酒と蘊蓄の日々

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BD-1とカプレオと私

2006年の5月だったと記憶していますが、私は京成本線のお花茶屋駅にほど近い、サイクルハウスしぶやを訪れました。私の家からはワイズロード上野店渋谷店のほうがずっと近いのですが、あえてここを選んだのは他にも目当てがあったからです。ま、それについては後でお話しすることにしましょう。

同店はさすが小径車専門ショップだけあって、BD-1だけでなく、ブロンプトンダホン、クワハラのGAAP、スマートコグのKOMAANTタルタルーガといったその筋の銘車で溢れていました。用品もカスタムパーツもその品揃えは小径車が中心であるのはいうまでもありません。

もっとも、地元の人たちにとっては普通の自転車屋さんと同じ感覚で受け容れられているようで、普通の自転車用品類も扱っていますし、いわゆるママチャリのパンク修理など、普通の自転車屋さんと同じ仕事もしているようです。お高くとまった感じがないといいますか、敷居が低いといいますか、専門ショップにありがちな鼻につくような印象は一切なく、非常に好感が持てる雰囲気ですね。ま、小径車は私のようなマニアでなくても買いますから、当たり前のことかも知れませんけど。

で、お目当てのモノコックフレームの新型BD-1ですが、もちろん試乗車が用意されているのは確認済みでした。

でも、まずは従来型のパイプフレームに試乗させてもらいました。何年か前に試乗したきりでしたから、BD-1の乗り味を身体が鮮明に覚えていない状態で新型に乗っても、どこがどう良くなったのか解らないだろうと思ったからです。

しかる後に新型のモノコックフレームに試乗させてもらいました。やはり従来型より剛性感が増したのはよく解りました。が、普通の道で普通に何百mか走った程度では劇的に良くなったと感激する程ではありませんでした。私の感覚では新旧2台並べて乗り比べてみて、「ああ、やっぱり新型のほうが良いね」といった印象にとどまるものでした。いきなり乗って「これは剛性が高くなった!」と解る人は従来のパイプフレームをじっくり乗ったことのある人たちくらいかと思います。

もう一つ興味があったのは、このBD-1にインストールされていたシマノの小径車専用コンポーネンツ「カプレオ」でした。すでに2003年のマイナーチェンジの際にこれを導入したモデルもありましたが、私が実際に試したのはこれが初めてでした。

カプレオは20インチ以下専用になっていますが、それはフリーハブにかかるトルクの問題でしょう。細かい最適設計はともかく、カプレオに採用されている特殊な構造は専用のフリーハブとスプロケットくらいです。あとはシマノの9S互換コンポーネンツですから、特に珍しいものはありません。強いていえば、Vブレーキにロードバイク用のシューを使っていることくらいでしょう。

余談になりますが、このカプレオのブレーキカートリッジはMTBのオンロードユースでロードバイク用のシューを使いたいという向きに裏技的なアイテムとして活用されているようです。これを使えばVブレーキにデュラエースのシューを組み合わせるといったことも可能になります。摩擦面の広いMTB用のシューよりロードバイク用のほうがオンロードで乗る分にはフィールが良いという人もいます。もっとも、私の感覚ではよく解りませんけど。

話を戻しましょうか。これまで小径車はチェーンリングの丁数を多くしてギヤ比を稼ぎ、一漕ぎで進む距離が短くならないようにしてきました。が、小さなホイールに巨大なチェーンリングは見た目のバランスも良くない上、折りたたんだときのコンパクトさもスポイルされてしまう要素になっていたかと思います。

カプレオはトップに9Tという、ディレイラーのプーリーより小さい丁数のスプロケットを採用しました。45T×9Tで、チェーンリングを大きくしなくても5:1という大きなギヤ比を実現しているんですね。ロードバイク用やMTB用で一般的なトップギヤ11Tであれば、このギヤ比を得るにはチェーンリングを55Tという巨大なものにしなければならないところです。

しかし、9Tという極小スプロケットを組み込むのは構造上の制約が色々あります。カプレオのフリーボディはロー側7枚分の幅しかありません。そこまでは通常のフリーボディと共通の規格になりますが、トップ側2枚が取り付けられる部分にはフリーボディがないんですね。

capreo_hab.jpg
カプレオのフリーボディ
嵌合部の作りは全く同じですが、幅はロー側7枚分しかありません。
トップ側2枚はフリーボディに直接嵌合しない構造になっています。


特にトップの9Tは直径が非常に小さいですから、これを通す軸はフリーボディよりずっと細くしなければ構造的に成立しません。

9T-11T.jpg
11Tと9Tの比較
下が一般的なMTB用トップギヤの11Tで
その上にカプレオのトップギヤ9Tを重ねてみました。


カプレオのフリーボディに乗っているトップ側3枚目(11T)のスプロケットに嵌合部を設け、2枚目のスプロケットと噛み合わせ、さらにトップも同じ要領で噛み合わせています。「親亀の背中に子亀を乗せて、子亀の背中に孫亀乗せて」といった感じでトップ側3枚のスプロケットを嵌合させているんですね。

capreo_sprocket.jpg
トップの9Tとその隣の10T
トップ側3枚のスプロケットはフリーボディに似た嵌合部が
作り込まれており、隣のスプロケットと噛み合わせることで
トルクを伝える構造になっています。


通常のものと比べますと、かなり無理な設計にも見えます。が、20インチ以下のホイールではスプロケットにかかるトルクもかなり小さいですから、強度的には問題ないのでしょう(強度的に問題のある状態でシマノが商品化するわけもないでしょうし)。20インチ以下専用を謳っているのはそのためということですね。

このカプレオというコンポーネンツに関しては、良くも悪くも「普通」といった印象でした。まず、9Tという恐ろしく小さなスプロケットは円というより9角形ですから、動きに癖があるかも知れないと想像していました。ところが、実際に乗ってみますと、呆れるくらい普通でした。

カプレオの「タップファイヤー」と称するシフターは非常に懐かしい印象でした。というのも、私が大学時代に乗っていたMTBは第一世代のラピッドファイヤーでしたが、それはカプレオのタップファイヤーと同じで、シフトアップのボタンもシフトダウンのレバーも親指で押す「プッシュ-プッシュ式」だったからです。

このカプレオのシフターもブレーキもフィーリングはディオーレ以下くらいのかなり安っぽいもので、18万円もするモノコックのBD-1には少々アンバランスな印象がぬぐえませんでした。実際、7~8万円クラスのミニベロにもカプレオは採用されていますし、単体の販売価格もディオーレやティアグラと同レベルですから、クォリティ的にもそんなところでしょう。

恐らく、私はこのBD-1カプレオの試乗だけであったら、食指を動かすには至らなかったと思います。が、試乗した店と、比較したパイプフレームのBD-1が強力に私の背中を押しました。店には20インチにカスタマイズされたBD-1があり、パイプフレームのBD-1には「スピードドライブ」と称する特殊なクランクが装備されていたからです。

もっとも、モノコックフレームの新型BD-1を試乗するためにわざわざこの店まで足を運んだのも、実はかねてからこれらも見てみたいと思っていたのが理由だったんですけど。

(つづく)

テーマ:自転車 - ジャンル:趣味・実用

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  • 2008/03/09(日) 09:55:11 |
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