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クライメートゲート事件を具体的に明かす貴重な和書 (その1)

クライメートゲート事件が日本の主要メディアで詳しく報じられることはありませんでした。大手新聞各紙も極めて小さな扱いでお茶を濁し、私の見てきた範囲でこの事件を報じたテレビの報道番組は皆無で、週刊誌などごく一部のメディアを除いてはぼぼ黙殺してしまったといっても過言ではないでしょう。5大紙では読売新聞が社説で触れたりしましたが、それも単発的なものでしたから、広くこの事件を知らしめるには扱いが極端に小さ過ぎたと言わざるを得ません。

私の周囲では知らない人のほうが少ないのですが、それは私が散々話題にしてきたからに他なりません。実際、私以外からはこの事件について聞いたことがないというのが皆に共通する反応で、恐らく日本人の大半はこうした事件があったことを全く知ることなく終わってしまったのでしょう。

しかしながら、欧米では大変なスキャンダルということで、この事件に関する報道がかなりの頻度で繰り返されていました。その影響は世論調査の結果にも現れてきたような気がします。震源となったイギリスでは特に顕著で、地球温暖化の原因が人為的な温室効果ガスの排出によると考える人は事件が起こる前の調査で41%でしたが、現在は26%まで減少しており、完全に少数派となってしまいました。

従前からウォールストリートジャーナル紙やFOXテレビのように保守系メディアが人為的温暖化説に懐疑的な論評を重ねてきたアメリカもそうした傾向は強く、ビュー・リサーチセンターが21の政策課題の優先順位を問うた世論調査を行ったところ、地球温暖化対策は最下位にランクされたといいます。また、ギャラップ社による世論調査でも温暖化が重大な懸念と回答した人は昨年の33%から今年は28%に減っています。

世界屈指の環境政策重視で知られるドイツでも温暖化を脅威と感じている国民は2006年の62%から今年3月には42%へ減少し、過半数を割り込みました。先々週発売されたNewsweek(日本版)では『世界に広がるエコ疲れ』というベルリン支局の記事が載りました。“「環境に優しい政治」は無駄だらけの金食い虫 ─ 効果もプロセスも不透明な温暖化政策に、各国の政府や世論が背を向け始めた”という副見出しを掲げ、各国の情勢と共にドイツでもその熱が急速に冷めてきた模様を伝えています。

一方、日本の世論調査はまず例外なく「地球温暖化は人為的なもの」という前提で質問事項が策定されており、私が調べた範囲ではイギリスのように人為説を信じるか否かを問うものには全く行き当たりませんでした。最近の調査では温暖化によってどんな悪影響があるかといった知識レベルを確認するものだったり、どんな対策を実践しているかといった意識レベルを問うものが多く、温暖化を脅威に感じるか否かといった問いさえ見つけるのが困難になっている印象です。

今年に入ってから発表された調査で温暖化に対する不安を問うたものは愛知県の県政モニターアンケートくらいしか見つけられませんでしたが、それによりますと、96.3%が温暖化を「不安に思う」と回答しており、「心配していない」と回答した人は僅か2.3%に過ぎませんでした。この一方的な結果は、つまり一方的な情報しか扱われないプロパガンダの成果というほかないでしょう。

欧米諸国と日本で天と地ほどあるこの温度差は、即ち日本の絶望的な情報鎖国ぶりを示し、日本の主要メディアは北朝鮮や中国並みのバイアスをかけているということを明らかにするものです。が、これまでも書店へ行けば環境問題関係の棚には人為的温暖化説に懐疑的な本が何冊も置かれており、新聞やテレビなどとは比較にならない健全さが維持されていました。

そこへクライメートゲート事件について詳細に書かれた『CLIMATEGATE: THE CRUTAPE LETTERS』が和訳された『地球温暖化スキャンダル ― 2009年秋クライメートゲート事件の激震』が6月14日から並びました。こうした健全さが確保されるのは先進国なら当然であるべきですが、日本の殆どのメディアにはそれができませんでした。もはや私の彼らに対する残念と思う気持ちは枯れ、この情報鎖国にあってこうした書籍が発売されたことを喜ばしく感じるしかありません。

地球温暖化スキャンダル
和訳は東京大学生産技術研究所の渡辺正教授によります。
同氏はこれまでにも人為的温暖化説に懐疑的な立場を貫いており、
関係する主な著書には『地球温暖化論のウソとワナ
これからの環境論―つくられた危機を超えて』などがあります。
また、月刊『化学』にも本件に関するレポート(以下のリンク先はPDFです)
Climategate事件―地球温暖化説の捏造疑惑
続・Climategate事件―崩れゆくIPCCの温暖化神話
を寄稿されています。


このクライメートゲート事件を巡っては、これまで虐げられてきた懐疑派の人たち、殊に情報開示を拒まれたり、人為説の反証となる論文の発表を妨害された人たちなどが様々な角度から検証を行ってきました。流出したメールやファイルの類は3000を超える膨大なもので、中にはデータの加工に用いられたと思しきプログラムスクリプトの類も含まれています。

本書は事件発覚から1ヶ月くらいで書き上げられたもので、今年に入ってからの動きは反映されていませんし(日本語版の発行に寄せた著者のコメントや訳者のコメントでは今年に入ってからの動きも少し触れられていますが)、事件の全貌を満遍なく網羅できているわけでもありません。

また、人為的温暖化説の反証を行うものでもありません。原著を記したスティーブン・モシャーとトマス・フラーの両氏は「懐疑派」ではなく、「どっちつかず派」を標榜しています。それゆえ、当blogで述べてきた私の見解と大きく食い違う部分も少なからずあります。が、それは本書の主旨に直接関わる部分でもないため、私はさほど気にならずに読めました。

本書で最も重点が置かれているのは、この事件で流出したメールから真相を読み解くことです。そのため、イーストアングリア大学のフィル・ジョーンズ氏や、いわゆる「ホッケースティック曲線」の作者であるマイケル・マン氏ら事件の中心人物たちの間でやり取りされたメールについて非常に詳しく検討されており、時系列を追って丁寧に纏められています。

事件発覚から僅か1ヶ月程で書き上げられたとはいえ、著者らはそれまでの経緯にかなり精通しています。流出したメールは、彼らに新たな事実を伝えたというより、これまでの流れを裏付ける物証という意味のほうが大きいといえるかも知れません。

(つづく)

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