酒と蘊蓄の日々

The Days of Wine and Knowledges

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橋田さん、考証がちょっと甘かったね。

TBSが開局60周年の記念番組として5夜連続で『99年の愛 ~JAPANESE AMERICANS~』というドラマを放送していますね。私はさほど興味がなかったので1話目はザッピングしながら適当に流し、イモトアヤコさんの芝居で「やっぱりコントくらいしか経験がないとこんなものか」と思いつつ「でも、泉ピン子に役を引き継ぐには顔のつくりからするとまぁまぁのキャスティングかな?」などと納得し、適当なところで切り上げ、溜まっているCSのドキュメンタリー番組のビデオを見ることにしました。

昨日もザッピングしていると一つの山場となりそうな太平洋戦争突入間近というところに当たりました。「さすがに真珠湾の戦闘シーンはないだろうな」と思いつつ、しばらく見てしまいました。というのも、不謹慎なのは承知していますが、私は戦闘機による空中戦に少し興味があり(殊に誘導ミサイルなどない時代の空中戦は機銃の射線に敵機を捕捉する必要から空戦機動の重要度がより高く、操縦技術という点で非常に興味深くなってくるからです)、ついついそうしたシーンを期待してしまうんですね。

案の定、そういう主題のドラマではないので、私が期待したような戦闘シーンは当然のようにありませんでした。もっとも、真珠湾攻撃で迎撃に上がれた米軍戦闘機の数はあまり多くなく、それもカーチスP-36やP-40といったさほど性能の良くない機体でした。しかも、実戦経験がなかった米軍パイロットに対して日本は1937年から4年半近く中国と戦争をやっていて、非常に経験豊富なパイロットがあのゼロ戦を飛ばしていました。実際、このときは殆ど勝負にならなかったそうで、あまり見所もなかったでしょう。

それはともかく、この2話目で草剛さんが演じる日系2世の平松一郎という大学生が、日本がアメリカに攻撃を仕掛けたと学校で噂になっているというようなセリフを言いながら駆け戻ってくるシーンがありました。それを見た私は「橋田さん(脚本を担当した橋田壽賀子さん)、やっちゃったね」と思いましたね。

真珠湾攻撃の第一波は1941年12月、日本時間では8日の午前3時くらい、現地時間では7日の午前8時くらいでした。彼らがいたシアトルはハワイと3時間の時差がありますから、午前11時くらいだったでしょう。なので、真珠湾が攻撃されたことが彼らに伝わる時間的な設定に特段の無理はなかったと思います。が、問題なのは曜日です。

本作では真珠湾攻撃の日を「1941年12月7日」と現地時間で表示したところまでは良かったと思いますが、曜日まで気が回らなかったのはやっぱり考証が足りなかったと言わざるを得ないでしょう。私も太平洋戦争についてそれほど詳しいとは思っていません(クルマやカメラや自転車などの知識に比べたら全然でしょう)が、真珠湾攻撃を綴った本やドキュメンタリー番組などは幾つか見ており、1941年12月7日が日曜日だったことくらいは当然のように知っていました。

あのシーンは別に学校から駆け戻ってくるといった展開でなくてもストーリーに支障などなかったでしょう。教会に行っていたとか、あるいは街まで買い物に行っていたとか、そういうシチュエーションでも全く問題なかったと思います。

気にならない人にとっては重箱の隅をつつくようなハナシかも知れません。が、真珠湾攻撃はあえて現地時間で日曜日の朝、休日で気が緩んでいたであろうタイミングを狙ったのです。こうした戦術上のポイントは、この戦いについて少し囓っただけでも知らないわけがありません。逆に、この程度のことも知らないということは、真珠湾攻撃について殆ど何も知らないということになると思います。

もう少し詳しくなってくると、何故「夜討ち」ではなく「朝駈け」になったのか、それもまだ人々が寝静まっているような早朝ではなく、午前8時頃になったのかも見当が付くようになるでしょう。いずれにしても、あれだけカネをかけて制作しているドラマですから、関係するスタッフなどの数も少なくなかったでしょう。どうして誰も「この日は日曜日だから学校は休みだったハズで、この筋書きは変だ」と気付かなかったんでしょうか?

さらに個人的な印象で言わせて頂くと、彼の2人の妹が日本に帰され、引き取り先が沖縄と広島に分かれてしまったという展開にも引いてしまいましたね。これはどう考えても凄惨を極めた沖縄戦や原爆投下にストーリーを絡めようとしているとしか思えません。「橋田さん、それはちょっとあざとすぎるのでは?」と思ってしまいましたね。(現段階では本当にそうした展開になるか解りませんが、たぶん間違いないでしょう。)

戦争によって人生が翻弄される人物を描いた作品はステレオタイプになりがちで、殊に太平洋戦争を時代背景として日本で制作された作品には焼き直しも多いように感じます。近年はCGやデジタル合成などを駆使して映像そのものは凝っていても、肝心の中身は旧態依然の歴史認識のまま進歩がなかったりします。そうした中で本作のように在米邦人を取り上げたのは比較的珍しいケースになると思います。

が、この戦争について日頃から興味を持って勉強してきた人が数多あるエピソードの中でも選りすぐりのそれを下敷きにして丹念に作り込んだという雰囲気を感じることはできません。「太平洋戦争で翻弄された在米邦人のドラマを描くためにちょっと関係資料を読んで纏めてみました」といった付け焼き刃的な印象が拭えません。橋田壽賀子さんといえば開戦時は大阪に住む16歳の女学生でした。それなりの体験はしていると思われるだけにちょっと残念ですね。

ま、このドラマについて途切れ途切れでしか見ていない私が言うのは適当じゃないかも知れませんし、5話完結で2話目までしか放送されていない段階で拙速かも知れませんが、かつて「ドラマのTBS」といわれたテレビ局の60周年で制作されたドラマにしては、あまり厚みを感じさせるような出来ではない気がします。(あくまでも個人的な感想です。)

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