酒と蘊蓄の日々

The Days of Wine and Knowledges

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フロンはオゾン層を破壊できるのか? (その3)

「フロンがオゾン層を破壊する」という仮説で説明されているプロセスは科学的に欠陥だらけだということはこれまで述べてきた通りですが、百万歩譲ってそのプロセスが成り立つとしても、大きな疑問が残ります。それは・・・

フロンによって破壊されたオゾン層なんてものが確認されていない

ということです。「じゃあ、オゾンホールは何なんだ?」と思われましたね。あれが生じる原因をフロンで説明しようと思うと、却って多くの矛盾が生じてしまうんです。

そもそも、オゾンホールは殆ど南極にしか生じません。北極も似たようなオゾン濃度の低下現象が起こったり、小規模のオゾンホールが確認されたこともありますが、南極のそれには到底およびません。ま、どちらにしても、その原因がフロンであると考えると、理論的に苦しくなるでしょう。

まず、フロンの主要な用途は初回にご紹介したとおり、洗浄剤や発泡剤などの産業用として用いられていたもので、殊に先進国の工業地帯から大量に排出されていました。その工業地帯の大部分が北半球にあります。南極はいわば世界で最もフロンの主要排出源から遠い場所と考えても差し支えないでしょう。

もちろん、南極には半導体工場も発泡樹脂工場もありませんし、クーラーや冷蔵庫なども必要ありません。それ以前に、南極に住んでいる人間は各国の観測基地などで活動している観測隊員が殆どで、その数は極めて少数です。つまり、南極にはフロンの排出源など存在しないといっても過言ではないでしょう。

何故、フロンの主要な排出源の上空にはオゾンホールが生じず、それらから最も遠い土地である南極上空にオゾンホールは現れるのでしょうか? フロンガスは大気の4倍近くも重い気体ですから、気流に乗ってもそうそう遠くへは運ばれないハズです。

大衆メディアはオゾンホールが過去最大とか、ここ何年かで最大とか、特に大きく発達したときしかニュースにしません。なので、世間一般の認識としては「南極上空には常にオゾンホールがポッカリと空いていて、年々大きくなっている」と思われているかも知れません。が、実は南極のオゾンホールというのは(北極のオゾン濃度低下も)「季節現象」なんですね。

南極にオゾンホールが生じるのは8月中旬~11月初旬くらいにかけて2ヶ月半~3ヶ月くらいの期間限定です。8月中旬といったら、北半球は夏ですが、南半球は冬です。極地の夏は「白夜」となって日が沈まなくなりますが、冬は逆に日が昇らない「極夜」となります。

8月中旬の南極は極夜の真っ最中です。つまり、強力な紫外線どころか太陽光そのものが届かない時期なんですね。これでどうやってフロンが分解されて塩素が生じ、オゾン層が破壊されるというのでしょうか?

一方、オゾンホールが消失する11月初旬というと南極は初夏で紫外線がいよいよ強くなり、しかも白夜で太陽光が途絶えない時期に入っています。これが逆なら話は明解ですが、フロンでオゾンホールを説明しようとすると話がアベコベになってしまうんですね。

south-pole_ozone.jpg
南極上空のオゾン分布
NASAの人工衛星オーラが観測した
いまから1ヶ月ほど前のデータになります。


上図の下のほうにあるカラーサンプルは左に行くほどオゾン濃度が低い状態を示しています。このデータが観測された3月初旬の南極は晩夏あるいは秋口といったところだと思いますが、この時期にはオゾンホールなど存在しないということがよく解りますね。

ちなみに、NASAの人工衛星オーラに搭載されているOMI(オゾン観測機器)は紫外線や可視光線の放射からオゾン濃度を観測していますので、太陽光が当たらないと観測はできません。つまり、極夜で太陽光が届かない場所はオーラのOMIで観測できなくなってしまうわけですね。これは見方を変えればオーラのOMIで極夜の範囲がどこまでか解るということになります。

south-pole_polar-night.jpg
南極の極夜の範囲
2007年8月15日のデータになります。
OMIは太陽光がないと観測できませんので、
データが抜け落ちている部分(白い部分)が
太陽光の届かない範囲ということになります。
周囲が鋸刃のようになっていますが、
これは時間差がある観測データを
つなぎ合わせているために生じるものです。


ご覧のように、図に向かって南極大陸右上のほう(南米大陸に近いほう)にかなりオゾン濃度が低下している部分が覗いていますが、南極大陸のほぼ全体が極夜で太陽光の届かない範囲に入っています。南極のオゾンホールはこのように強力な紫外線どころか太陽光そのものが届かない時期に始まっているということがよく解りますね。

実は、オゾンというのは強い紫外線の作用で生じるものなんです。ですから、極夜で太陽光が届かなくなれば、当然のことながらオゾンの供給はストップします。南極も北極も冬の後半くらいからオゾンの濃度が低下していくのは、極夜で太陽光が届かなくなるからだと考えるほうが遙かに自然でしょう。

また、大抵の化学反応がそうであるように、オゾンも温度が低いほど作られにくいといわれています。北極より寒い南極のほうがオゾンの供給が落ち込む期間が長く、その地域が広くなる傾向もこうした要素を考慮すると理解しやすいですね。

加えて、オゾンホールは暖冬ほど小さくとどまり、厳冬ほど大きく発達するという顕著な傾向があるんですが、これもオゾン供給量の変化がオゾンホールの原因になっていると考えたほうが理に叶っているといえるでしょう。

いずれにしても、「フロンがオゾン層を破壊する」と言い張る人達は、オゾン層の穴を塞ぐ方策を考える前に、自分たちの仮説の穴を塞ぐ方策を考えるべきですね。


このオゾン層破壊問題も地球温暖化のそれと同様に不完全な科学的根拠で盲目的に既成事実化が進められ、国際的な取り決めが結ばれました。こうなってしまうと、もう誰にも止めることはできなくなります。狡猾な人間がこれに便乗して利権をむさぼるという、お決まりのパターンになっているのかも知れません。

ま、そもそもこのオゾン層破壊問題そのものが利権絡みの陰謀めいていますけどね。何せ、この問題が本格的に騒がれ始めたのはフロンの特許が失効し、誰でも自由にフロンを作れるようになる何年か前のことでしたから。

「フロンは環境破壊ガスだ」という濡れ衣を着せてしまえば、「フロン廃絶」という国際世論の一丁上がりです。ウイーン条約だのモントリオール議定書だの、フロンを規制する国際的な取り決めが発効したことで、「誰でも自由に作れる安価で便利なガス」になるはずだったフロンは「誰も作ってはいけない環境破壊ガス」ということになってしまいました。

先進国の巨大資本ケミカルメーカーがこぞって「オゾンを破壊する塩素」を含まないハイドロ・フルオロ・カーボン(HFC)など代替フロンの開発とその特許取得に血道を上げていたのは、まさにフロン廃絶へ向けて国際的な取り決めが策定されていた時分でした。

ミステリーを解く鍵は「得をするのは誰か?」という動機を探るのが定石です。フロンを取り巻く問題がミステリー小説だったとして、「誰が何のために矛盾だらけの環境問題を国際世論に発展させたのか?」と考えれば、動機はモロバレ、タイミングもドンピシャですから、作品として成立しないでしょう。

いえ、こうした利権絡みのストーリーは私の勝手な憶測に過ぎませんから、鵜呑みにしないほうが良いかも知れませんけど。

(おしまい)

テーマ:環境問題 - ジャンル:ニュース

コメント

参考までに

はじめまして

私もオゾンホール事件フロンガス犯人説は無理があると思います。
では真犯人は?というのが気になります。
私の仮説は、2つあります。
オゾンホールができる条件としては、成層圏にできる特殊な雲である極成層圏雲が必要です。
極成層圏雲ができるには約マイナス80℃ぐらい必要です。
だから北極のオゾンホールは、南極より小さかったり、無い年も多いのです。
また南極でも、温度変化によって、オゾンホールが二つに分裂したり、小さくなる年があります。
フロンガス犯人説の人は、極成層圏雲の中の塩素が媒介になって、化学反応を起こし、オゾンが分解されると説明しています。
ただ極成層圏雲の中の塩素が、フロンガス由来であることは証明されていません。
また雲は電気を多く含んでいるので、オゾンが電気分解された可能性もあります、これが私の考えている仮説の一つです。
私が考えているもう一つの仮説は、極成層圏雲が、赤道から流れてくるオゾンを堰き止めているからでは?と思っています。
極成層圏雲は温かくなると消えます。
オゾンホールも温かくなると修復されます。

  • 2009/02/09(月) 13:43:56 |
  • URL |
  • おおくぼ #2WdbYHDY
  • [ 編集]

>おおくぼさん

初めまして。

このエントリにつきましては、あまり専門的な領域に踏み込まなくても多くの矛盾点を指摘できるだろうというコンセプトで、一般の方(ま、私も専門家ではありませんのでその一人ですが)が読んでも充分に理解しうると思われる範囲で纏めてみた次第です。

私は基本的に太陽活動に連動したテレコネクションによる南極の寒冷化がオゾンホールを引き起こしているのではないかとの説を支持していますが、それで全てが説明できるわけでもなさそうですから、いくつかの要素が絡んでいるのではないかと思っています。

>極成層圏雲が、赤道から流れてくるオゾンを堰き止めているからでは?

名城大学の槌田先生も同じように「この雲(極成層圏雲)は、春になってもすぐには消えない。そして雲の上端から宇宙への放射冷却をなおしばらく続けるので、春になっても高層成層圏雲の生成と落下は続くことになる。雲が落下すると、雲に含まれる高層成層圏大気も落下する。極渦がなくなっているのでオゾン濃度の高い低層成層圏の大気は補充されず、高層成層圏の大気だけが供給される。」として春期にピークを迎えるオゾンホールについて説明されています。私もこれは充分にあり得ることだと思います。

いずれにしても、まだ私たち人類の理解は充分ではないように思います。現在でも科学的な決着が付かぬまま新たな仮説が生まれてくるのもそれ故でしょう。結論へ至るにはまだしばらく時間がかかるのかも知れませんね。

しかしながら、科学的な事実とは無関係に世間一般の認識としては20年以上も前に既成事実化が完了ており、先進国においては同時期に法整備も済まされました。ここに政治的な意図が介入していないと考えるのは、やはり無理があるように思います。

  • 2009/02/10(火) 00:38:50 |
  • URL |
  • 石墨 #PxDbU/1w
  • [ 編集]

たしかに既製事実化されているし、政治的な意図は介入したと思うのですが、だからこそ、科学的な立場から白黒を明確にして欲しいと思います。

私も専門家ではありませんので、槌田先生の説が正しいかどうかは、私には判断できませんが、フロンガス犯人説よりも、説得力があると思います。
だからフロンガス犯人説を主張する専門家は是非、反論して欲しいです。
また北半球の地表から大量に出されるフロンガスが、南極の成層圏に集まったという証拠も出してもらわないと、フロンガスは冤罪という気がします。
フロンガス犯人説は裁判でいえば、推測だけで、証拠があまりに不十分なので、有罪には無理があります。

成層圏は、対流圏が温暖化すると寒冷化する傾向があります(理由は知りません)。
南極の成層圏の気温変化はよく知らないのですが、成層圏が寒冷化している時にオゾンホールが大きいのは事実です。

対流圏の温暖化は、太陽の活動と相関性がいいみたいです。
特に北極振動指数と太陽磁場と地磁気の相関性が注目されているみたいです。

とにかく焦らずに気長に、専門家の方が真実を明確にしてくれるのを待ちます。

  • 2009/02/10(火) 13:02:06 |
  • URL |
  • おおくぼ #2WdbYHDY
  • [ 編集]

おおくぼさん>

>たしかに既製事実化されているし、政治的な意図は介入したと思うのですが、だからこそ、科学的な立場から白黒を明確にして欲しいと思います。

仰るとおりですね。環境問題も現実には様々な利権を生んでいます。カネの流れるところに人も流れるのは世の常で、必ずしも正しいとは言えない仮説であっても多くの科学者が群がり、コンセンサスが形成されていくケースも少なくないように思います。が、科学的な事実というのは一つしかありません。科学者は良心に従ってその一つしかない結論に導いて欲しいと思いますし、いつの日かそうなると信じたいです。

>とにかく焦らずに気長に、専門家の方が真実を明確にしてくれるのを待ちます。

オゾンホールの問題も地球温暖化問題も、いずれ現在の認識より真に迫ることが出来ると思います。私たちの生きている間に完全な決着へ至るかどうかは解りませんが、私も焦らず気長に待ちたいと思います。

  • 2009/02/12(木) 00:12:29 |
  • URL |
  • 石墨 #PxDbU/1w
  • [ 編集]

フロンとオゾンホール

なるほど。全て当たってる。納得。

  • 2009/10/25(日) 03:15:49 |
  • URL |
  • 天の河 #-
  • [ 編集]

天の河さん>

オゾンホールが問題になった20年前に対し、現在のフロンの出荷量はほぼゼロになり、オゾン破壊係数0.1~0.025くらいの代替フロンであるHCFCの出荷量も全盛期の半分くらいに減りました。20年前に比べて現在はフロンに換算してオゾン層破壊ガスの総排出量は1/300にも満たないレベルに至りました。が、2006年に南極のオゾンホールは観測史上最大の2745万km2に達し、2008年にもそれに次ぐ2650万km2に達しました。ま、あの仮説を支持している人たちは過去に排出されたフロンがいま猛威をふるっていると言い張るのかも知れませんけど。

それにしても、大衆メディアは既にこの問題を忘れ去っているわけで、何ともいい加減なハナシではあります。

  • 2009/10/25(日) 20:02:05 |
  • URL |
  • 石墨 #PxDbU/1w
  • [ 編集]

オゾンホールについての学術的な話

何となく検索していたらたどり着いたのでいくつかの点についてコメントします。
(実は大学で環境学を専攻しているのでついつい突っ込みたくてしょうがなかったのですが)
まず一つですが、大気は熱・および気圧さによって対流圏内で対流を起こしています。この対流の中においては比重という概念は全く関係なく上空に吹き上げられます。
第二になぜフロンガス使用国上空にオゾンホールができないか、ですがコレは地球大気全体が巨大な循環構造を持っており、その中でも全体的に見れば地球上の空気は全て極に向かって流れており、また極には極で対流が起きておりガスが集中するからです。未だにオゾンホールが形成されるのはそういう理由です。以上は大気の大循環で調べると分かりやすいでしょう。
第三になぜ北極より南極のオゾンホールの方が大きいか、ですがこれはオゾン破壊を誘引する極成層雲が南極で発生しやすい為です。北半球は陸地が多く山岳が多い事がこの極成層雲の発生を阻害しますが、南半球ではそういうことはおきにくいため南北差が発生します。
ちなみに
>成層圏は、対流圏が温暖化すると寒冷化する傾向があります
ですがこれは因果が逆で、成層圏にはオゾンがあるため紫外線が吸収されその為に対流圏界面より温度が上昇していきますが、オゾンホールが出来れば紫外線が吸収されないため成層圏は寒冷化し、その分の紫外線が対流圏を暖めるという事がおきます。

  • 2009/11/16(月) 02:44:27 |
  • URL |
  • 学徒 #RgMyg97o
  • [ 編集]

追記

ちなみに比重という概念がよく出てきますが、極成層雲は氷です。比重もなにもあったものではなく気体ですらなく固体です。それがきちんと雲として浮いており、これが解けていった際に塩素原子が紫外線を浴びます。

  • 2009/11/16(月) 03:08:30 |
  • URL |
  • 学徒 #RgMyg97o
  • [ 編集]

学徒さん>

初めまして。私たち懐疑的な人間とは逆の立場からのご意見を頂き、有り難うございます。しかし、残念なことに頂いたコメントで私の疑問はさらに膨らんでしまいました。

>対流の中においては比重という概念は全く関係なく上空に吹き上げられます

これは全くその通りでしょう。上昇気流に乗るのなら重いフロンでも上昇していくということは私も本文で触れていますから、改めてご指摘頂くまでもありません。が、この問題が騒がれていたとき、フロンが成層圏まで到達するのは10年ないしそれ以上で、ジワジワ上昇していくといった説明がなされていました。上昇気流によって上空まで吹き上げられるという説明ではなかったので、私はその部分について指摘したまでです。

ただ、フロンが上昇していくのに10年くらいの長い年月がかかるなら広範囲に拡散してしまっても不思議ではありませんが、上昇気流で吹き上げられるとしたら状況は違ってくるように思います。比較的短時間で上昇するのなら主要な排出源である先進国の工業地帯上空では相応にフロンの濃度が高まると考えたほうが自然です。実際、他の大気汚染物質は排出源に近いほど高い濃度を示すものです。

何故、フロンだけが排出源近くでは濃度が上がらないという異常な動きをするのでしょうか? それとも、他に同じような動きをする物質があるのでしょうか?

>地球上の空気は全て極に向かって流れており、また極には極で対流が起きておりガスが集中するから

この説明はどうかと思います。異なる緯度間での大気循環は、ハドレー循環、フェレル循環、極循環の3つです。中緯度のフェレル循環は低緯度のハドレー循環や高緯度の極循環と逆向きの動きをしています。極地域に向かって一直線に進むような単純な循環構造にはなっていません。

よしんば、極地域に向かう単純な空気の流れがあるとしても、フロンの主要な排出源の殆どが北半球に集中していたということを考慮すると、筋書きがおかしなことになってしまいます。極地域に向かう気流に乗るのなら北半球で排出されたフロンは北極へ向かうと考えるのが自然です。当時の南半球の工業化のレベルからして南半球で排出されたフロンなど大した量ではなく、北半球のそれと比べたら桁違いに少なかったでしょう。

そうした状況からしても南極に大量のフロンが集中するとは極めて考えにくいところですが、南極こそオゾンホールの中心地です。北半球の工業地帯から赤道を越えて南極へ導かれる気流があるのでしょうか? 私はそんな都合の良い大気循環があるとは信じられませんが、もしそのようなものがあるとしたら、循環経路はどうなっているのでしょう?

また、上昇気流で吹き上げられた物質が大気循環で極地域に流れ着き、そこに停滞してしまうという理屈でいけば、ありとあらゆる大気汚染問題が極地域に集中していなければ辻褄が合わなくなってしまいます。が、私はそんなハナシを聞いたことがありません。何故、フロンだけが極地域に集中してしまうのでしょうか?

学徒さんのご説明では排出源付近では速やかに拡散して濃度が上がらず、大気循環によって極地域へ集まってから濃度が上昇するということになってしまいます。そんな都合の良すぎることが実際に起こるのでしょうか? また、他の物質で同じような動きをするものを私は知りませんが、類例はあるのでしょうか? 類例がないのであればフロンだけが選択的に極地域へ集中してしまうメカニズムを明らかにして頂きたいと思います。

さらにいえば、極地域にフロンが集中して中緯度以下では濃度が上がらないのなら、あれだけ皮膚ガンや白内障が増えると脅かしたのは何だったのでしょう?


私はフロンの破壊処理技術に関する文献を何本か読みましたが、いずれもフロンは紫外線を浴びせただけでは殆ど分解できないという結論になっていました。そのため、アルコールを溶媒として破壊処理する技術が開発されたわけです。オゾン層が人為的に破壊されているのだとしたら、この問題をクリアにしなければハナシが始まりません。その点についてはどうお考えでしょうか?

また、オゾンホールが生じ始めるタイミングは強力な紫外線どころか太陽光線すら届かない極夜の真っ最中ですが、この点はどのように説明すべきでしょう?

私はこの分野について全くの素人で、ここに述べたことも独学によります。なので、知識が偏っている可能性は否定しません。環境学を専攻されている学生の方ならそのようなことはないと思いますので、こうした根幹に関わる疑問点を是非とも払拭して頂きたいと思います。

  • 2009/11/17(火) 00:18:30 |
  • URL |
  • 石墨 #PxDbU/1w
  • [ 編集]

一つ質問させて下さい。
科学的にオゾンホールとフロンが関係ないということは分かりましたが、南半球、特にニュージーランドは、物凄く日差しが強く、熱いと言うより「痛い」というのが正しい表現なのですが、この紫外線の多さは、何が影響しているのでしょうか?

  • 2010/09/17(金) 19:58:34 |
  • URL |
  • JH #-
  • [ 編集]

JHさん>

ご質問の件ですが、結論から言わせて頂きますと、それは多分「気のせい」でしょう。

南半球の紫外線がとりわけ強いなどというデータはありません。もちろん様々な要因で相応の地域差はあります(例えば、標高の高いところでは強かったり、浮遊粉塵などエアロゾルが多いところでは弱かったり、オゾン濃度が低いところでは強かったり、他にも色々あります)が、北半球も南半球も緯度が同程度で条件的にも差がなければ、日差しの強さも紫外線量も殆ど差はないハズです。

南半球の紫外線が強いと感じるのは、もしかしたら中~高緯度の陸地が少ないからかも知れません。東京は36度弱くらいですが、それ以上となるとオーストラリア大陸ではキャンベラよりさらに南となり、全体の面積から見れば僅かです。アフリカ大陸は最南端が35度弱で静岡より低緯度ですし、南米も東京より高緯度なのはチリやアルゼンチンの南半分くらいでしょうか。

で、緯度の高いニュージーランドですが、ここでも紫外線が強いという具体的なデータは存在しないようです。

紫外線が人の健康に与える影響は波長によって異なるため、「紅斑紫外線量」という尺度が設けられています。これは皮膚に赤い日焼け(紅斑)を生じさせる波長域の紫外線量を表すもので、JHさんが痛いと感じられたのもこの尺度に当てはまる紫外線になるハズです。

気象庁のサイトには衛星観測によるオゾン全量データ(TOMSデータ)、雲の分布、エアロゾル量のデータから計算された「年平均紅斑紫外線量日積算値の全球分布図(Sabziparvar et al., 1999; WMO, 2003)」というものがあります。これを見てみますと、ニュージーランドは日本の本州と同レベルの2.0~3.0kJ/m2になっており、緯度の割には少し大きな値になっているようですが、絶対的な値としてみれば決して大きな数字とはいえません。
http://www.data.kishou.go.jp/climate/cpdinfo/climate_change/2005/fig/fig3.1.24.png

また、WHOが発表しているUVインデックスでもニュージーランドの首都、ウェリントンは東京より数段小さい値になっています。
http://www.who.int/uv/intersunprogramme/activities/uv_index/en/index3.html

ま、ウェリントンは東京よりずっと高緯度で、日本でいえば函館くらいになるでしょうから、UVインデックスが全般的に小さい値になっているのは当然でしょう。なお、UVインデックスについての詳しくは↓コチラをご参照下さい。
http://www.data.kishou.go.jp/obs-env/uvhp/3-41uvindex_define.html

こうしてみますと、JHさんがニュージーランドの日差しを受けて痛いと感じた原因を紫外線の強さだけで説明することに無理があるのかも知れません。他の要素、例えば湿度や気温など気候が変化すると肌が敏感になることもあるそうですから、そうした影響も考えられます。

あるいは、あれだけ「オゾンホールでニュージーランドの紫外線量は増大している」と喧伝され、イメージが刷り込まれてしまったとしたら、プラセボ効果が働いてしまう可能性もあるでしょう。いずれにしても、感覚的な部分だけで判断すべきではないでしょう。

ちなみに、今回調べてみてやたらと目に付いたのがニュージーランドへ旅行ないし留学した人たちなどの口コミにあった「ニュージーランドの紫外線は日本の5~9倍(一番多かったのは7倍)」などというフレーズです。が、上掲のデータからも明らかなようにニュージーランドの紫外線は決して強力ではなく、これは都市伝説の類と見て間違いないと思います。

こうした風説の元になったのは、もしかしたら↓コレかも知れません。
http://www.env.go.jp/earth/report/h18-03/2-III.pdf

このレポートの4ページ目にある「図41 世界の紅斑紫外線量」を見ますと、ニュージーランドの南島の北半分くらいと北島は240~300mW/m2のゾーンに入っており、日本の0~60mW/m2と比べると最大値で5倍、中央値で9倍になります。上記の範囲に気持ち良いくらい一致していますね。しかしながら、この図での比較は全く意味がありません。

こうしたデータは年平均なり、最も紫外線が強くなる時期同士で比べるなら意味があるでしょう。しかし、この図は「2005年12月29日正午」と書かれているように、南半球では最も日照量が多い時期、逆に北半球では最も日照量が少ない時期の1日を切り出したものに過ぎません。紫外線量を比較するに当たって、夏のニュージーランドと冬の日本をそのまま比べることが如何にナンセンスなことか、改めて述べるまでもありませんね。

環境問題に絡むことは地球温暖化関連もそうですが、先行しているイメージに沿うようにハナシが誇張され、それが常識として刷り込まれてしまうことなど珍しくもありません。そうしたイメージに踊らされないためにも実際のデータなどを確認し、裏づけを取っておくことをお勧めします。また、上で示したようにデータを確認してもその読み方を誤ってしまうと元も子もありませんから、基本的な知識や判断力を養っておく必要もあるでしょう。

念のためですが、このエントリではオゾンホールの存在を否定しているわけでもなければ、オゾン濃度と紫外線量の関係を否定しているわけでもありませんし、もちろん、紫外線が人体に及ぼす影響について軽視しているわけでもありません。ここで否定しているのは、オゾンホールとフロンガスの因果関係についてです。

  • 2010/09/25(土) 01:12:17 |
  • URL |
  • 石墨 #PxDbU/1w
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  • 2013/03/25(月) 20:48:28 |
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