私の記憶に誤りがなければ、広角側に振ったズームレンズをスリムなコンパクトデジカメに展開し始めたのはパナソニックが最初だったかと思います。広角側28mm相当からのそれを搭載してきたときはかなり物欲を煽られたものです。
が、冷静に考えると私にとっては28mmでもまだ足りないケースがあるんですね。これを買ってもケンコーの0.6倍ワイドコンバージョンレンズMS-06Wとは完全にお別れできないだろうと思っていました。また、しばらくすると他社もこれに追従するような動きが出始めたため、これはもうしばらく待っていればさらにワイドなズームレンズを搭載したものが出てくるだろうと読みました。そして、「24mm相当から始まるスリムボディのデジカメが出てきたら買いだな」と条件を絞ることにしました。
こうした条件を絞る以前、2004年の11月くらいには既にニコンCOOLPIX 8400という24〜85mm相当のズームレンズを搭載したモデルもありました。が、75mmという厚さで日常的な携行性など考慮されていませんでしたから、私の仕事用カメラとしては初めから論外でした。

Nikon COOLPIX 8400
2005年に発売されたコダックV570は23mm相当というさらにワイドなレンズ、厚さも当時の世界最薄で20.4mmしかなく、パッケージングに関してはかなり良い線を行っていたと思います。なので、正直なところかなり迷いました。

Kodak V570
でも、23mm相当のワイドは単焦点レンズで、39〜117mm相当のズームレンズと切り替えるデュアルレンズなんですね(撮像素子もそれぞれのレンズに1つずつ備わっています)。39mm相当というと殆ど標準レンズですが、それよりワイドな画角が欲しいと思ったら、いきなり23mm相当に飛ぶわけです。これはどうかと思いましたね。
また、全般的なインターフェイスが人間工学とかそういうことをあまり考えていない無造作で幾何学的な配置なんですね。特に気に入らなかったのがシャッターボタンの位置で、これは誰がどう考えてもボディの端に寄せ過ぎです。特に私の場合は手が大きいですから、安定させるためにボディを深く握ったら、右手人差し指が非常に窮屈な状態になってしまい、まるで話にならない感じです。
ズームボタンも然りで、背面の右上にある丸いボタンがそれですが、左右ではなくて上下に動くシーソーボタンなんですね。シャッターボタンとの位置関係も最悪で、このカメラをデザインした人とそれにゴーサインを出した人はカメラなんて殆ど触ったことのない、とんでもない素人だったんじゃないかと疑いたくなります。
さらに、起動させる度にストロボが自動発光モードに戻ってしまったり、マニュアル操作できる範囲が非常に狭い点も初心者のほうを向き過ぎだと感じました。
デュアルレンズという特殊な構成と、そこから醸し出されるキワモノっぽさは私の趣味ではありません。が、趣味のカメラではなくて仕事のカメラとして、当時の世界最薄なのに23mm相当という広角レンズを持つカメラはかなり突き刺さっていました。最終的には、私の手に一生馴染みそうもない劣悪なボタン配置や、初心者に振り過ぎたゆえの使いにくさが決め手となって、食指の動きを封じました。
2007年に発売されたリコーCaplio GX100は私が愛用していたフィルムカメラのリコーR1に通じる外観で非常に好印象だったのですが、位置づけとしてはGR1などから続く付加価値の高いカメラといったところでしょう。発売当初7万円くらいだった実売価格もそうですが、私にとって仕事のカメラというより趣味のカメラの範疇になってしまうところです。

Ricoh Caplio GX100
また、GX100はカタログ値でEX-Z3より約3mm厚くなってしまうのですが、実質的にはさらに数mmプラスとなるのもネックでした。というのも、この種のコンパクトカメラとしてはいまどき珍しいレンズキャップを装着する方式だからなんですね。これを装着するとレンズキャップの分だけ収納時の厚みは増してしまうわけです。
このレンズキャップを装着するリングアダプタを差し替えると別売の花形フードや19mm相当になるワイドコンバージョンレンズ、あるいは汎用のフィルターを装着できるようになります。アクセサリーシューには外付けストロボはもちろん、液晶ビューファインダーを装着することもできます。こうした部分を見ても非常に趣味性の強いキャラクターで、私の望む主旨には合いませんでした。ま、要するに仕事用としてはちょっと勿体ないといった感じです。
こうして決定打となる1台がなかなか見つからず、この数年間が過ぎていったのでした。
(つづく)