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酒と蘊蓄の日々

The Days of Wine and Knowledges

いま最もホンダらしい製品 (その1)

最近のホンダはトヨタみたいだ。

そんな風に揶揄されるようになって軽く10年は経ったような気がします。私が大好きだったホンダは、二輪メーカーでは王者でも、四輪メーカーとしては若く威勢の良い中堅メーカーだったあの頃です。

ま、今日の自動車産業は超大手メーカーのグループに属すか、独立を守るなら自ら規模を拡大していくか、そのいずれかに舵を切らなければ生き残りは厳しくなるばかりでしょう。ホンダはいまのところ後者を選んでいますから、その大所帯を維持するにはマスマーケットのニーズに応え、盤石な販売網を確保し、結局トヨタ的にならざるを得ない局面は増えていくわけですね。これはやむを得ないところだと思います。

しかし、彼らが航空業界への参入を期して立ち上げたプロジェクトは何だか久しぶりにホンダらしさを感じる良い仕事をしているように思います。

ホンダジェット
HondaJet N420HA

あまり飛行機に詳しくない方でもお気づきかと思いますが、このクラスのビジネスジェットとは明らかに雰囲気が違いますね。その最大のポイントはエンジンの搭載位置が主翼の上になっているからです。このクラスのビジネスジェットがエンジンを搭載する場所は胴体の後部測面が常識です。といいますか、主翼の上にエンジンを置くということ自体がかなり非常識な部類になります。前例がないわけでもありませんが、普通はやらないんですね。

何故やらないかといいますと、主翼の上面の気流を乱したくないからです。

揚力

ご存じのように、飛行機の翼は上図のような断面形状となっており、翼の前縁から後縁まで空気が流れる時間に殆ど差がありません。ということは、カーブを描いている翼の上面を流れる空気のほうが遠回りをする分だけ、下面を流れるそれよりスピードが速くなります。気流が速いほうが気圧が低くなりますので(ベルヌーイの定理)、下面より気圧の低い上面側へ翼が吸い上げられていきます。

これを「揚力」といい、飛行機が空中に飛び上がることができるのは、この力の作用によるというわけですね。(実際はもっと複雑で、この原理を巡っては様々な論争もあるようですが、それに触れているとハナシが進まなくなりますので割愛します。)

ですから、翼の上面に気流を乱すような障害物を置くと気流の速度が低下し、揚力も減少すると考えられることから、ずっとタブーになっていたわけです。いえ、私も初めてホンダのビジネスジェットの画像を見たときは「いくら初めてでも、コレはないだろう」と思いました。

しかし、ホンダは闇雲にこうしたエンジンレイアウトを採用したわけではなかったんですね。詳しくは後述しますが、実はかなり緻密な計算をした上でこのレイアウトで行こうということになったそうです。

そうして出来上がったテストモデルがボーイング社の風洞実験施設に持ち込まれたとき、やはり同社のエンジニア達から笑いが起こったといいます。「基本も知らない素人め」との思いから沸いた失笑に違いなかったでしょう。

ホンダがこのようなエンジンレイアウトを採用したのは何故か? それは従来のビジネスジェットには構造的に様々な制約があり、ホンダはそこをブレイクスルーしようという大きな野心を抱いていたからです。

(つづく)

エルロンリバーサル

私の周囲でも同様の経験をしている人が殆どなので、恐らく皆さんも同じような経験はおありだと思うのですが、私も子供の頃から空を飛ぶ夢を見ます。子供の頃のそれは本当に単純で、スーパーマンやウルトラマンみたいな肉体単独飛行で理論的な裏づけなどお構いなしでした。

が、歳をとってくると私みたいな性分では潜在意識も物理的な嘘を許さないせいか、夢の中の飛行体験もちゃんと航空機を使うようになっていくんですね。軽飛行機とかグライダーとか、実際には操縦はおろか乗ったことさえないのに、何故かそういうのに乗って空を飛ぶんです。

最近はどういう訳か、中学時代の友人K君や、高校時代の友人U君が出てきて、彼らと一緒に機体を製作するところから始まるんですね。K君とU君は二人とも飛行機好きというだけで当人同士は全く面識すらありませんが、そこは私の夢の中ですから、何故か一緒に出てくる訳ですよ。

で、U君は高校生にもなって米軍空母のカタパルト発進の初速に記されていた「kt」という単位を「キロトン」と読み間違うような横好きタイプでした(本当は「ノット」と読みます)。が、K君は私に劣らぬ理論派でしたから、設計段階から私と意見が噛み合わないとすぐに喧嘩になってしまいます。

K君 「そんなに重心を前に出したら水平尾翼のダウンロードを増やさなければならなくなる。空気抵抗が大きくなってスピードが伸びなくなるだろ。」
私 「アホか? 風圧中心はここだぞ。これ以上重心を後退させたらピッチモーメントがどうなるか考えてみろよ。俺らの技量でこれ以上敏感な機体なんて飛ばせるわけないだろ。」
U君 「まあまあ、二人とも・・・。」

みたいな感じです。

んで、出来上がった機体は何故か複座のピュアグライダーで、U君が曳航機で引っ張ってくれて、ジャンケンで勝ったK君が操縦して、私がそれに同乗して、みたいなことになるわけです。



私 「どっちにロールさせてるんだよ。右手に山が迫ってるのに右にロールさせてどうする?」
K君 「おい、エルロンのワイヤー左右逆に繋がってないか?」
私 「そんなわけないだろ。何度も確認したぞ。」
K君 「じゃあ、何で逆にロールしてるんだよ!?」
私 「げげっ! 主翼がねじれてる!」
K君 「エルロンリバーサル(注)かよ!」
私・K君 「ギャー!!」

(注) エルロンの操作によって主翼がねじれてしまい、結果として意図した方向とは逆に機体がバンク(ロール)してしまう現象のこと。薄くて細長い主翼や、強い後退角のある主翼を持った機体が高速で飛行した場合に起こりやすいとされる。(Wikipediaより)


いつも不思議に思うんですけど、何で空を飛んでいる夢から覚めるときって堕ちるときなんでしょう?
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