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何故インサイトのタクシーは存在しないのか (その1)

そもそも、インサイトのように後部座席の乗降性や居住性など二の次に考えて設計されたようなクルマをタクシーにしようとは、どのタクシー会社も考えないでしょう。が、制度上の問題もあったとは私も知りませんでした。このところ更新が遅れがちで旧聞になってしまいましたが、こんな報道がありました。

インサイトもタクシーに…埼玉知事が特区提案

 埼玉県の上田清司知事は20日、縦90センチ以上と決められたタクシーのドア基準を緩和し、独占状態にあるトヨタ「プリウス」以外にもハイブリッド車(HV)のタクシー転用を可能にする構造改革特区の提案を内閣府に行ったことを明らかにした。

 提案は3月31日付。

 道路運送車両法の保安基準では、タクシーのドア開口部は非常時に客が脱出しやすいよう縦90センチ以上と決められている。

 埼玉県内には、ホンダの工場や部品会社があるが、同社の「インサイト」は基準に1センチ足りず、タクシーとして使うことができない。

 県では、ドアの高さ規制を弾力化することで、HVタクシーの普及を後押しし、環境保護につなげることを提案理由に挙げるが、地元企業の「インサイト」普及も狙う。

 上田知事は記者会見で、「プリウスのタクシーはあるが、インサイトはない。1センチなんかどうでもいい。提案は全国に広げるため」と力説した。

 ホンダ広報部は「ホンダ車は個人ユーザーが中心なので、デザインの際にタクシーのことは特に考えなかった。提案についてはコメントできない」とする。

(C)読売新聞 2010年4月21日


三菱自動車の水島製作所でi-MiEVが生産されていることから、地元の岡山県庁はそれを8台購入しています。日産もこれまで試験的に電気自動車を発売してきましたが、本格参入を期したリーフは横須賀市にある追浜工場で生産されます。神奈川県が電気自動車の補助に力を入ているのもそれと無関係ではないでしょう。地方自治体が地元の産業を支援するのはよくあることです。

が、インサイトと埼玉県とはあまり深い関係がないハズなんですけどねぇ。「埼玉県内には、ホンダの工場や部品会社がある」と書かれていますように、埼玉県狭山市にホンダの埼玉製作所があるのは確かです。しかしながら、ここで生産されているのはレジェンドやアコード、オデッセイなどで、インサイト、シビックハイブリッド、CR-Zといったハイブリッド車が生産されているのはいずれも三重県の鈴鹿製作所です。

ホンダの本社があるのは東京都港区ですし、ホンダ本体の工場は埼玉県や三重県だけでなく栃木県にも静岡県にも熊本県にもありますし、無論、海外にもあります。ハイブリッドシステムの基幹部品であるモーターは鈴鹿製作所での内製です。

同じくハイブリッドシステムの基幹部品であるPCU(パワーコントロールユニット)はホンダ系部品メーカーのケーヒンで生産されていますが、埼玉県内にある同社の狭山工場はエアコンのキット組立がメインです。(インサイト用のPCUを生産しているのは恐らく宮城県にある角田工場だと思います。)

この業界を知っている人の間では非常に有名なハナシですが、メーカーである本田技研工業(株)は開発部門を持っていません。それを担うのは(株)本田技術研究所という別会社になるんですね。埼玉県には本田技術研究所の四輪R&Dセンター(和光)がありますが、こちらはデザイン関連部門が集約されていますから、あのプリウスそっくりの外観を最終的に纏めたのもここになるのだと思います。

が、肝心の環境性能や空力などを含む車両全般の開発や試験が行われているのは四輪R&Dセンター(栃木)になります。

インサイトの風洞実験の模様
インサイトの風洞実験の模様
ホンダの四輪車は、栃木県芳賀町にある
本田技術研究所四輪R&Dセンター(栃木)で
研究・開発が行われているそうです。


こうしてみますと「地元企業のインサイト」というにはあまりにも関係が希薄すぎるような気がします。恐らく、上田知事もこの記事を書いた記者もそこまで深く考えていないのでしょうね。

それはともかく、実際に保安基準を「構造改革特区」で緩和させることは訪問診療用の自動車を緊急自動車の指定対象として追加したなど前例もありますから、やり方次第だとは思いますが、不可能ではないかも知れません。ただ、冒頭でも述べましたように、インサイトがタクシー向きの車両か否かは実車を見れば自ずと解りそうなものです。上田知事もこのニュースを伝えたメディアも実際にインサイトの後部座席に座ったことがあるのでしょうか?

(つづく)

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  • 2010/05/21(金) 14:25:03 |
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