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毎日新聞も一歩前進?

先週、日本経済新聞の社説『温暖化問題で科学の信認を取り戻せ』(リンク切れの場合はコチラ)で例のクライメート・ゲート事件以降の騒動について取り上げられましたが、人為的温暖化説の支持者たちが主張していることを受け売りするような内容に偏っている印象でした。同紙は科学面や電子版などで見所のある記事を載せることもありますが、論説委員は人為説を盲信するところから始まっているのが残念でなりません。

毎日新聞も5月17日付の社説でこの問題を取り上げました。基本的なスタンスは日経新聞と共通するところもありますが、認識の度合いと柔軟性ではかなりマシと評すべきでしょう。

温暖化疑惑事件 科学者はもっと発信を


 温暖化をめぐる疑惑が昨年11月から世界をゆさぶっている。これまで、日本ではあまり関心が高まらず、科学者の反応も鈍かった。

 4月末には日本学術会議がこの問題を取り上げる公開討論会を開いたが、参加者が自説を述べるにとどまった。データ操作は否定されているが、放置すれば温暖化対策への不信感にもつながりかねない。今後、科学者集団として、検証や対策を発信していくことが重要ではないか。

(中略)

 一連の疑惑やミスは、「人間活動による地球の温暖化」という基本的な考えを揺るがすわけではない。科学者にとっては、ささいなことだという見方もあるだろう。しかし、「結論は変わらないのだから」と静観するのは誤りだろう。

 科学者の判断の背景には、専門的な知識やデータがある。一般市民にはその土台がない。特に、地球科学や気候科学は不確実性を内包する科学である。「問題ない」というだけでは納得できない人がいて当然だ。科学者は、その不確かさまで含めて説明し、信頼を得る必要がある。

 地球科学は純粋な科学の営みを超え、国際政治の場に持ち込まれている。科学者集団には、そのことを念頭に置いた上で行動する知恵も覚悟も求められている。

(C)毎日新聞 2010年5月17日


やはり“一連の疑惑やミスは、「人間活動による地球の温暖化」という基本的な考えを揺るがすわけではない”として人為説を支持する立場は変わりませんが、“しかし、「結論は変わらないのだから」と静観するのは誤りだろう”と述べたり“地球科学や気候科学は不確実性を内包する科学である”と認めている部分には進歩の様子が窺えます。

日経新聞も“政府や科学者は、温暖化の科学的事実について国民の疑問に答え、改めて説明していく必要がある”としていますが、冒頭に“「二酸化炭素(CO2)などが温暖化の主因」という基本的な認識を否定する議論を招いていることは憂慮される”などと述べていることからも説明する必要があるのは「疑問を差し挟む不埒な輩の口をつぐませるため」というニュアンスが感じられます。

一方、毎日新聞はIPCCの杜撰なレビュープロセスや閉鎖的なこの分野の現状を問題視し、改善を求めるところまで踏み込んでいる点でもマトモなリアクションといえます。ま、一連の騒動でIPCCが編纂した評価報告書には全く以て出鱈目としかいいようがない箇所がいくつも指摘されているのですから、本来であればこのようなリアクションがあって当たり前なんですけどね。

しかし、これまでの日本のメディアはバイアスをかけまくり、こうした当たり前のリアクションすらできませんでした。第3次評価報告書のときも従来の古気候学の常識に反する「ホッケースティック曲線」が問題になり、欧米ではそれなりの論争を巻き起こしたというハナシは以前にもご紹介したとおりですが、日本のメディアはそれをほぼ完全にスルーしました。そうした過去を振り返れば、毎日新聞のように足元を見直そうとする姿勢は一歩前進したと見なしてあげても良いでしょう。

人為説を支持する人たちはこれまで何度となく「地球温暖化について科学的な是非を問う議論の時は終わった。これからは如何にして対策を実行に移すかだ。」といった主張を繰り返してきました。しかし、本当の議論はこれから始まると考えるべきです。毎日新聞のこの社説でも“4月末には日本学術会議がこの問題を取り上げる公開討論会を開いたが、参加者が自説を述べるにとどまった”とあるように、まだ本格的な議論は始まっていません。

「気候の変動」と「人類の営み」とを結びつける根拠はシミュレーションという計算の上にしか存在しません。人類が地球の気候メカニズムを知り尽くし、それをほぼ完璧に再現できるコンピュータモデルを創り上げているというのなら、そうした計算の信頼性も認めるべきでしょう。が、現実にはそんなレベルに到底及んでいません。

この問題は地球の気候メカニズムについて充分な知見を得ているとはいえない人類がコンピュータの中に創り上げた「バーチャルな地球」を用いて確認しただけであって、殆ど机上論というべき脆弱な根拠しか持たない仮説に過ぎません。そうして導かれた結論が多くの人に信じられているというのは、結論に至るまでのプロセスを知らない人が圧倒しているという背景もあるでしょう。

かく言う私も地球温暖化問題について積極的に知ろうとする以前はこうした実態など全く知らず、人為説を正しいものだと思い込んでいました。同様に、殆どの人はこうした実態を知らないまま人為説に偏った状況に流されているのでしょう。メディア自身も多くはその程度の認識で報道を繰り返し、一方的な情報の流布に荷担してきたという状況なのでしょう。

まずはこうした状況を打破しなければなりません。そういう意味でも“「結論は変わらないのだから」と静観するのは誤り”とした毎日新聞には少しだけ期待できるかも知れません。

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まとめ

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