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80点主義なんてクソ食らえ!なカメラ (その2)

人によって扱いやすいレンズの焦点距離は様々でしょう。私の場合、35mm判では「標準レンズ」といわれる50mmも好きな焦点距離の一つですが、どれか一つと限定されたら35mmを選ぶでしょう。

風景や路上スナップなどが多い私にとって、50mmは少し長いと感じるシーンが時々あります。28mmくらいになると被写体が近いときの遠近感が広角レンズらしく誇張された感じになり、そうした効果を引き出したいときはともかく、自然に纏めたいときにはやや扱いづらく感じることもあります。

35mmは「準広角」などとともいわれるように、広角レンズらしさが明確になってくる28mmほどではなく、画角の広さと遠近感のバランスも中庸といった感じです。それが「どっちつかずで好きじゃない」という人もいるようですが、私の場合は比較的自然な遠近感と、50mmより少し広い画角は、私のスタイル(というほど洗練されているわけでもありませんが)に合っているようで、扱いやすいと感じます。

それは私がまだ自分のカメラを持っていなかった高校時代、父から借りたミノルタXEやX700といった一眼レフが35mmから始まるズームレンズを付けていたことや、私のカメラ遍歴では初期に入手したコンタックスT2が38mmだったこと、路上スナップ用として愛用してきたコニカHEXARが35mmだったり、中判のマミヤ645PROに55mm(35mm判では35mm相当)から始まるズームレンズを付けていたり、これらに慣れ親しんだことも大いに関係していると思います。

以前にも書きましたが、私は長年気になる存在だったオリンパスOMシリーズを入手し、調子づいて個体数の少ない40mmのパンケーキレンズにも手を出してしまいました。私はこれで40mmという焦点距離を初体験しました(ズームでそれと意識せずに使っていたことはあると思います)が、どちらかといえば50mmより35mmに近いと感じました。

35mm判において、焦点距離50mmのレンズは水平画角が40度、対角線画角が47度くらいになります。35mmレンズは各々54度、63度くらいといったところでしょうか。ズイコー40mm/F2の公称画角が幾つになるのか解りませんが、計算上は各々48度、57度くらいになります。対角線画角でいえば、50mmより10度広く、35mmより6度狭いということになりますから、数字的に見ても35mmに近いといえるでしょう。コンタックスT2の38mmとは画角の違いもごく僅かですから、実用上の差はあまり認識できないレベルになります。

この焦点距離40mmというレンズが思ったより私には使いやすく感じられたというのが最後に背中を押し、半年ほど前にシグマDP2を購入してしまいました。

SIGMA_DP2.jpg
SIGMA DP2

このDPシリーズは欠点も沢山ありますから、評価は真っ二つに分かれていると思います。ネット上でもボロクソにけなす人と擁護する人とが泥仕合といいますか、宗教戦争といいますか、異なるイデオロギーの対立状態に結論を求めるなど無駄なことなのですが、しばしば論争の的になっているようです。

それこそ「80点主義」とは対極にあるようなカメラですが、そのシグマDP2の購入を決めた決定打は、一眼レフ並みに大きなイメージセンサを搭載し、画質に拘った単焦点レンズが私にとって使いやすい画角であるというところにありました。

シリーズ第一弾であるDP1もかなり本気で欲しかったのですが(その辺は以前にも少し触れましたが)、食指が動ききらなかった最大の理由が28mm相当の焦点距離とF4というズームレンズにもありがちな明るくないレンズにありました。

DP2が出たときも41mm相当という焦点距離は中途半端な印象でしたが、上述のようにOMシリーズのズイコー40mmで私の中でのイメージは大きく変わり、それが最後の一押しになりました。

ズイコー40mmというパンケーキレンズはその希少性の高さも手伝って欲しいと思ったわけですが、実際にそれを手にしてみて気に入ったからこそDP2の購入を決心するところに繋がったわけです。逆に辿れば、ズイコー40mmがどこにでも転がっている普通のレンズでそれほど興味をそそられなかったら、私はDP2を買うところまで至っていなかったかも知れません。

シグマDP2は41mm相当で解放F値は2.8になります。画面のアスペクト比もコンパクトデジカメにありがちな4:3ではなく、3:2です。なので、コンタックスT2と同じ明るさのレンズの焦点距離が3mm相当長くなっただけという似たようなスペックで、実用上においてその差異は殆ど感じられないレベルです。

ま、所詮はAPS-Cサイズです(といっても、ニコンの23.6×15.8mmやキャノンの22.3×14.9mmよりさらに小さい20.7×13.8mmです)から、フルサイズに比べるとやはり被写界深度が深く、そうした部分も含めると全く同じ感覚とはいえませんが。

シグマのDPシリーズは発売前からその筋では話題になっていました。コンパクトデジカメのスタンダードは「爪先センサ」などと揶揄される小さな小さなイメージセンサで、それはキヤノンのPowerShot GシリーズやリコーのGRシリーズなど高級路線でも変わりません。コンパクトデジカメにも一眼レフと同等のAPSサイズが欲しいという潜在的なニーズはそれなりにあったと思います。

そんな中、レンズメーカーとしてのイメージが強いシグマ(といっても、銀塩時代から一眼レフを手掛けてきた立派なカメラメーカーですが)から、どの大手メーカーもやろうとしなかったAPSサイズの大きなイメージセンサを搭載したコンパクトデジカメがリリースされたのですから、それは話題にもなるでしょう。

しかしながら、世間一般にはあまり話題にならなかったと思います。それは価格と全般的なコストの割り振りが普通の大手メーカーの考え方と大きく異なっていること、メーカーの知名度そのものが低いことなどが主な理由でしょう。特にシリーズ第一弾となったDP1の発売当初は店頭価格が10万円前後でしたが、作りのほうは決して高級ではなく、普通の人にはあまり解りやすくない商品だったと思います。

前回も触れました銀塩時代の高級コンパクトカメラは価格帯こそ初期のDP1と同程度でしたが、ボディにチタンやマグネシウムなどの特別な素材を奢ったり、デザインも凝っていたり、カメラとしての基本性能以外の部分でも高級感を漂わせる演出に抜かりがなく、価格に見合った品質の高さを体現していました。

一方、DPシリーズはAPSサイズの大きなイメージセンサ、非球面レンズを奢った画質重視の単焦点レンズなど、デジタルカメラとして最も重要な部分にはコストが裂かれたものの、それ以外のところは普及モデルとも大差ない安っぽい作りです(詳しくは「その4」で)。コンパクトカメラしか知らない人にはシグマというメーカーもあまり認知されていないでしょうし、シグマをよく知っている人にとっても決してブランドバリューが高いメーカーではありません。

要するに、見た目や手に取ったときの質感、全般的なイメージなど、いずれも価格のバランスが一般的な消費者の感覚とは一致しにくいポジションにあったわけですね。さらにいえば、これまで「画質=画素数」と短絡的に喧伝されてきたセールストークに感化されている人たちにとって、有効画素数が470万足らずのこのカメラは何が良いのか非常に理解し難いでしょう。

また、一般的なデジカメに採用されているものと全く異なる構造のイメージセンサは功罪相半ばする非常にクセの強いものです。全般的なキャラクターからして、普通の大手メーカーでは商品化できないようなカメラではないかと思いますが、逆にいえばシグマのようなメーカーだからこそ、こうした野心的なカメラを発売できたのでしょう。

(つづく)

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