判的に報じることもあれば、クライメート・ゲート事件についてはかなりIPCC擁護の方向で書かれていたりします。特に同誌のサイエンス担当記者が人為説支持派ですから、そういう内容になってしまうようですね。それに釘を刺すのがコラムニストの寄稿や読者の投稿といった感じでしょうか。でも、それはそれでバランスが取れていて悪くはないと思います。



とら猫イーチさん>

>自分の見方と違う見解を知ることも悪くはありません。

まさに仰る通りだと思います。特に人間の営みというのは良い面と悪い面とが混在しているケースが多く、どのポイントを重視するかで結論も大きく違ってくるものです。自分と違った意見を確認するのは、自分と同意見でも自分が知っていること以上の中身がない記事を読むよりもむしろ有益である場合も少なくないでしょう。

当たり障りのない記事が多い新聞やテレビのニュースなどでは得難い部分まで踏み込んでいることが多い同誌には、そういう意味でも高い存在価値があるように感じます。

スペンサー博士は件は今後の動向が気になりますね。また何かあったら教えて頂けると助かります。

  • 2010/04/13(火) 00:46:11 |
  • URL |
  • 石墨 #PxDbU/1w
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懐疑派のブログ

地球温暖化について目の付く情報を色々見てきましたが、懐疑派特に日本の懐疑派は語調ばかり強くてあまり説得力がないと思っていましたが、次のブログ
http://d.hatena.ne.jp/nytola/20100708
は内容が質量とも他の主張より格段(と思っているのは私だけかもしれませんが)に充実し、信頼感が高いと思いました。

確かに温暖化脅威論は曲がり角に来ているのかもしれません。

RealWave さん>

ご紹介頂いたblogの記事は近藤邦明氏のサイト『環境問題を考える』(http://env01.cool.ne.jp/index02.htm)でも紹介されていましたので、私も一通り目を通しておりました。nytola氏は以前にも『科学史上最悪のスキャンダル』というクライメートゲート事件を纏めたレポートを公開され、本件に関する日本語でのレポートが少ない中で貴重な情報を提供しておられましたね。

近藤氏に対してCO2濃度などに関するレポート
http://icecap.us/images/uploads/EE_18-2_Beck.pdf
http://www.21stcenturysciencetech.com/Articles%202007/20_1-2_CO2_Scandal.pdf
を紹介するなど、両氏は交流があるようです。

同じく、近藤氏のサイトには東大の渡辺正氏が月刊『化学』に寄せた「Climategate事件―地球温暖化説の捏造疑惑」および「続・Climategate事件―崩れゆくIPCCの温暖化神話」というレポートもPDFにて収録されていますので、ご参考まで。
http://env01.cool.ne.jp/global_warming/climategate02.pdf
http://env01.cool.ne.jp/global_warming/gate2.pdf

ちなみに、このレポートで「メールを分析した本(邦訳が進行中)」とされている本は先月15日に日本評論社から発売されています。色々忙しくて(ツール・ド・フランスも始まりましたし)まだ3割くらいしか読んでいませんが、読破したら取り上げようかと思っています。

ネット上にも探せば良質な情報は眠っていますし、良質な議論もなされていますので、是々非々で(近藤氏の著述にも語調ばかり強かったり徒に数式で表現しようとしたり、説得力が不充分なケースもありますし)適切な取捨をしていけるように心がけていれば真実に近づけるのではないかと思います。

  • 2010/07/15(木) 00:49:47 |
  • URL |
  • 石墨 #PxDbU/1w
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健全な議論

日本の研究者仲間と話すと、CO2温暖化説に懐疑的な方は決して少なくないですが、『日本ではCO2温暖化説を否定できる雰囲気ではない』という話をよく聞きます。
ただ現実問題として排出枠取引で日本は食い物にされていますし、見て見ぬ振りをするのではなく、研究者や学会はもっと声を上げるべきだと思いました。

日本のマスメディアでも、脅威論と懐疑論の両者を紹介した上で議論がなされるべきだと思います。

  • 2010/07/20(火) 00:11:52 |
  • URL |
  • nytola #z8Ev11P6
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nytolaさん>

中部大の武田氏によりますと、日経の記者もこれまで会社の方針として人為説に傾倒したキャンペーンを展開してきた関係上、異論は書きづらいというようなことを述べていたそうです。
http://takedanet.com/2010/06/post_97a1.html

ま、民間のメディアは広告収入がなければ成立しないビジネスモデルが当たり前で、そのスポンサー様の意向もありますから、流れには抗し難いのでしょう。民放を小一時間見ていてCMで「CO2削減云々」といったフレーズを聞かないことは殆どなくなったと思いますが、それくらい企業はイメージアップキャンペーンや商品付加価値としての環境性能などでこの仮説にドップリと両足を突っ込んで便乗しています。こうした状況も内向きのループを形成しているのでしょうね。

  • 2010/07/21(水) 00:20:57 |
  • URL |
  • 石墨 #PxDbU/1w
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再生可能エネルギー

懐疑派(+原発推進派)の間では、あまり評価の高くない再生可能エネルギーですが、ドイツの2050年までに再生可能エネルギーを100%にすることが可能かというスタディーレポートは、かなり現実的なものではないかと思っています。

残念がら2次情報ですが、以下のブログ記事
http://bit.ly/cMzYh4
が参考になります。

必要なことは化石燃料の有限性(環境、現実的なコストの範囲での可掘性)、原発の持つ本質的な危険性を考えれば、人類はある時点で再生可能エネルギーに100%移行することが必要です(少なくとも後1千年文明を維持するとすれば)。

その場合いかにして現実的な移行シナリオを作り、実行するかがキーです。温暖化の科学的検証も見ながら、妥当な政策が実行されることが必要ですが、日本が100年の視野で政策策定を行えるかは、残念ながら大いに疑問です。

なお、マスコミの偏向は多分10年はもちません。そのうち妥当なものに修正されていくと思います。

realwaveさん>

大変興味深いレポートをご紹介頂き、有り難うございます。仰るように、日本で見かけるものよりはずっと現実的で(民主党が妄想している根拠のない計画などはハナから論外ですが)、期限を40年後と設定している点はかなり楽観的だと思いますが、考え方そのものは参考になる点も多いと思いました。

中でもバイオマスに対する考え方は私もほぼ同意見で、これまで当blogで述べてきたことともかなりのレベルで一致していると思います。また、現実的に飛行機は内燃機関でなければ飛ばせませんから、「化学的エネルギー貯蔵物質が必要」という意見も非常に重要なポイントを指摘していると思います。スマートグリッドについても大前提としているわけではないとのことですから、地に足を付けた研究であると感じました。

私は人為的温暖化説にかなり懐疑的で、原発推進には慎重な立場ですが、再生可能エネルギーを全く評価しないわけではありません。環境面で様々な問題はあるものの、コストや品質面で最も現実的な再生可能エネルギーは貯水池水力であると考えます。一方、これまでにも散々述べてきましたように、風力や太陽光は非常に高価で極めて不安定な低品質電源ですから、これを電力インフラの主役とするのはまだまだ現実的な段階ではないと思います。

もし、全世界を繋ぐような電力網が整備され、地球規模で電力需給の最適化が可能になれば、これらの不安定電源にもある程度の期待はできるかも知れません。が、CO2の排出枠を巡って全く足並みが揃わず、京都議定書の採択から13年を経ても殆ど前進していないというのが現実です。技術的な課題以前に政治的な意見集約の段階で非常に大きな困難と戦うことになるでしょう。

また、技術的にも送電線に超電導物質を採用しない限り送電距離が長くなるほどエネルギー損失も大きくなりますから、エネルギーストレージとどちらがコスト負担やエネルギー損失の少ない方法なのか科学的な検討が欠かせないでしょう。ま、この辺はこれから本格的な研究が成されていくのでしょうから、いまの段階で素人である私がとやかく言うべきではないかも知れませんが。

このレポートの結論は期限をわずか40年後に設定しているという点に関してかなり楽観的に感じます。2050年までにCO2排出量を1990年の半分以下にするとか、石油があと40年で枯渇するとか、そうした前提条件に帳尻を合わせたのではないかという印象です(依頼主のニーズがそこにあって、この基本設定を崩せなかっただけかも知れませんが)。しかしながら、全般的な考え方のバランスは決して悪くないと感じました。

このように現実を踏まえながら再生可能エネルギーに移行していくプロセスを検討するのは非常に有意義なことです。日本では得てしてイメージばかりを先行させ、あるいは結論に合わせて都合の悪いところには触れないという一方的な考え方が幅を利かせがちです。

環境省はメーカーや推進派の人たちの宣伝文句を受け売りしているようにしか見えず、科学的な研究やその評価をマトモにやっているようにも見えませんが、このレポートはちゃんとした研究がなされた成果と見て良いでしょう。件のblog主さんは「おそらく、恐ろしいほどお金がかかっています」と書かれていますが、本当にかなりのお金をかけた研究だと思います。

私は現実的な問題を無視してメリットだけでゴリ押ししようとする意見には基本的に反対ないし慎重な立場をとりますが、再生可能エネルギーに移行していけるならばそれに越したことはないと考えています。まずは現在の日本にありがちなイメージ先行の状態、風力や太陽光を崇拝し、とりあえずバイオマスも導入しておけば良いに違いないといった短絡思考を払拭していく必要があると思います。

イメージだけで科学的な検討を充分に行わず、素人考えで見切り発車させ、無謀な賭けに負けて後の世代にそのツケを払わせるようなことは絶対に避けなければなりません。そういう意味で現在の日本の取り組み方は非常に心配になってきます。このレポートに見習うべき要素は沢山あると思いました。

>マスコミの偏向は多分10年はもちません。そのうち妥当なものに修正されていくと思います。

修正せずに都合の悪いことは触れないようにして、忘れ去るというパターンもあり得るでしょうね。

例えば、オゾンホールの問題などは25年前に締結されたウィーン条約と21年前に発効したモントリオール議定書で政治的には対策を済ませたことになっており、世間一般の認識としても既に過去の環境問題となってしまい、メディアも一切触れなくなりました。しかし、いまでも10月上旬くらいになると観測史上最大級のオゾンホールが毎年のように発生しています。

オゾンホールは極地固有(実質的には南極固有)の季節現象で、フロンガスとの関係も矛盾だらけです(関連記事「フロンはオゾン層を破壊できるのか?」http://ishizumi01.blog28.fc2.com/blog-entry-94.html)。この人為説についても異論を唱える人は沢山いますが、地球温暖化問題と同様に日本では広く大衆に知られる中でマトモに議論されることなどありませんでした。

一時はあれだけ皮膚がんが増えるだの白内障が増えるだのと脅され、現在でも状況は何一つ好転していないのですが、メディアも大衆もとっくの昔にこの問題を忘れ去ってしまいました。新たな脅威を喧伝し、そちらに大衆の注意を引きつけ、それまで騒いできた問題は次第にトーンダウンさせ、やがて有耶無耶にして忘れ去ってしまうというパターンは、因果関係の不明瞭な環境問題にありがちです。

ま、地球温暖化問題についてはCO2排出量削減という名を借りたエネルギー分配が裏テーマとなっており、多くの人を巻き込みすぎましたから、こんな風に忘れ去ることはできないかも知れません。代替フロンの特許を巡って松下電器やダイキンや米ハネウェル社などが訴訟合戦を繰り広げていたあのときとは問題の守備範囲がまるで違いますし。

とはいえ、少なくとも日本のメディアはクライメートゲート事件について深入りせずに忘れ去ろうとしていますし、日本では初めから知らない人のほうが圧倒的に多いでしょう。地球温暖化問題全般を忘れ去るのは無理でも、部分的には触れずに忘れ去るというパターンが今後も色々ありそうな気がします。

  • 2010/07/28(水) 23:39:02 |
  • URL |
  • 石墨 #PxDbU/1w
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